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メディア・コミュニケーション研究院が公開講座
「ヨーロッパの古い文字を書く ― カリグラフィー入門」を開催

 メディア・コミュニケーション研究院では,10月21日から11月18日の毎週月曜日に,高等教育推進機構E310講義室で公開講座「ヨーロッパの古い文字を書く−カリグラフィー入門」を開催しました。講師は同研究院の石橋道大教授が務めました。
 約2,000年前からパピルスや羊皮紙に様々な文字が書きつけられてきました。文字の歴史を学び,写本制作用の特殊なペンで実際に書いてみることによって古い書体に親しむ,また時には同じ書体の活字と比較してみて,書字と活字の共通点と相違点を認識するという作業を行いました。
 第1回で取り上げた「アンシアル体」は,ローマ帝国でキリスト教が公認されてから,宗教書の書体として広まった丸い文字です。単純な形で書き易いので,参加者にはまずはこれを書き,ペンの操作法を学んでもらいました。
 中世に入ると文字は次第に角ばり,ほとんど曲線がなくなりました。第2回の「ゴシック体」は,今日残されている写本の大半を占める書体です。ドイツのグーテンベルクの活字もそうでした。この回では,グーテンベルクの大きな重い印刷本を皆で楽しく眺めました。今日でもワインのラベルやプロ野球選手のユニフォームにはゴシック体が使われています。
 第3・4回では「人文主義者体とイタリック体」を取り上げ,ルネサンスの時代に人文主義者が作った人文主義者体をまず学びました。この書体はイタリアにやって来たグーテンベルクの弟子などによって活字化され,今日の活字の原型となりました。イタリック体は人文主義者体を速書きにしたものです。やや時間をかけて練習しました。グーテンベルクの印刷術発明以後,写本は制作されなくなり,カリグラフィーも忘れられていきましたが,それを復活させたのは19世紀のウィリアム・モリスです。モリスの作った写本を皆で眺め,モリスのイタリックを少し書いてみました。
 この講座では写本用ペンの操作に慣れることに主眼を置き,大部分の時間を書くことに費やしましたが,その間講師は常に受講者の机を回り,一人ひとりに指導し,疑問に答えました。
ウィリアム・モリスの文字を説明する石橋講師

ウィリアム・モリスの文字を説明する石橋講師

スクリーンに映し出される,講師がその場で書く字を見ながら練習する受講者

スクリーンに映し出される,講師がその場で書く字を見ながら練習する受講者

(国際広報メディア・観光学院,メディア・コミュニケーション研究院)

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