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真冬の森の宝物,見つけた!

−雨龍研究林で「森のたんけん隊2013冬」を開催−

 北方生物圏フィールド科学センターでは,小学生を対象とした「森のたんけん隊2013冬」を1月10日(木)・11日(金)に雨龍研究林(雨竜郡幌加内町母子里)で開催しました。
 森のたんけん隊は,地元の名寄市北国博物館並びに幌加内町教育委員会と共同で開催している1泊2日の宿泊体験型野外教育プログラムで,冬休み中の子供たちに本学研究林のフィールドや施設を開放し,楽しく遊びながら自然の営みや森と人間とのかかわりを学ぶことによって,健やかで個性豊かな人格形成と地域交流を促進するための地域連携社会教育事業です。今年の森のたんけん隊には,名寄市と幌加内町から総勢20名の元気な小学生が集まり,大学院生たちがボランティアとして運営をサポートしてくれました。
 初日は厳しい寒さにも負けず,初めてカンジキをはいたとは思えないほど元気いっぱい雪の上を駆け回り,森の中に取り付けられたクイズを解きながら樹木の名前を覚えたほか,方位磁石の使い方や雪の温度の計り方,さらには大きな木の肌に触れながら太さや高さの測り方を学びました。
森の木に取り付けられたクイズを解きながら木の特徴を調べる。どんなに濡れていても簡単に燃える樹皮がダケカンバの特徴だ

森の木に取り付けられたクイズを解きながら
木の特徴を調べる。
どんなに濡れていても簡単に燃える樹皮が
ダケカンバの特徴だ

沢の向こうのトドマツまでの距離を測る。巻尺で苦労して計った距離も,最新式の距離計を使えばドンピシャリ。

沢の向こうのトドマツまでの距離を測る。
巻尺で苦労して計った距離も,
最新式の距離計を使えばドンピシャリ。
 

「この木,何の木?」。昔から胃腸薬として利用されてきたキハダの苦味を,折った枝先を舐めて確かめた。「学習は口に苦し…」

「この木,何の木?」。
昔から胃腸薬として利用されてきたキハダの苦味を,
折った枝先を舐めて確かめた。「学習は口に苦し…」
 

 休憩の後は,雪原でイグルーとスノーランタン作りに挑みました。イグルー作りでは,雪のブロックを運ぶ係,のこぎりで形を整える係,それを積み上げる係など,みんなで協力して作業しました。また,出来上がったランタンにキャンドルを灯して幻想的な光の世界を楽しみました。この日は夕方から気温がぐんぐん低下して氷点下30度近くになったため,イグルー作りは残念ながら途中で断念しました。
雪のブロックをのこぎりで整形しながら積み上げてイグルー作り。気温が氷点下30度近くまで低下したため,残念ながら途中で退散。

雪のブロックをのこぎりで整形しながら積み上げて
イグルー作り。
気温が氷点下30度近くまで低下したため,
残念ながら途中で退散。

 宿舎に戻って夕食を食べた後はペットボトルを使ったアイスクリーム作りに挑戦しました。チョコレート,抹茶,ジャムなど14種類ものメニューの中から何を選ぶかあれこれ迷いましたが,入浴後に食べたアイスはどれも美味しく,子供たちの笑顔があふれました。
 2日目は雪上車に乗って森の奥地へ移動し,前日に学んださまざまな森の情報を思い出しながら,方位磁石や巻尺などの7つ道具を使い,巻物の指示を読み解きながら雪の中に埋められた宝箱を探しました。深い雪の中から無事に宝箱を掘り当てた瞬間には,森の中に歓声がこだましました。お昼は雪原でバーベキューを堪能した後,スノーモービルに乗って真っ白な雪原を駆け巡りました。最後に,「森のたんけん博士」の認定状と手作りのイニシャルプレートを記念に受け取り,2日間の真冬の遊びを締めくくりました。
巻物と7つ道具を持って宝探し。前日に学んだ森の情報を手がかりに,協力しながら森の中を進む。

巻物と7つ道具を持って宝探し。
前日に学んだ森の情報を手がかりに,
協力しながら森の中を進む。

 子供たちは体と心で自然や友達との対話を楽しみ,ちょっぴり逞しくなって家に帰りました。「カンジキで雪の上を歩くのが大変だった」,「新しい友達ができた」,「森の中での宝探しは楽しかった」,「スノーモービルにいっぱい乗れた」,「イグルーが完成できなくて残念だった」,「また来年も来たい」などの感想が寄せられ,年末から準備作業に携わった職員の苦労も吹き飛びました。森のたんけん隊での経験を糧として,自然観察の面白さを学び,友達との交流が今後も広がっていくことを願いながら,今年の森のたんけん隊が終了しました。

(北方生物圏フィールド科学センター)

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