部局ニュース

経済学部がプレゼン・ディベート大会に向けてセミナーを開催

 7月4日(木)午後2時40分から午後5時30分まで,人文・社会科学総合教育研究棟W103教室にて,経済学部・経済学研究科及び地域経済経営ネットワーク研究センターの主催によるセミナー「とかい暮らし,いなか暮らし−北海道で「豊か」に暮らすには−」が開催されました。このセミナーは,同じ題目で開催される経済学部主催の第10回プレゼン・ディベート大会(10月19日(土))のためのプレセミナー(事前勉強会)としても位置付けられています。セミナーの講師には,北海道で観光や農業の発展および地域の活性化に取り組んでいる3人の経営者の方々をお迎えしました。
 株式会社北海道宝島旅行社・代表取締役社長の鈴木宏一郎氏は,「憧れの大地『北海道』−住んで良し,訪れて良しの観光地域づくり−」と題して,地域活性化における観光振興の重要性について講演されました。従来の発地型観光(観光客が出発する都市部にある旅行者が企画するもの)から着地型観光(旅行先にある旅行者や地元住民が企画するもの)へ移行し,地域の持つDNA(歴史・文化・生活などの観光資源・魅力)を活かした地域住民による観光振興を図ることにより,地域住民は自らの地域に対する魅力を再認識できるとともに,観光客はその地域のファンになって長期滞在,再訪,さらには移住をするに至る可能性が高まることが解説されました。
 株式会社GB産業化設計・代表取締役の岩井宏文氏は,「国家百年を占う分水嶺−農業は農村を元気にできるのか!−」と題して,農業からはもっと利益が生み出される余地があることについて講演されました。農作物を作って売る1次産業にとどまらず,加工してさらには飲食店を開業するなどの「6次産業化」を図ることによって地域の所得向上や雇用確保が可能になること,そしてそのためには仮説(目標,意思・信念,方策など)を持つことの必要性を示唆されました。
 株式会社ノーザンクロス・代表取締役の山重 明氏は,「新しい地域経営の時代−森林・農山村・都市のリンケージ−」と題して,今後人口が減っていくことを念頭に置いたうえで,地域経営がいかにして展開されるべきかについて講演されました。都市と農村が連携することで地域経営が展開されること,したがって「とかい」と「いなか」はつながっており,対比ではなく互いに互いの存在が必要であるという関係にあるという視点が提示されました。さらに,現代の地域経営においては公と私の間をつなぐ新しい公共(社会貢献活動,ソーシャルビジネス,民間非営利活動)が必要であることが指摘されました。
 3人の講師の方々の講演から,北海道の気候・自然は世界の人たちから見ても非常に魅力的であり,それをいかに活かしていくかを各地域の住民が考えて自ら動くこと,及び主体となって動ける人材を確保することの重要性と課題を強く感じることができました。熱意あふれる講演の後には質疑応答が行われ,130人を超える参加者の方々から多数の質問が寄せられました。また,またディベートに際してのアドバイスもいただきました。10月のプレゼン・ディベート大会では,本セミナーの内容を活用した大きな成果が期待されます。大会はサステナビリティ・ウィーク2013の参加行事として開催され,どなたでも見学していただけますので,この文章をお読みの方々にもぜひお足をお運びいただけましたらうれしく存じます。
講演する,鈴木氏,岩井氏,山重氏

講演する,鈴木氏,岩井氏,山重氏

熱心に講演を聴く参加者

熱心に講演を聴く参加者

活発な質疑応答の様子

活発な質疑応答の様子

(経済学研究科・経済学部)

前のページへ 目次へ 次のページへ