北の息吹

(67)

センブリ (Swertia japonica

センブリ

2011.10. 7 白老町

 先月号のチシマセンブリよりは暖かいところを好む種で,全国的に分布するが道内では道南と胆振地方に限定される。20pにも達しない細身の草丈に沢山の花をつける。花弁状に5深裂した裂片には紫色のすじがあり上品な感じがするが,その基部に白い毛の生えた2つの密腺があるのが少し興ざめという感じ。一方,蕾は赤紫色が主体で鮮やかな白いすじがみえて美しい。本州では11月にも咲いているが道内では10月半ばまでの花であり,それでも北海道でもっとも遅咲きの野草としてファンが多い。古来から胃腸薬として使われてきたが,和名は千回振りだしてもまだ苦いことによるのはよく知られている。

前理事・副学長 岡田 尚武

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