外部資金獲得セミナーを開催
9月18日(水)から20日(金)にかけて,学内の研究者等(一部セミナーについては,他大学からの参加者も受付)を対象とした「外部資金獲得セミナー」を開催しました。
従来個別に開催していた,研究戦略室主催の「科学研究費申請セミナー」,産学連携本部主催の「知財セミナー」,産学連携本部及びURAステーション主催の「民間企業からの外部資金獲得セミナー」について,今年度は3日間の日程で集中的に行う合同セミナーとしました。また,函館キャンパスにおいてもテレビ会議システムを利用し,当日リアルタイムで受講できるようにしました。
年々獲得の必要性が増している外部資金,特に科学研究費助成事業(科研費),独立行政法人科学技術振興機構(JST)及び独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の公募事業,民間企業からの共同(受託)研究費にスポットを当て,制度内容や資金獲得のコツについて説明するとともに,知的財産の基礎,安全保障輸出管理,研究サンプル(研究成果有体物)のやりとり(MTA=Material Transfer Agreement)に関するセミナーを開催し,延べ336名に参加いただきました。
以下,開催したセミナーの各内容について,ご紹介します。
産学連携本部の紹介
普段なかなかPRする機会のない産学連携本部について,スタッフの顔ぶれや業務概要,そして最近の取り組み等を30分ほど紹介しました。本学における産学連携のワンストップ窓口として,今後も様々な相談を引き受けますので,お気軽にご連絡ください。
知財の基礎知識
例年開催している知財セミナーとして,今回は「知的財産の基礎知識」をテーマとして講習を行いました。知財と聞くと,難しい法律用語がたくさん登場する制度説明というイメージがありますが,今回の参加者の属性は研究者と事務職員とがほぼ半々であり,どのような立場の方でも楽しく知財を学べるように講習内容に工夫を凝らし,思わず「へぇ〜」と言ってしまうようなトリビア的な事例や誰もが一度は耳にしたことのある裁判事例等を通して,そこから知財の基礎的な知識が学べるようにしました。参加者からは「2時間の講習時間があっと言う間に過ぎました」,「とても楽しく学べました」等の声を頂きました。
産学連携本部では,今後も様々なテーマの知財セミナーを開催していきます。
 講演の様子(産学連携本部 斎藤幸隆マネージャー) |
科研費セミナー:研究計画調書作成のためのヒント
例年,科学研究費助成事業(科研費)の応募にあたり,採択率の向上,申請手続き等の円滑化を目的として開催しているところですが,今年度は,若手研究者など初めて科研費に応募する方を想定し,科研費の審査委員を務め,模範となる書面審査を行ったとして表彰された市川 聡薬学研究院准教授に講師をお願いし,科研費の審査の仕組や研究計画調書作成のアドバイスについて講演を行いました。
このほか,外部資金戦略課の担当者から平成26年度科研費における変更点,応募にあたっての注意事項やチェックサービスについての説明を行いました。参加者からは「読む人を意識した調書作りができそう」などの感想があり,研究計画調書の効果的な記載方法について多くの質問が寄せられました。
なお,今回のセミナー資料については,学内科研費ホームページに掲載し,講演の様子はDVDとして各部局に配付しています。
 講演の様子(薬学研究院 市川准教授) |
 昨年度からの変更点の説明(外部資金戦略課) |
民間企業からの外部資金獲得
今年3月に引き続き,民間からの外部資金獲得というタイトルで,主に民間企業との共同研究に関する留意点や金額交渉のコツなどについて概説しました。
国等の競争的資金の獲得と比べて研究費獲得に必要な申請書類等が少なく,また社会貢献という観点では自らの研究成果が製品等の形で具体的に見えてくる企業との共同研究は,大学における研究形態の一つとして今後益々その重要性が増してくると考えられます。
また,国の施策に鑑みても,大学の産業界への貢献が強く求められている状況にあります。産学連携本部では今後もこれまでの産学連携ノウハウをベースに今回のような情報提供,サポートを続けていきたいと思います。
 講演の様子(産学連携本部 須佐太樹マネージャー) |
URAステーションの紹介
北海道大学は,国際共同研究のコーディネート,本学の研究開発戦略策定,大型外部資金獲得支援などを行う組織として,URAステーションを設置しています。URAとは「大学等において,研究者とともに研究活動の企画・マネジメント,研究成果活用促進を行うことにより,研究者の研究活動の活性化や研究開発マネジメントの強化等を支える業務に従事する人材」のことで,文部科学省が全国の大学で整備を進めています。本学のURAステーションは昨年10月に設置され,これまでに,文部科学省「地域資源等を活用した産学連携による国際科学イノベーション拠点整備事業」や「研究大学強化促進事業」の申請支援や,URA業務を概観する入門セミナー等を行ってきました。
本発表では,URAステーションの松浦孝範特任助教(リサーチ・アドミニストレーター)が,日本でURAが注目され始めた背景やURA業務・活動の紹介,これまでの活動の紹介などを行いました。
大学全体で獲得すべき外部資金は今後も増加し続けると考えられます。さらに人材や機能強化を図り,研究者の支援活動を充実させて参ります。
JST, NEDO公募事業の概要
公募事業の概要説明というテーマで,独立行政法人科学技術振興機構(JST)副調査役の塩野圭介氏,及び独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)主査の高橋世理哉氏を講師としてお招きし,講演いただきました。
今回の3日間のセミナーのうち,本セッションのみ,その内容に鑑みて他大学等も参加可能なオープンセミナーにしたところ,道内の複数の大学,高等専門学校等からも多数の参加がありました。内容は事業概説に加えて申請書作成のコツなどが紹介され,参加者は皆一様に満足した様子でした。
 講演の様子(JST 塩野副調査役) |
 講演の様子(NEDO 高橋主査) |
 熱心に話を聞く学内外の受講者 |
安全保障輸出管理の基礎
本学で安全保障輸出管理体制を導入した際に初めて行った平成22年3月の説明会以来,各部局での担当者変更等に伴い,全学的に基礎的事項の説明を行う重要性及び必要性に基づき,「安全保障輸出管理の基礎」を開催しました。
各部局で安全保障輸出管理を担当している参加者の大半が,本業務を受け持って日の浅い初学者であったため,主に,確認の流れや本学における必要書類の記入方法等の基本的手続きについて説明した後,実際に必要事項を法的書類と照合して調べて事前確認シートに記入する作業にグループで取り組みました。このケーススタディにより,輸出を行う研究者が充分な時間的猶予を持って学内申請する必要性に自発的に気が付く等,積極的な姿勢が随所に見られ,充実した説明会となりました。
部局内での引き継ぎやマニュアル作成等が,本業務の手続や該当法律の知識継承における課題のひとつであるため,本説明会の参加が新規担当者の知識習得の場となるよう,今後も継続的に説明会を開催するとともに,実務に即したわかりやすい説明を心がけたいと思います。
部局担当者への説明会以外にも,輸出や技術指導を実際に行う研究者等への周知が,今後残された大きな課題です。
なお,平成22年3月の説明会の動画は,本学安全保障輸出管理のサイト(安全保障輸出管理に関する説明会(平成22年3月26日)動画配信)で見ることができます。
◆安全保障輸出管理
http://www.hokudai.ac.jp/research/export-control/
 講演の様子(産学連携本部 佐久間温子マネージャー) |
研究成果有体物の取り扱いについて
一昨年,昨年に引き続き,今年も研究成果有体物の取り扱いに関する講習会を開催しました。
一昨年の規程改正をきっかけに定期的な制度説明の機会を設け,継続した周知活動を行った結果,事務職員を中心に成果有体物の取り扱いに関する認知度が高まってきています。教員への周知が今後の課題ですが,一方で教員認知度も少しずつ高まっている兆しがあり,昨年度は教員からの相談を発端とする有償譲渡機会に恵まれ,結果として成果有体物収入が知財関連収入全体の2割前後を占めるまでになりました。
今後も同様の講習会を定期的に開催し,粘り強く周知に努めたいと思います。
 講演の様子(産学連携本部 須佐太樹マネージャー) |
(産学連携本部・創成研究機構・研究推進部)