役員便り

理事・副学長 川端 和重

グローバル社会の中で
       個性豊かな大学に

理事・副学長 川端 和重 (かわばた かずしげ)

 本学が国立大学法人となってはや10年目になります。国立大学時代には文部科学省と連携を図り,すべての大学が何をするにも横並びでした。法人化後の国立大学は,グローバル化した社会の中における自らの使命を再認識し,各大学の特長を活かして使命を遂行することが求められています。各国立大学法人のそれぞれの使命とその達成に向けての活動は大学の有り様を変え,その結果として,我が国の大学は豊かな新しい個性を持つ大学に生まれ変わろうとしています。

 北海道大学は,どのような個性を持つ大学に生まれ変われば良いのでしょうか?

 大学の個性とは,大学の使命を達成する活動から自ずと表れてきます。これまでも研究や教育には大学として注力してきましたが,法人化により自由度が増した今,大学が果たすべき主な使命は,最先端研究の強力な推進や高度グローバル人材の育成です。これらの具体的な施策内容は多岐にわたります。後者について,本学では「新渡戸カレッジ」などを通じてグローバル人材の養成を進めています。そのプロセスや成果がどのように社会と関連しているかを,企画段階から具体的に意識して推進することが重要であり,このことが本学の特長を活かした教育,すなわち北海道大学の個性につながります。

 また,社会との繋がりを意識した大学づくりを考える上では,積極的に「社会貢献」について考えていかなければなりません。これは,「研究」,「教育」に並ぶ大学の3つ目の機能として,その必要性は今に始まったわけではありません。しかしながら,社会貢献は本業の余力で行うものという意識が働き,優先順位は研究と教育の次に位置していたと思います。しかし,今ではそれらと同等の重要性を持つことから,先に研究と教育が大学の主な使命であると述べましたが,社会貢献を大学機能(使命)の基軸とする時代が来たと考えています。

 社会貢献の効果的な推進策のひとつとして「産学官連携」があります。主な連携活動として,研究成果の事業化と,学界のみならず産業界等の多様な分野で活躍する高度人材の育成が挙げられます。特に前者に注目すると,従来の考えでは,個人の研究成果を特許化して,企業等の技術移転先を探し,企業において事業化を行い,大学が知的財産収入を得るというのが一般的なモデルです。しかし,社会との関係を優先的に考えると,ゴールは将来の社会を豊かにする(社会的課題を設定して解決する)ことであり,そのためには分野を超えて研究を企画・推進させ,さらに新産業創出等の成果を社会に一早く還元して形にするため,企業等との組織的な連携を進めることが必要となります。

 本学では,このような観点での「社会貢献」を更に進めるため,産学連携本部の機能を強化しています。学内の個別研究プロジェクトを体系的に連携させ,企業との組織的な産学官連携を促進することで,より社会課題の解決に実質的につなげるため学内インフラ整備を進めています。現在は,食・健康に関する研究,医療・創薬に関する研究,さらには大型機器の共同利用に関する取り組みがスタートしています。食・健康に関する研究では,国際科学イノベーション拠点整備事業に採択され,平成26年末には,北キャンパスエリアに関係企業約10社が入居するフード&メディカルイノベーション国際拠点施設が建設され,新しい産学官連携が始まります。

 グローバル社会の中でどのような大学に生まれ変わるかは,構成する職員の意識が作るものだと考えます。本学の将来を的確に判断できるように情報を伝え,最も効果的な方法を共に考え実践していきたいと思いますので,ご理解とご協力をよろしくお願いします。

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