北の息吹

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アケボノソウ (Swertia bimaculata

アケボノソウ

2011. 9. 14 野幌森林公園

 本種もリンドウではないリンドウ科の一種で,1m近くまでになる茎から長く伸びた枝のあちこちに,数個ずつかたまった2cm未満の白い花を沢山つける。遠目にはあまり目立つ花ではないが,近寄って見ると花弁状の裂片に描かれた模様の美しさに驚かされる。裂片の中央部には緑色の密腺が2個並んでおり,その先端部に黒っぽい点が散在するが,この様子を夜明けの空の星に見立てて和名が付けられたという。北海道中部から九州まで分布し,東北では普通に見られる花だが,道内では限られた場所にしかないようである。山形では6弁や7弁の豪華な花も多いが,私が道内で見たのは4弁と5弁のものだけである。

前理事・副学長 岡田 尚武

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