12月11日(水)・12日(木),シャトレーゼ・ガトーキングダム・サッポロにおいて,第14回RIES-Hokudai国際シンポジウムを開催しました。このシンポジウムは,本学電子科学研究所が中心となって毎年開催しているもので,毎年,漢字1文字でテーマを設定しており,今回は,「ネットワーク(network)」,「ネットワークを築く(networking)」,「つながり(connections)」,「つながりを通して被覆する(covering)」といった意味を持つ「網」という漢字がテーマに選ばれました。本学をはじめ,国内では東北大学,東京工業大学,大阪大学,九州大学,岐阜大学,奈良女子大学から,海外ではコロンビア大学(米国),ジョージア工科大学(同),慶熙大学(韓国),ソウル大学(同)からの総勢150人を超える大学院生,ポスドク,研究者などの参加者が集いました。本学は,電子科学研究所のほかに情報科学研究科,工学研究院,遺伝子病制御研究所からも参加がありました。
このシンポジウムでは,4セッションで国内外の12名の招待講演者と,2名の基調講演者が「網」という漢字をテーマに講演を行いました。各セッションのテーマは,「生物機能のネットワークと創発」,「フォトニックネットワークのための量子情報と非線形材料科学」,「つなぐ材料」,「複雑ネットワーク系から普遍的な性質を抽出する方法」でした。京都大学物質−細胞統合システム拠点長 兼 同大学大学院工学研究科教授の北川 進氏,九州大学先導物質化学研究所教授 永島英夫氏の2名が基調講演を行い,両教授から,「網」にちなみ,物質科学の機能創成において如何にネットワークが重要であるかを,とてもわかり易くご発表いただきました。
併せて行ったポスターセッションでは,今年度から,素晴らしいポスター発表を行った若手研究者を表彰するポスター賞を新設しました。ポスター発表の時間以外にも,懇親会及び懇親会後の時間を利用して,招待講演者の先生方と,自身のポスターの前で熱心に研究の紹介をする大学院生の姿がとても印象的でした。今回のポスター賞の特徴は,シンポジウムの全参加者の投票によって受賞者が決定するところにあり,受賞者が関連する分野の科学者や専門家と「つながり」を持ち,自身の科学者としての「ネットワーク」を構築する機会が持てるようになっています。
2日間のシンポジウムを通じて,学際的な議論の促進や,将来の共同研究につながる新たな「ネットワーク」が構築できました。このことは,電子科学研究所以外の学内参加者を含む大学院生,ポスター賞受賞者の多くが,「様々な研究者や学生から直接指摘等をいただくことができ,研究活動を続けていく上でとても参考になった」とコメントしていることからもうかがえます。
また,電子科学研究所で研究する大学院生の参加者に加え,本年度から他部局の大学院生の参加を募った結果,他部局から16名の参加がありました。大学院生には,来年度以降のシンポジウム運営の参考のため,アンケートに回答してもらい,その結果,約8割の回答者から,シンポジウム会場までの交通の便が良かったため,来年度もぜひ参加したい,との感想がありました。
このシンポジウムは,電子科学研究所が,本学の支援の下,ナノマクロ物質・デバイス・システム創製アライアンス並びに物質・デバイス領域共同研究拠点との共催により開催したものです。ここにご協力いただきました関係機関各位に心より感謝いたします。