総合博物館では,12月8日(土)に,鈴木 章名誉教授と高橋はるみ北海道知事をお迎えして,子ども達に科学への関心を深めてもらうイベント「サイエンスパーク in 北海道大学総合博物館」(主催:北海道,北海道大学総合博物館)を開催しました。昨年度3月に続く2度目の開催です。参加したのは,札幌市内の小学校5・6年生と保護者の30組です。会場は,総合博物館2階の実験室であり,鈴木先生が理学部で研究していた部屋のすぐ近くにある古い教室です。
イベントでは,高橋北海道知事と山口佳三理事・副学長の主催者挨拶の後,鈴木先生から科学への関心を広げるこのイベントを楽しんでほしいとのお言葉をいただきました。そして,工学研究院 山本靖典准教授の指導のもと,参加児童は各自で鈴木・宮浦クロスカップリングの実験を行いました。実験準備の手袋をつけることに苦労した児童も多くいましたが,鈴木先生や山本先生,司会を務めたミュージアムマイスターで理学部3年の三嶋 渉君と山本大貴君からアドバイスを受けながら,全員が実験を成功させました。
その後,鈴木先生への質問タイムが実施され,児童から「先生のクロスカップリングの特徴は何ですか」,「クロスカップリングの研究にはどれくらい時間がかかりましたか」,「実験は楽しいですか」,「先生はどのような子どもでしたか」などいくつもの質問が寄せられました。これらの質問に対し鈴木先生は,有機ホウ素と有機ハロゲン化物を用いた鈴木・宮浦クロスカップリングの特徴を解説し,クロスカップリングの研究を始めてからノーベル賞の受賞まで30年以上かかった,他の人が行っていない実験を行うのは楽しい,小学生の頃は釣りが好きで,勉強では特に算数が好きであった,などと丁寧に答えられました。そして,今日の話や実験は小学生には少し難しかったかもしれないが,中学・高校で学んでいく化学は決して難しいものではない,参加者の中から私と同じように化学の道に進む人が生まれたら嬉しい。しかし,化学に限らず,哲学でも経済でも文学でも,自分の好きなものを見つけてそれに一生懸命取り組んでほしいと語られました。
最後に,津曲敏郎総合博物館長が,鈴木先生のお言葉通りに,皆さんも夢中になれるものを見つけてほしい,様々な分野の展示がある博物館にもそのヒントがあるかもしれないと話しました。
サイエンスパークの終了後,司会を務めたミュージアムマイスターの三嶋君と山本君は,参加児童と保護者の方々を対象に,館内のノーベル賞受賞記念展示や恐竜,岩石の展示の解説を行いました。参加児童にとって鈴木先生と過ごした時間も,先生との記念写真も,良い思い出になったのではないでしょうか。