創成研究機構
6月8日(土),北大祭期間に合わせ「創成研究機構一般公開」を開催しました。昨年までは「電子科学研究所一般公開」に出展する形で参加してましたが,今年は初めて創成科学研究棟の一部を公開し,電子科学研究所からの移動にはベロタクシーを無料運行しました。また今回は,低温科学研究所,電子科学研究所,遺伝子病制御研究所,スラブ研究センターと合同リーフレットを作成し,シールラリーを実施するなど広報・集客の面でも協力しました。
当日は,子ども連れの家族を中心に幅広い年齢層の方がたくさん訪れ,最北端の研究棟が大いに賑わいました。正確な来場者数はカウントしていませんが,「どこから来たのかな?マップ(北海道と札幌市の地図)」にシールを貼ってくれた方は485名,ベロタクシーを利用した方は往復延べ269名でした。
午前中に実施したサイエンストーク「小さなザリガニの大きな秘密:DNAが語る北日本の歴史」では,小泉逸郎特任助教がニホンザリガニのDNAから判明した数百万年に及ぶ北日本の歴史と自然環境保護の重要性について語りました。会場に登場した本物のニホンザリガニの周りにはたくさんの子ども達が集まり,貴重な野生生物を間近に観察していました。
創成科学研究棟1階エントランスホールでは,スライムや人工イクラづくり,宝石や鉱物の観察等ができる体験型の展示コーナーを3つ設置しました。各展示コーナーの前には朝から終了時間を過ぎるまで絶えずお客様が訪れ,大変盛況でした。
3回開催した「同位体顕微鏡見学ツアー」では,圦本尚義教授がイトカワのサンプル分析等について解説しました。宇宙ファンの大人の方にも好評で,各回10名の定員はすぐに埋まってしまいました。
お昼には創成科学研究棟1階「レストランポプラ」も特別営業し,家族連れの方等が休憩しながら食事を楽しみました。
来場者からは「小さな子どもでも簡単にできる実験があり,子どもも喜んでいました」,「ベロタクシーのお陰で北の端まで満喫できました」,「立派な研究棟で驚きました」などのコメントをいただきました。
創成研究機構ではこの度の経験を生かし,今後も市民の皆さんが研究者と触れ合える場を提供していきたいと考えております。関係者の皆様のご協力をお願いします。
![]() サイエンストーク |
![]() 展示&体験コーナー |
低温科学研究所
6月8日(土)に低温科学研究所において,一般公開を開催しました。本研究所では従前より8月上旬のオープンキャンパスに参加し一般公開を行っていましたが,より多くの方々に低温科学研究所を知っていただくために,昨年より大学祭期間中に一般公開を実施することにしました。当日は晴天にも恵まれ,また今回は5研究所合同での実施ということもあり,来場者数が昨年の450名余から784名へと増えるなど,多くの市民の方々にお越しいただきました。
一般公開では,「実験・体験コーナー」「展示・実験コーナー」の他,大学祭で実施しているスタンプラリーにも参加し,小さなお子さんでも体験できるものから大学生に焦点を合わせた比較的高度な実験,日頃体験できない−50℃の南極疑似体験まで幅広くとりそろえました。特に各種実験コーナーではお子さんを連れたお母さん,お父さんにも熱心に取り組んでいただき,またシニアの方々からも最新の研究について質問がなされるなど,各ブースは大盛況でした。
展示や実験を通し対話をする中で,多くの方々が低温科学に興味を持っていることを実感できる貴重な機会となりました。また,お子さんの笑顔や一般の方々の喜ぶ姿を見ると,この一般公開を実施した教職員も,ぜひ来年も実施しよう,ますます良い研究を行なって社会へと発信しよう,という気持ちになり,一般市民の方々から元気をもらった非常に有意義な公開となりました。数多くの来場者がアンケートに熱心に回答してくださったことも,とても印象的です。来年度は要望を取り入れながら,より良い公開を実施していきたいと考えております。皆様のご協力,ご来場いただいた一般市民の方々,関係者の皆様に厚くお礼申し上げます。
![]() 南極−50℃疑似体験 |
![]() 洗剤の薄膜を用いた氷結晶の作成実験 |
電子科学研究所
恒例の電子科学研究所の一般公開を,北大祭期間中の6月8日(土)に,電子科学研究所新棟(北キャンパス総合研究棟5号館)で行いました。受付での集計で来場者数が1,153名と,実に多くの市民の方々にご来訪いただきました。特に家族連れが多く,小さな子どもを連れたお母さんやお父さんの姿が目立ちました。
一般公開では,子どもから大人まで楽しめる体験型の展示や,サイエンス・トーク(市民講座)を行いました。体験型の展示は,光・物質・生き物・数理・環境という5つのテーマに関する14展示を行いました。来場者からは「小学生の子どもが本当に楽しかったようです。家で色々調べてやってみるそうです」といった嬉しいご意見をいただきました。サイエンストークは,午前に創成研究機構による「ザリガニ」のお話1件と,午後に電子科学研究所による「光と石ころ」のお話2件が行われました。どの講演も大変好評で,一般の方から多くの質問がありました。
北大祭で賑わう中央キャンパスから少し離れた北キャンパスで一般公開を行うに当たり,今年度も昨年に引き続き,ベロタクシー(自転車タクシー)4台を,北18条門から電子科学研究所新棟まで無料運行しました。往復合わせ延べ712名がベロタクシーを利用されました。
また昨年に引き続き,札幌市教育委員会から後援をいただき,小樽市,江別市,石狩市,北広島市,恵庭市の教育委員会にもご協力をいただき総計500を超える学校にポスターを事前配布することができました。北大祭とも連携して,北大祭のパンフレットやウェブにも掲載していただいたほか,北大祭のスタンプラリーにも参加しました。5研究所・センター一般公開の合同開催については「北大祭と一緒に楽しめて良い企画だと思う」といったご意見をいただきました。会場の玄関前は,終日,シャボン玉遊びをする子どもで賑わい,研究の紹介の枠を超えて,研究所と市民が一体となった一日となりました。
![]() 水を使った不思議な実験を見入る参加者 |
![]() ベロタクシーを待つ列 |
遺伝子病制御研究所
遺伝子病制御研究所は,北大祭の開催に合わせ6月8日(土)に市民向け一般公開を行いました。今年は2回目の試みです。昨年は200名弱の入場者だったのですが,今年はなんと914名!5部局合同で準備を進めたことも大きく影響していると思われました。
内容としては,各研究室の研究内容をパネルで紹介し,簡単な実験体験,顕微鏡観察のコーナーを設けました。講演会として4名の教授が登壇し,iPS細胞,免疫,がん,乳酸菌に関するサイエンストークを行いました。また,希望者には実際の研究室をご覧いただき,詳細に研究内容について説明しました。小さいお子さんが実験に使う器具に実際に触れてみたり,高校生らしい女子学生が熱心に質問している光景などが数多く見られました。来場者の方からは,「生命科学に興味がわいた」「いろいろな病気の克服のために頑張って研究してください」など,温かいコメントが寄せられました。
数多くの方にご来場いただき,身が引き締まると同時に今後の研究を進めるうえでの活力となりました。今後もこのように社会に対し適切に情報を発信して行きたいと考えています。
![]() 顕微鏡で線虫をのぞいたり,クイズでプレゼント獲得に夢中 |
![]() 多くの家族が参加されたサイエンストーク(岡晃教所長) |
スラブ研究センター
スラブ研究センターは今年度,研究所合同の一般公開に初めて参加しました。文系の場合,理系のように実験や体験によって研究内容を説明することは難しく,またスラブ研究センターは他の研究所から位置的に離れているため,どのくらいの入場者があるか不安でしたが,当日は二百数十名の一般市民にご来訪いただけました。シールラリーに参加する小学生たちや家族連れ,学生のほか,日ごろセンターの講演会・研究会によく参加してくださる年配の常連の方々も多く来られました。
展示としては,センターの歴史や出版物の紹介のほか,センターの教員・研究員・大学院生の協力により,中央アジア・モンゴルのカラフルな民族衣装や帽子,ロシアのマトリョーシュカやサモワールをはじめとする工芸品,スラブ・ユーラシア諸国の紙幣などを用意しました。その中には,経済混乱期のインフレでゼロが11個も付いたユーゴスラヴィア(当時)の紙幣や,国際的には独立未承認の沿ドニエストル共和国の紙幣など,極めて珍しいものもありました。また,外国人特任教員のイリヤ・ザイツェフ氏(ロシア)の提供により,タタール人のイスラーム芸術の一つである絵(シャマーイル)も展示しました。
トークとしては,ユーラシアの国境問題,ロシアの国と風土のイメージ,そして地域研究のあり方について,3件の講演を行いました。また,国境問題・境界地域に関するDVDを随時上映しました。
初めての試みで全てが手さぐり状態でしたが,展示や講演について熱心に質問する方々の姿は,センターの研究者にとっても大変励みになるものでした。関係者の皆様にお礼申し上げます。
![]() トークの様子(越野 剛准教授・宇山智彦センター長) |
![]() 紙幣・絵画などの展示 |
(創成研究機構,低温科学研究所,電子科学研究所,遺伝子病制御研究所,スラブ研究センター)