第16回ソウル大学・北海道大学 ジョイントシンポジウムを開催
 全体会での集合写真 |
第16回ソウル大学・北海道大学ジョイントシンポジウムが,12月12日(木)から14日(土)の3日間にわたり,韓国ソウル大学にて開催されました。本学とソウル大学は,1997年に大学間交流協定を締結し,これを記念して1998年に第1回合同シンポジウムを札幌で開催して以来,毎年交互に当番校となって合同シンポジウムを開催しており,今年で16回目となります。
12月12日(木)には,「The Impact of Aging Population on the Future of Asia: The Experience of Korea and Japan」というテーマで全体会が開催され,ソウル大学 Yeon-Cheon OH総長及び本学 山口佳三総長の挨拶に続き,本学公共政策学連携研究部 蛯子准吏教授,ソウル大学社会政策学部 Sang-Hoon AHN教授による基調講演が行われました。その後のレセプションでは,韓国の伝統的な音楽演奏や歌が披露されました。
全体会に加え,シンポジウム期間中(一部のものを除く)には,文系から理系にわたる幅広い分野で,過去最多となる19にも及ぶ分科会が開催され,それぞれの分野において,教員,研究者,学生等による研究発表や活発な意見交換が行われました。中には,ソウル大学,本学以外の大学が参加する分科会もあり,より広い視点からの議論を行うことができました。
今回のシンポジウムには,本学からは120名を超える教員・研究者・学生等が参加しました。第16回目を迎えた本シンポジウムは,質・量ともに充実し,教員だけでなく,若手研究者や学生にとっても研究成果を発表するための貴重な機会となり,本学とソウル大学との交流促進の大きな原動力となりました。今後も本シンポジウムの開催を通じて,韓国屈指の有力大学であるソウル大学との連携・協力関係を強化していきます。
 ソウル大学OH総長への表敬 |
 山口総長の挨拶 |
 ソウル大学の学生によるパフォーマンス |
(国際本部国際連携課)
分科会1
The Present Chemistry at SNU and HU
最先端化学に関する二国間シンポジウム:現状と将来/理学研究院 教授 石森浩一郎
12月13日(金)にソウル大学の化学部Mogam Hallの講堂で日韓の教員,大学院生50名以上の参加者を集めて本分科会を開催しました。本学からは教員8名(理学研究院3名,工学研究院4名,電子科学研究所1名)が基調講演1件と招待講演7件を,大学院生8名がポスター発表を,一方ソウル大学からは教員4名が基調講演1件と招待講演3件を,大学院生23名がポスター発表を行いました。材料から生物にわたる広い学術領域でのナノスケールの材料設計,物性測定,機能評価,さらに最新の分光学的手法によるナノ構造やその特異な物性の解析など,両大学の化学関連部門が強みとする分野における最新の成果が発表されました。
今回も前回同様,大学院生による各3分間のポスタープレビューの口頭発表があり,緊張気味ながら研究成果を一生懸命アピールする姿が印象的でした。講演では制限時間を超えての熱心な質疑応答が行われたためスケジュールが遅れ,最後のポスターセッションの時間が短くなったのは残念でしたが,ポスター発表では大学院生間で懇親会直前まで討論が交わされ,両大学間の今後の協力関係について,次世代の若い力を心強く感じる機会となりました。懇親会においても,日韓の教員,大学院生との歓談の中で今後の相互訪問や共同研究,次回シンポジウムに関する提案も出され,両大学間協力関係の今後のさらなる発展が期待される,双方にとって実り多いシンポジウムでした。
 シンポジウム会場(化学部Mogam Hall)の入口 |
 開会の挨拶で本学の紹介をする石森教授 |
分科会2
Toward understanding of our environment
環境の理解に向けて/地球環境科学研究院 教授 吉川久幸
本分科会では,「アジアにおける大気・陸域の環境変化」と「北太平洋西部海域の現状と将来予測」を取り上げました。まずGuebuem Kim教授による歓迎の挨拶で始まり,午前中は本学環境科学院とソウル大学地球環境科学科の大学院生が環境及び海洋に関する様々な研究について発表しました。このセッションでは,本学から5名が,ソウル大学から4名が汚染物質の排出規制,二酸化炭素の動態,海洋循環の変遷,地下水や湖沼の重金属汚染除去など環境の諸問題に関して口頭発表しました。大気圏,陸圏,海洋の化学物質の循環や環境問題解決のための技術開発,更には社会科学的な内容を取り入れたものまであり,扱う内容は広い範囲に及びました。
午後のセッションでは,本学理学研究院から5名,ソウル大学地球環境科学科から4名が海洋の10年変動や黒潮続流に関する理論的な取扱い,溶存酸素や酸性化など物理,化学,生物に関して,それぞれの研究内容を紹介しました。出席者は,時間帯により増減がありましたが,20〜30名程度でした。
午前,午後の発表に関して,本学とソウル大学の双方から積極的に質問やコメントがあり,学生にとっては貴重な体験になったようです。
研究発表の後,本学地球環境科学研究院の吉川久幸教授が来年度分科会の見通しなどについて話をし,再会を約して終了しました。分科会は予定していた時間を超過するほどの,熱心な意見交換の場となりました。
 分科会の様子 |
分科会3
International Relations of Young Researchers in Algebra and Related Fields
代数学及びその関連分野における若手研究者の国際交流/理学研究院 准教授 澁川陽一
本分科会はソウル大学数学教室にて12月13日(金)に開催されました。昨年度の分科会代表者から,本年度の分科会は代数を主題としてみてはどうか,また学生が発表する機会を設けたいなどの意見があったことを引き継ぎ,本年度は「代数学及びその関連分野における若手研究者の国際交流」と題し,大学院生の教育並びに若手研究者の育成に貢献することを主目的のひとつに掲げました。この趣旨に則って,本学からは,大学院生4名(うち1名は中国からの留学生),研究員1名,教員1名の計6名が参加しました。ソウル大学からも,博士課程学生及びポスドクを中心とした参加となりました。
分科会では,まず代数や数論に関係する7講演を行いました。よく準備された講演が多く,専門外の内容であっても理解することができました。講演終了後は,場所を別の階に移してポスター発表を行いました。会場がオープンなスペースであったことも影響してか,講演の際とは異なり,両大学の若手研究者が打ち解けて話をする場面も見られたのが印象的でした。
最後になりましたが,本分科会の開催にあたり多大なご尽力をいただいたByeon教授をはじめとするソウル大学の皆様に,心から感謝します。
 ポスターセッションの様子 |
分科会4
International Workshop on New Frontiers in Convergence Science and Technology
2013コンバージェンス科学技術フロンティアに関する国際ワークショップ/情報科学研究科 教授 平田 拓
12月13日(金)に,本学情報科学研究科とソウル大学統合科学技術研究科による4回目となるジョイントワークショップを開催しました。情報科学研究科のカウンターパートであるソウル大学の当研究科は,2009年に設立された新しい研究科です。本学からは情報エレクトロニクス専攻と生命人間情報科学専攻の教員5名が,ソウル大学からも5名の教員がナノマテリアル,バイオイメージング,コンピュータサイエンスに関する口頭発表を行いました。また,午後の休憩時間帯を利用して,本学の大学院生5名とソウル大学の大学院生5名が日頃の研究成果をポスター発表しました。
ワークショップ終了後,両大学の大学院生が急遽一緒に夕食へ行くことになり,期せずして若い大学院生同士の日韓交流が実現しました。また,今回のジョイントワークショップを通して,両大学の教員の間で教育や研究について意見を交換し,大いに相互理解を深めました。引き続き,ナノマテリアル,バイオイメージング,コンピュータサイエンスに広がる複合的な領域で,交流を続けることが期待されます。次回は札幌で再会することを誓い,ジョイントワークショップを閉会しました。
 ジョイントシンポジウム開催に先立ち,本学とソウル大学の参加者で記念撮影 |
分科会5
Nanopharmaceuticals for Next Generation
次世代のナノ医薬品/薬学研究院 特任准教授 梶本和昭
12月13日(金)に開催された本分科会は,ソウル大学薬学部のYu-Kyoung Oh教授の提案により,2010年の第13回ジョイントシンポジウムの際にスタートしました。4年目となった今回からは,ソウル大学薬学部のJoon Myong Song教授が主宰する研究室の研究員,大学院生も新たに参加し,両校の教員・学生を併せて30名以上が参加し,終日にわたって活発な討論が展開されました。本分科会では,前年度から博士研究員や大学院生など若手研究者の積極的な参加を促進する目的で優秀発表賞の選考を導入し,今年度も9名の博士研究員・大学院生が英語による口頭発表及び討論を互いに競い合いました。また,昨年度同様に両校の教員だけでなく大学院生・学部生を含む全ての聴衆による投票によって受賞者を選出するという総選挙方式での選考方法も継続され,聴衆として参加した学生も,他者の発表を詳細に分析し,積極的に学び取ろうとする姿勢が垣間見られました。本学から参加した大学院生3名も自身の発表だけでなく,質疑応答やその後の交流会において,ソウル大学の学生達と熱心にコミュニケーションを取る様子が見られ,本分科会を盛会裡に終えることができました。
今後もこのような国際的友好関係を継続的に発展させるとともに,両校の若手研究者・大学院生が互いに刺激し合うことで切磋琢磨する「協調と競争の関係」を維持するよう努めたいと考えています。
 分科会での集合写真 |
 優秀発表賞の記念写真 |
分科会6
Current Advances in Veterinary Bioscience
獣医バイオサイエンス分野における最近の研究話題/獣医学研究科 准教授 寺尾 晶
本分科会は,12月13日(金)午後1時から6時まで,ソウル大学獣医学部のSchofield Hallにおいて開催されました。本シンポジウムの準備にご尽力いただいた Je-Yoel Cho准教授の司会のもと,ソウル大学獣医学部長 Pan Dong Ryu教授から開会の挨拶がありました。引き続き,本学から5名,ソウル大学から5名の合計10名の教員により,獣医学における最新の基礎研究成果が発表されました。シンポジウム当日は,学部学生の試験期間中ということもあり,昨年よりも若干参加者が少ないようでした。しかしながら,発表に対する質問が相次ぎ,活発な討論が展開され,参加者は充実した時間を共有することができました。最後に本学の稲葉 睦獣医学研究科長による「今後とも益々深い研究交流を期待する」という閉会の言葉と共に,盛会のうちにシンポジウムを終えました。シンポジウム開催前にはソウル大学教員による附属動物病院の案内が行われ,韓国における獣医療の現状について説明がありました。また,シンポジウム後の懇親会では,アジアにおける獣医学教育連携についての意見交換を行い,今後とも両大学で協力体制を構築していくことを確認しました。
来年度に本学で実施する次回分科会の開催トピックスについては今後,両大学の教員の間で検討を進めていく予定です。
 獣医学部長室での打合せの様子 |
 分科会参加者の集合写真 |
分科会7
Individualization and Liberalism in Korea and Japan: Implications of Ageing Society
韓国と日本における個人化と自由主義:高齢化社会の含意/文学研究科 准教授 村松正隆
本分科会は12月13日(金)に,ソウル大学にて行われました。本学より2名,ソウル大学より4名の発表者があり,その他,指定討議者並びにソウル大学の大学院生も参加しました。
Han Sang-Jin教授による,日韓中参加国における自由主義の進展と個人化への影響を総括する基調講演の後,本学,ソウル大学双方の発表者による発表が行われました。発表は,各発表者の専門を活かしつつアジアにおける自由主義の影響を論じるものでしたが,新儒教における公共性を論じるものや丸山眞男の現代性を論じるものといった思想史的なものから,実証的なデータ分析に基づく韓国社会の現状分析まで,多彩な内容を含むものでした。本学文学研究科 櫻井義秀教授による,日本におけるペット葬の変貌を個人化と結びつけて論じる発表は,ソウル大学からの参加者の関心を大いに惹くものでした。
本分科会は初めて開催されたものでしたが,Han教授の見事なリーダーシップのもと,終始和やかな雰囲気の中,活発な議論が交わされました。自由主義の進展をどう捉えるかという重要な課題について,韓国の人と意見を交わすことができたことは,同じアジアに生きる者として貴重な経験でした。この分科会を来年以降も継続することを約しつつ,本分科会は終了しました。
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参加者による記念写真 |
分科会8
Bringing Together for Future Creative Society: Research in Science Learning in Formal and Informal Settings
これからの創造的社会に向けて:フォーマル及びインフォーマルな設定における理科学習/高等教育推進機構(CoSTEP)特任准教授 石村源生,教育学研究院 教授 大野栄三
本分科会は12月17日(火)午後4時から18日(水)午後5時半にソウル大学Education Information Hallで開催され,4つのサブ・テーマで理科教育研究の成果が活発に議論されました。ソウル大学側の代表はChan-Jong Kim教授が務めました。
本分科会参加者は,17日にソウル大学側が主催するSynergies Symposium: Students' Science-Related Experiences and Their Interest Development(シナジー・シンポジウム:児童・生徒が持つ科学関連の経験と興味の発達)にも参加し,研究交流を行いました。
本分科会には,2010年から台湾師範大学(National Taiwan Normal University)も参加し,以降SNU-HU-NTNUジョイントシンポジウムとして開催していますが,今年は,ソウル大学の尽力で,韓国内の他の2大学と1研究機関,そして米国からの参加もありました。本学からの4名,ヘルシンキ大学から招聘した1名,東京学芸大学からの2名の参加者と合わせて,国際色豊かな分科会となりました。ソウル大学からの参加者45名(学生30名を含む)も合わせると,参加人数は63名でした。来年は台湾での開催を予定しています。
 ポスターセッションの様子 |
 集合写真 |
分科会9
3rd Joint Symposium on Public Health and Sustainability
−Global Health and Population Aging−
第3回パブリックヘルスとサステナビリティに関するシンポジウム−高齢社会と国際保健−/医学研究科 助教 大林由英
12月12日(木),ソウル大学公衆衛生大学院において,第3回目となる本分科会を開催しました。本分科会は,サステナビリティ・ウィーク2010における本学医学研究科とソウル大学公衆衛生大学院との交流をきっかけとして企画されたものです。
本学からはソウル大学へ教員3名と大学院生・ポスドク2名を派遣し,前半は国際保健,後半は高齢化をテーマとしたセッションを設ける2部構成としました。国際保健のセッションでは,国連ミレニアム開発目標の主軸の一つである母子保健の向上に関する研究や,エチオピアやスリランカにおける人口学的・疫学的研究発表がなされました。高齢化のセッションでは,介護に対する高齢者の意識や,気候変動による健康影響の研究などについての発表が行われました。約20名の参加者による活発な討論が行われました。
今回で3度にわたり,交互に開催を重ねてきた本分科会における活発な討論を通じ,本年度には日本側が日本学術振興会,韓国側が韓国研究財団のサポートを受けての2国間共同研究プロジェクトもスタートするなど,交流を継続してきたことが実を結び始めています。今後も両大学による公衆衛生の持続的な研究・教育の発展に寄与すべく交流を発展させていく予定です。
 Soonman Kwonソウル大学公衆衛生大学院長の挨拶 |
 Gizachew Balew(ソウル大学公衆衛生大学院博士課程) |
 Khaltar Amartuvshin(本学医学研究科博士課程) |
 Seungman Cha(ソウル大学公衆衛生大学院博士課程) |
分科会10
9th SNU-HU Symposium on Mechanical and Aerospace Engineering
第9回機械工学と航空工学に関するシンポジウム/工学研究院 教授 大島伸行
12月13日(金)午前9時から午後5時まで,ソウル大学工学部301号館10階会議室において,分科会「第9回機械工学と航空工学に関するシンポジウム」を開催しました。本学から教員4名,大学院生12名が参加し,ソウル大学からHaechoen Choi教授,Dongjun Leeら教員6名,大学院生14名が参加しました。開会の挨拶の後,両大学教員より9件の学術講演及び大学院生による26件のポスター発表が行われ,多く活発な議論がなされました。また,これらの講演を挟んで1時間ほどの時間をかけ,ソウル大学機械航空工学科の4か所の研究室を見学しました。
講演会後の懇親会では,ソウル大学教授で韓国宇宙開発研究所長を兼任されている Seungjo Kim博士らも参加して,両国の機械・航空工学分野の学術・産業に関する有意義な議論を交わすとともに親睦を深めることができました。また,学生参加者らもソウル大学学生の企画にて別途懇親パーティを催し,両大学のキャンパス事情を知るなど親密な交流を得られたようです。
来年は本学にて第10回ワークショップを行う予定です。
 参加者の集合写真 |
 大学院生らによるポスター発表 |
分科会11
Democracy and Mutual Understanding in East Asia
東アジアの民主化と相互理解/法学研究科 教授 山口二郎
この分科会では,内政と国際関係の2つのセッションを設け,それぞれ本学,ソウル大学の研究者が報告を行い,議論を進めました。
内政のセッションでは,本学法学研究科 山口二郎教授とソウル大学国際研究大学院 パク・チョルヒ教授が政権交代以後の政治システムというテーマで報告を行いました。日韓ともに,政権交代を経験した結果,国民の政治に対する要求の高まりと,政府の政策的能力との間のギャップが広がり,かえって政治の振れ幅が大きくなるという問題点が露呈していることが指摘されました。
国際関係のセッションでは,本学公共政策大学院 遠藤 乾教授がカウンター・グローバリゼーションという理念を提示し,新自由主義的な政策強制ではなく,各国の持つ優れた政策実績から出発するハーモナイズ・アップという戦略を示し,東アジアで日韓による政策対話を進める道筋を示しました。
日韓関係が冷え込む中,日韓の政治学者が率直に対話し,お互いが抱える政治上の難問を理解し合い,今後進むべき政策路線についての最低限の合意を共有できたことは,極めて有意義でした。
 遠藤教授の報告 |
 報告者の集合写真 |
分科会12
Japan-Korea International Symposium in Ophthalmology
第8回日韓眼科シンポジウム/北海道大学病院 診療准教授 南場研一
11月23日(土)に第8回日韓眼科シンポジウムがソウル大学病院にて行われました。本学からは大野重昭名誉教授,北海道医療大学教授 兼 本学客員教授の北市伸義氏,北海道大学病院の南場研一診療准教授の3名が参加しました。ソウル大学眼科からはHum Chung教授,Hyeong Gon Yu教授をはじめ,15名の教員が参加しました。大野先生及びHum教授の座長のもと,本学から2題,ソウル大学から4題の講演が行われ,いずれも興味深い演題が多く活発な議論が交わされました。午後には韓国ぶどう膜炎学会の会員も加わり,大野先生が「フォークト・小柳・原田病の診断と治療」について約1時間の講演を行い,会場から喝采を受けるとともに,韓国の先生方からの多くの質問に丁寧にお答えになっていました。
前日の11月22日(金)には韓国ベーチェット病会議に招かれ,本学からもベーチェット病に関する演題を2つ発表しました。
2日間を通してソウル大学の先生方と交流を深めることができ,また,今後の共同研究を行う基礎を築くことができました。
シンポジウム後の懇親会では双方の眼科医療事情や生活習慣の違いなどについて楽しく議論し,親睦を深めることができました。来年は本学にて第9回日韓眼科シンポジウムを行う予定です。
 第8回日韓眼科シンポジウムの参加者 |
 韓国ぶどう膜炎学会の会場の様子 |
分科会13
Food Safety and Health
食の安全と健康/農学研究院 教授 小林泰男
12月13日(金)にソウル大学農業生命科学部の講義室にて,本分科会を開催しました。例年に倣って,ソウル大学及び本学から各3名の教員が選ばれ,計6題の講演が交互になされました。両大学の責任者であるソウル大学 Ryu Sangryeol教授と本学農学研究院 小林泰男教授が挨拶し,その後の司会進行を務めました。聴衆はソウル大学の大学院生41名と本学教員4名を含む9名の教員でした。参加者の大半は分科会トピックに関連する分野の研究者のため,質疑も比較的活発でしたが,開始時刻が暖房故障の関係で遅れ,かつ時間超過の演題がいくつかあり,予定の閉会時間を30分ほど延長せざるを得ませんでした。
本学からは農学研究院の小関成樹准教授(食品加工),石塚 敏准教授(食品栄養),小池 聡助教(家畜栄養)の3名が話題提供をしました。国際経験豊富な新進気鋭の研究者の力を得て,本学の研究レベルの高さをソウル大学の皆様に紹介できる良い機会となりました。
今後は分科会の守備範囲を少し拡大し(例えば「食生産,機能性及び安全」),参加可能な教員枠と聴衆を増やすこと,時間枠を広げ討議時間を保証すること,などが分科会後の反省会で話し合われました。従って次回の本学開催時には,よりスコープを広げた分科会になりそうです。
最後に,全体会議から分科会に至るまでのプログラム編成などに尽力され,ご支援いただいた関係者及び本学国際本部に感謝いたします。
 分科会終了後の集合写真 |
分科会14
The 1st seminar on Renewable energy and Indoor Air Environment for Comfort and Energy Conservation in Buildings
第1回建物の快適性と省エネルギーのための再生エネルギーと室内環境に関するセミナー/工学研究院 助教 姜 允敬
環境システム工学研究室では初めて,ソウル大学のジョイントシンポジウムの分科会を12月13日(金)及び12月14日(土)に開催しました。
ソウル大学では建築学専攻建築環境計画研究室のKim Kwangwoo教授,Yeo Myoungsouk教授をはじめ,大学院生(博士13名,修士5名)が参加しました。本研究室では長野克則教授,鍋島佑基博士研究員,修士課程の学生3名が参加しました。研究発表の前にKim教授と長野教授が研究室のコンセプト,目標と最近の研究テーマの紹介を行い,省エネルギー換気装置,室内温熱環境,室内空気環境に関する研究について研究発表を行いました。
具体的には,ソウル大学では放射冷・暖房パネル(オンドル,天井放射暖房)に関する研究を行っており,実物実験室を用いた天井放射パネルの性能評価,シミュレーションを用いた建物のエネルギーバランスシステムの評価,シミュレーションによる住宅の熱負荷の予測について発表しました。本研究室では地中熱ヒートポンプシステム,デシカント換気エレメントの性能評価,デシカント換気空調システムの省エネルギー性,全熱交換換気用エレメントの特性評価,ヒートチューブ・クールチューブを持つZEH
*の室内空気質評価を発表しました。また,研究室や実験室の見学会を行い,研究状況が深く分かりました。
研究交流だけではなく,食事や懇親会では,ソウル大学の研究室の皆様と楽しい時間を過ごすことができました。お土産,食事,キャンパスツアー,印刷本,プラカード,茶菓などの準備については,ソウル大学の皆様に色々とお世話になりました。ここに深く感謝いたします。
本分科会は,今後の持続的な交流を促進する意味でも効果的な機会でした。今後も,両大学による持続的な研究・教育の発展のために持続的な交流を行い,来年は本学にて第2回シンポジウムを行う予定です。
*ZEH(net Zero Energy Houses)ゼロエネルギーハウス
ネットゼロエネルギーを目指し,太陽光・太陽熱などの高効率エネルギーシステムを適用した建物であり,ZEB(net Zero Energy Building)やZEHと呼ばれる。種々のエネルギーと種々の再生可能エネルギーの組合せで実現することが可能である。
 口頭発表の様子 |
 会場での集合写真 |
分科会15
1st HUH-SNUH Joint Symposium
第1回北海道大学病院−ソウル大学病院ジョイントシンポジウム/北海道大学病院長 寳金清博
12月13日(金)午後1時から,ソウル大学病院会議室において,分科会「第1回北海道大学病院−ソウル大学病院ジョイントシンポジウム」を開催しました。ソウル大学病院長 Byung-Hee Oh 教授と本院 寳金清博病院長の開催挨拶で始まり,神経外科学,リウマチ学,血液学,放射線腫瘍学の4つのテーマに関する先進医療について,双方の研究者が交互に発表する形で講演が行われました。和やかな雰囲気の中で講演は行われましたが,質疑応答の時間では,治療方法や治療に要するコスト等に関して活発な質疑がなされ,予定の時間を超過するほど熱の入った分科会となりました。
今回のシンポジウムでは,各大学から教員4名ずつが発表を行ったほか,ソウル大学からは教員,研究員,医療関係者等が多数参加しました。
分科会終了後,ソウル大学病院院内ツアーとして,がん治療センター,国際医療センターの見学が行われ,海外からも多数の患者の受入を行っているソウル大学病院の先進的な取り組みについて,説明を受けることができました。その後の懇親会では,本シンポジウムの成功を祝うとともに,来年札幌における第2回ジョイントシンポジウムの開催を約束し,終了しました。次回以降,さらなる緊密な関係の構築が期待されます。
 ジョイントシンポジウム参加者による集合写真 |
 講演を行う寳金病院長 |
分科会16
New Educational Challenges for Creativity and Convergence
総合力と創造力のための新しい教育的試み/高等教育推進機構 教授 細川敏幸
本分科会「New educational challenges for creativity and convergence」は,12月13日(金)にソウル大学CTL(Center for Teaching & Learning)の301教室で開催されました。このシンポジウムは今回で5回目になります。本学から3名,ソウル大学から11名の参加者がありました。ソウル大学からの参加者の内,1名はプチョン大学の山口和男教授で通訳を担当されました。
本学からは(1)Seven universities in Hokkaido will provide cooperated learning system using internet(細川敏幸教授)と,(2)Open course ware (OCW) in Hokkaido university(山田邦雅准教授)について報告しました。
ソウル大学からは(3)Design strategies for massive open online courses in Seoul National University (Lim,Cheolil教育担当副学長),(4)Case study for flipped classroom/learning in Seoul National University(Kim,Sunyoung 助教)が報告されました。
(1)の7大学連携による教養授業のインターネット配信についての話は,韓国側から強い興味が示されました。また,韓国でも大学広報のためのOCWが注目されていますが,(2)で本学のOCWの状況を説明し,(3)ではOCWの動画作成の際のガイドラインの策定について説明がありました。最後の(4)は反転学習(flipped learning)を試行した報告でした。日本では2年前から米国の経験が紹介されていますが,実施している大学は少ないと思われます。韓国の新教育手法導入の早さに驚かされました。
来年も,さらに充実したシンポジウムを企画運営する予定です。
 発表の様子 |
分科会17
Modern as the Past: Russian Modernism viewed from the 21st century
過去としてのモダニズム:21世紀の視点から見たロシア・モダニズム/スラブ研究センター 准教授 野町素己
本分科会は,12月21日(土)午前10時から午後6時まで,ソウル大学アジアセンター(SNUAC)において,本学スラブ研究センター及びソウル大学ロシア・東欧・ユーラシア研究所の共催で開催されました。
本分科会は,ロシア・東欧文化研究において今日国際的に活発に議論されているモダニズム及び隣接分野を扱うものでした。本学からは教員3名と大学院生(博士課程3年)1名による4本,ソウル大学からは教員5名による5本の合計3セッション・以下9本の研究報告がありました。いずれの報告も高水準であり,また各報告に討論者が1人付き,討論も充実しました。会場にはソウル大学以外の韓国人研究者も多く来場し,休憩時間や懇親会などを通じ,活発な意見交換が行われるなど有意義な交流の機会となりました。
講演タイトルと講演者
第1セッション
「モダニズムへの新しいアプローチ?フォルマリズムと修辞学に関する今日の言説について」
望月哲男教授
「詩人マヤコフスキーの広告:「ロシア電報通信社」から「モスクワ農産物連合」まで」
Cho Kyoo Yun講師
「モダン化としての記憶化:アレシ・アダモヴィッチと第2次世界大戦」
越野 剛准教授
第2セッション
「エイゼンシュテインと共感」
Park Hyun Seop教授
「黙るな詩人よ!しかしいかなる言語で?オンドラ・ウィソホルスキによるラフ文語の創造とその今日的意味」
野町素己准教授
「フォークロア,社会主義リアリズム,スターリン主義の再評価」
Seo Jeong Seon講師
第3セッション
「ナボコフの小説「断頭台への招待」におけるポストモダニズムの記号とシンボル」
Kim Elena研究員
「失われた理想郷の再(脱)構築:ソローキンの小説「親衛隊の一日」における未来ロシアの国家像」
松下隆志(文学研究科・博士課程3年)
「バフチンおよびニーチェの著作における身体のコンセプトと美学理論」
Kim Minn Ah講師
第1セッションの様子(左からPark教授,望月教授,Cho講師) |
 分科会の参加者 |
分科会18
The 2nd HU-SNU Joint Symposium on Materials Science and Technology
第2回材料科学に関する合同シンポジウム/工学研究院 准教授 橋本直幸
本シンポジウムは,ソウル大学のYoungwoon Kim教授のご協力の下,本学工学研究院材料科学専攻とソウル大学工科大学材料工学科との間で昨年度から開始され,本年度は12月13日(金)にソウル大学工科大学材料工学科棟内会議室において開催されました。
ソウル大学・本学双方から計10名の教授・准教授にソウル大学の大学院生及び学部生を加えて,計40名程度の参加者数となり,8名の先生から材料科学に関する最新の研究が紹介されました。材料科学に関する内容ではあるものの,それぞれの研究の応用範囲は幅広く,個々の専門を超えて活発かつ有意義な討論が行われました。お互いの実験設備や解析手法に興味を持ち,個人的な意見交換の後に実際に試料提供を申し出る場面もあり,本シンポジウムが研究の幅を拡げる貴重な場になりつつあることが見られたのは非常に大きな成果の一つと言えます。
今後,材料科学部門のみならず材料を扱う研究者ならどなたでも参加できる大きな会に発展させることを誓いつつ,来年度の札幌における開催を確認して閉会しました。
 講演するHan Seungwu教授 |
 講演するKim教授 |
 講演する米澤 徹教授 |
 講演する大野宗一助教 |
分科会19
Toward Internationalization: Strategies for the Future
国際化を目指して:未来への戦略/国際本部長 上田一郎
本分科会は,ソウル大学と本学の国際担当教職員が,大学の国際化に関するそれぞれの大学の現状及び戦略について,情報・意見交換を行う場として,第8回ジョイントシンポジウムより開催されており,今回で8回目となりました。ソウル大学 Jong-Ho Jeong国際本部長,及び本学 上田一郎国際本部長を座長とし,「Toward Internationalization: Strategies for the Future」をテーマに,両大学よりそれぞれ6名の教職員が参加しました。
分科会は2つのセッションに分かれ,セッション1では,Jeong国際本部長より,ソウル大学の国際化に関する現在の状況やデータ,現在取り組んでいるプログラム,今後の戦略・目標などについて発表があり,引き続き,上田国際本部長より,北海道大学の国際化の現状,新渡戸カレッジや現代日本学プログラムなどの新しいプログラムの紹介,また,本学の更なる国際化を目指すスーパーグローバル化構想の紹介などがありました。
セッション2では,セッション1でのプレゼンテーションへの質疑応答に加え,両大学で行われているプログラムを利用した具体的な学生交流強化に向けた活発な議論が行われました。
今回のセッションでの情報交換及び意見交換を,今後の両大学のさらなる交流強化に繋げていきたいと考えています。
 発表する上田国際本部長 |
 分科会メンバーでの集合写真 |