北の息吹

(66)

チシマセンブリ (Swertia terapetala ssp. tetrapetara

ジムカデ

2010.8.28 襟裳岬

 センブリの仲間はリンドウ科ではあるが,一般的に言うリンドウの類ではない。この仲間には花冠が4裂する種と5裂の種があり,一般的には前者の方が花が小さい。チシマセンブリは明るい青紫色の4弁状の花を持つ北方系の種で,1p以下の小さな花を沢山つけ,風の弱いところでは草丈が30p以上にも伸びるが,風の強い海岸草地では10pにも満たない。本州では高山の植物だが,北海道では道東や道北の亜高山帯から海岸まで分布し,襟裳岬周辺には数が多い。センブリの仲間なのでその苦さは折り紙付きと思われ,エゾシカも食べないので,踏み跡の激しいところほどこの空色の花が目立つ秋景色となる。

前理事・副学長 岡田 尚武

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