役員便り

評価担当理事 三上 隆

国立大学法人評価について

評価担当理事 三上  隆 (みかみ たかし)

 国立大学が2004(平成16)年に法人化されたことによって,大学は様々な評価を受けることになりました。大学の評価には,法人評価(国立大学法人評価委員会による評価),大学機関別認証評価(文部科学大臣の認証を受けた認証評価機関による評価),自己評価(大学の活性化,説明責任のための自主的・自律的な評価)等がありますが,ここでは主に法人評価について紹介します。
 国立大学は,毎年度及び中期目標期間の業務の実績について評価を受けることとなっており,中期目標期間は6年にも及びます。他の独立行政法人が3〜5年であるのに対して長期になっていますが,これは,国立大学法人の教育研究機関という性質によるものです。第1期の評価は2010年に終了し,現在は第2期に入っています。

目標・計画に基づく大学運営

 法人化後の各大学は,文部科学大臣が国立大学法人の意見に配慮し定める中期目標に対して,各法人はそれぞれの中期計画を策定し,大学運営を行うことになりました。この中期目標・中期計画は,「教育研究等の質の向上」「業務運営の改善及び効率化」「財務内容の改善」「自己点検・評価及び情報提供」「その他業務運営(施設設備の整備・活用,安全管理,法令順守)」等の事項が記載されています。また,中期目標・中期計画を達成するため,毎年度,具体的な取組を年度計画として作成し,それらを実際に具体化する必要があります。
 従って,各法人は自ら策定した年度計画の目標達成を意識する必要があります。大学構成員には,中期目標・中期計画及び年度計画の全体そして自分の職務に関係する部分を必ず確認し,各人が目標・計画に沿った「ミッション」をもって教育研究,業務に努めることが求められます。

第2期中期目標期間における各年度終了時の評価及び同期間の業務実績評価

 評価は,各法人の自己点検・評価に基づいて行われます。
 各年度終了時の評価及び中期目標期間の終了時の評価は,各法人の年度計画及び中期計画の実施状況等に基づき,中期計画の進捗状況及び中期目標の達成状況を確認し,その結果等を踏まえて各法人の特性に配慮しつつ,中期目標・中期計画の達成に向けた総合的な評価が行われます。
 第1期中期目標期間における評価からの大きな変更点は,中期目標期間評価については暫定評価を実施せず,第2期中期目標期間終了後の2016(平成28)年度のみ実施すること,年度評価の「教育研究等の質の向上の状況」については実績報告書の「全体的な状況」欄への総括的な記載のみを求め,年度計画の各記載事項についての進捗状況の記載は必要としないこと等です。
 なお,各法人は文部科学省の国立大学法人評価委員会の評価を受けることになりますが,中期目標期間の業務の実績のうち教育研究の評価は,独立行政法人大学評価・学位授与機構が実施することになります。

自己点検・評価の在り方

 評価はそれまでの実情を反映したものですが,それに終わるのではなく,その結果を次なる計画に反映しなければ実施する意味がありません。本学では,第2期中期目標の「評価の充実に関する目標」の項目において,「評価の結果を教育研究活動及び大学運営の改善等に結びつける組織的なマネジメントサイクルの充実」や「全学的なフォローアップシステムの確立」を掲げており,その取組は,年度終了時の法人評価において高く評価されています。

 なお,大学において,計画の策定及び取り組むべき課題の優先順位の明確化には情報やデータ収集・分析が不可欠です。現在の大学の自己点検・評価は,第三者評価を受ける際の実績報告書などの作成の過程で行われる場合が多く,評価のために集められたデータとその分析結果が次の計画策定に十分生かされているとは言い難い状況です。本学においても,各組織の連携を通じて,データ・情報を一元的に集中させ,その効果的な利用を図る仕組みが必要であります。

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