経済学部では,株式会社AIRDOの取締役営業本部長・CS推進室担当・社会貢献推進担当の原高太朗氏による特別講演会「AIRDOのマーケティングを考える」を12月18日(水)午前10時30分より学術交流会館大講堂において開催しました。同講演会は経済学部専門講義「企業論T(担当:経済学研究科 阿部智和准教授)」の講義の一環として実施されました。
講演者である原氏は北海道東北開発公庫,日本政策投資銀行を経て,2013年より株式会社AIRDOの取締役営業本部長を務めていらっしゃいます。同社は,1996年に設立されて以来,北海道と本州を結ぶ多数の路線を提供する「北海道民の翼」であり,北海道を代表する企業のひとつです。
講演では,同社を含めた航空会社4社の特徴について,財務諸表の比較を基にした説明がなされました。この説明では,同社が健全な財務状況にあること,財務諸表を実際に読むことで各社の戦略の相違を理解できること,の2点が示されました。
また,航空業界を考える上で欠くことのできない,観光と航空行政についても詳細な説明がなされました。北海道の人口変遷,北海道観光の現状と課題等,極めて示唆に富む話題が提供されました。中でも北海道は全国に先駆けて少子高齢化が進展している地域であり,よって交流人口(特に外国人観光客)を増やす必要がある一方で,行政の取組みが十分ではないことが説明され,今後の北海道を担う可能性のある学生たちにとって深く考えるべき課題が提示されたものと思われます。また,航空行政との関係では,航空行政の歴史,羽田空港の発着枠などの実例を交えて,詳細な説明をいただきました。
最後に,LCC(格安航空会社)の台頭以降,より一層競争が激化している航空業界における,同社の今後の方針について,同社の強み・弱み,同社を取り巻く環境の機会・脅威といった観点から解説をいただきました。具体的には,北海道に基盤を持ち,健全な財務状況にある同社が,観光需要の強い北海道における機会を活用すべく,顧客との関係性を一層強化していくという方針が示されました。
講演会には多数の出席者(約250名)があり,企業論Tを履修中の学部学生に加え,大学院生や他学部の学生の参加もありました。講義後に提出されたレポートでは,競合他社との違いが明確になりAIRDOのポジショニングが深く理解できた,戦略を考える上で環境分析が重要だということが実例を通じて理解できた,などの感想が数多く出され,普段の講義とは異なる刺激を学生たちが受けたことがうかがわれました。