訃報

名誉教授 山田 尚達 (やまだ なおみち) 氏 (享年98歳)

山田 尚達 氏  名誉教授 山田尚達氏は,平成26年1月21日にご逝去されました。ここに生前のご功績を偲び,謹んで哀悼の意を表します。
 先生は,大正4年5月8日東京に生まれ,昭和14年3月に東京帝国大学医学部医学科を卒業し,東京帝国大学助手,東京大学講師などを経た後,信州大学教授を経て,同34年7月に北海道大学教授に任ぜられました。それ以来,19年有余の長きにわたり北海道大学医学部小児科学講座を担当されました。北海道大学への着任後はポリオを中心に,はしかワクチン,風疹ワクチン,種痘などに関する臨床ウィルス学の分野で幾多の指導的研究を行われ,その業績は広く認められております。
 学内では医学部生,大学院生の指導,多数の小児科医の育成にご尽力されました。それらの医師達は,広く全国の医育機関,医療機関などにおいて,日夜活躍しておられます。さらに先生は,昭和42年4月から同44年3月まで,北海道大学医学部附属看護学校長となり,同44年11月から同45年4月まで,北海道大学医学部附属病院長事務取扱として当時全ての大学が抱えていた事態の収拾に献身されました。同時に同大学評議員,協議員として本学並びに医学部附属病院の運営にも多大な重責を果たしております。
 一方学外では日本小児科学会理事,日本小児保健学会,日本新生児学会などの評議員としてご活躍され,昭和52年第80回日本小児科学会会長,同53年第20回北日本小児科学会会長として学会を主宰されました。
 先生の研究業績は,論文110篇以上,著書13冊のほか指導論文は700篇以上で,いずれも貴重な文献として我が国の小児医学の進歩に寄与しております。
 また,昭和54年に本学を定年退職後,北海道大学名誉教授の称号を授与され,さらにはこれら一連の功績が認められ,平成2年春に勲三等旭日中綬章を受章されております。
 先生は,本来は東京人でいらっしゃいましたが,北海道大学に任ぜられた以後,北海道を愛し続け,ご夫妻共に今日まで札幌での生活をお続けになりました。私共は皆,先生ご夫妻のお気持ちを大変大切に思い続けております。また,先生は温厚篤実なお人柄と,慎重かつ適正な判断力をお持ちでいらっしゃいました。
 ここに謹んで先生のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

(医学研究科・医学部)

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