6月27日(木),大学文書館では,1908(明治41)年東北帝国大学農科大学農芸化学科を卒業し,台湾総督府技師・台湾総督府農業試験所長・台北帝国大学理農学部教授を務めた澁谷紀三郎(1883-1951)にまつわる資料を,再び,ご令孫の澁谷紀直氏よりご寄贈いただきました。
この度,受贈した資料は,(1)肖像・集合写真6点(1910〜1920年代),(2)履歴4点,(3)台北地図2点,(4)澁谷家関連書籍(写)2点などの16点です。
(1)には,台湾総督府に勤務する同窓生と撮影したものや台湾総督府農事試験場婦人会の写真などがあります。また,(3)には「台北市(青田街)旧日本人住宅位置図」(2004年作成)があり,台北市青田街(旧昭和町)にあった官舎の位置・居住者名簿が復元されています。同位置図からは,台北帝国大学・同大学附属農林専門部・台北高等商業学校などに勤務する教官たちが旧昭和町に暮らしており,コミュニティを形成していたことがうかがわれます。
なお,6月27日当日には,澁谷紀直氏の来館を記念して,当館にて,札幌農学校・東北帝国大学農科大学における澁谷紀三郎の入学・在学・卒業関連資料と,台湾総督府勤務時代の著作資料を陳列しました。著作資料のひとつである,『台湾特殊土壌分布図』(1912年,台湾総督府民政部殖産局)は,アルカリ性・酸性土壌の調査・判定結果を示した台湾全図であり,土性調査に尽力した澁谷紀三郎の足跡がうかがわれ,澁谷紀直氏もとりわけ熱心にご覧になられていました。
大学文書館では,受贈資料を大切に保存・活用していきます。