役員便り

理事・事務局長 村田 直樹

「提案し,行動する」事務職員を目指して(事務職員の能力開発)

理事・事務局長 村田 直樹 (むらた なおき)

法人化と事務職員

 平成16年に国立大学が法人化されるに当たって,事務職員の在り方について種々議論がありました。議論の中には,例えば,「事務職員には企画力が不足している」,「事務職員から提案が上がってこない」等々の指摘や不満も含まれていました。こうした議論は法人化10年を経てもなお続いています。法人化を契機として,教職協働と言われるように,事務職員がこれまで教員の領域とされていた事項も含めて,「提案し,行動する」ことが求められるようになったのだと思います。このように「教員」と「事務職員」の関係をパートナーシップとして再構築していくことが求められていたはずですが,必ずしもそのような関係を築けていないのが現状ではないでしょうか。

 本学には,「提案できる」し,「行動できる」事務職員が多数います。このような潜在力をもった者を「提案し,行動する」事務職員にしていく必要があります。時には「出しゃばり過ぎる」くらいの行動力も必要ですが,そうした行動力を支える知識(情報収集・分析を含む)や経験がなければ,迷惑な「出しゃばり」でしかありません。知識や経験は一朝一夕で身につくものではないので,日頃から本学で行われている教育や研究に関心をもって職務を遂行することが大切です。疑問に思ったことは調べたり,時には人に聞いたりすることも必要です。各事務職員がこうした心構えを持つと同時に,各種の研鑽の機会を用意して事務職員の能力開発を支援する必要があります。

事務職員の研鑽機会

 法人化前から,事務職員には,日常事務処理能力を育成するための研修機会が設けられていました。人事院等外部機関が実施する研修への参加だけではなく,本学独自に初任職員研修,中堅職員研修など職階に応じた研修が行われていました。また,会計系や人事系を中心に専門領域に焦点を当てた研修の機会も設けられていました。

 これらの研修は,法人化後も基本的に引き続き実施されておりますが,法人化に伴って研修内容の見直しを行ったところです。学生支援や教務事務,能力別の英語研修など専門能力の向上を目的とする研修も充実しました。また,必要に応じて,国立大学協会と共同して道内の国立大学や高等専門学校などの職員にも対象を拡大して行っています。さらに,今年度から新たに「ユニバーシティー・アドミニストレーター育成講座」という企画力の開発を企図するアクティブ・ラーニング型の研修も始めたところです。

 大学が研修の機会を用意することは大切ですが,この種の研修は能力開発のきっかけでしかないと思っています。研修後も自己研鑽を積むことが「実力」をつける上で「鍵」となります。当然OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)による能力開発も重要ですが,自ら主体的に研鑽を重ねることで自立的な職員として成長していくことが求められます。このため,法人化後は,自己研鑽型の研修にも資金援助を行っています。今年から,事務職員の自己研鑽を後押しする意味も込めて,身上調書に自己研鑽の欄を設けるとともに,これを人事評価の項目に追加することとしました。

 これらの取組を有機的・総合的に推進して,「提案し,行動する」事務職員の育成に努めたいと考えていますので,関係各位のご理解とご協力をお願いいたします。
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