平成20年12月に開始され,スラブ研究センターを中心に行われてきた新学術領域研究「ユーラシア地域大国の比較研究」(領域代表者:教授 田畑伸一郎)は,今年度が最終年度となります。本研究では,ロシア,中国,インドをはじめとするユーラシアの地域大国を学際的,総合的に比較してきました。そこで,これまでの研究成果を総括し,このような研究の今後の可能性について議論するため,総括シンポジウム「ユーラシア地域大国の比較から見える新しい世界像」を1月26日(土)に早稲田大学国際会議場井深大記念ホールで開催しました。
プログラムは3部構成となっており,午前の若手セッションでは,本研究にプロジェクト研究員として参加した若手の研究者が,研究成果を3つの報告として発表しました。午後のセッションでは,本研究において6つ設けられた計画研究から1人ずつが報告しました。以上の9つの報告は,扱う地域から見ても,ディシプリン(学問分野)から見ても,非常に多彩なものとなりましたが,ユーラシア地域大国の比較という視点の有効性を示すことができました。
最後の総括討論「ユーラシア地域大国比較の成果と可能性」では,初めに,司会の天児 慧氏(早稲田大学現代中国研究所)と討論者の小長谷有紀氏(国立民族学博物館)から本領域研究に対する評価や期待が質問をともなう形で提起され,各計画研究の代表者(スラブ研究センターの岩下明裕教授,宇山智彦教授,望月哲男教授など)がそれに答えるという形で進行しました。世界の将来像の明確化や学際性の重視など,今後の研究の取りまとめにとっても大変有益な議論ができました。
この総括シンポジウムは,スラブ研究センターの今年度の冬期シンポジウムを兼ねて開催され,107名の参加がありました。また,早稲田大学現代中国研究所には共催機関として運営面でも多大な支援を受けました。
本研究の成果はミネルヴァ書房から,「シリーズ・ユーラシア地域大国論」全6巻として刊行されます。第1巻,第2巻は今年3月に出版され,その後,夏頃までに順次出版される予定です。