名誉教授 實方 謙二 (さねかた けんじ) 氏 (享年82歳)
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名誉教授 實方謙二氏は,平成26年1月23日にご逝去されました。ここに生前のご功績を偲び,謹んで哀悼の意を表します。 先生は,昭和7年11月20日に仙台で生まれ,同37年3月に東京大学大学院法学政治学研究科博士課程を単位修得退学後,小樽商科大学商学部,法政大学法学部を経て,同50年4月に北海道大学法学部教授に就任されました。それ以降,平成8年3月に停年退職されるまでの21年間,北海道大学法学部と大学院法学研究科で経済法・独占禁止法についての教育と研究に従事し,公正取引委員会の活動を助言する公的な貢献も行いました。その後は,平成8年4月に,神戸学院大学法学部教授に就任され,同16年4月から法科大学院長を務め,同18年3月に退職されました。 先生は,日本の独禁法の母法である米国の反トラスト法の研究に長く従事し,反トラスト法の多数の判決を分析し,最新の経済理論・産業組織論の研究成果も取り入れた多くの論文,著書を昭和40年代より公表し,日本における独占・寡占市場対策を中心とする独禁法の理論の水準を高めました。すなわち,(1)独占・高度寡占市場対策としての純粋構造規制,(2)寡占市場対策としてのカルテル・談合規制,(3)寡占市場対策としての流通系列化規制が主たる貢献の領域で,その成果は,経済法学会など当時の若手や中堅の経済法学者に大きな影響を与え,多数の後継者を育成しただけでなく,幾度かの独禁法改正にも大きな影響を与えました。實方先生の独占・寡占市場問題に対する研究範囲の広さと理論構築の緻密さが,こうした課題に応えることを可能にしました。これまでの多大な貢献により,平成25年11月3日に,瑞宝中綬章を受章されました。 ここに謹んで先生のご冥福を衷心よりお祈り申し上げます。 |