5研究所・センター合同で一般公開を開催
創成研究機構,低温科学研究所,電子科学研究所,遺伝子病制御研究所,スラブ・ユーラシア研究センターは,北大祭期間中の6月6日(土)に合同で一般公開を開催しました。多くの方に5部局全てを見て回って欲しいという願いを込めて,今年度も合同シールラリーを行いました。その結果,冷たい風の吹く天候にも関わらず,延べ4,300人以上の方に参加していただきました。
創成研究機構
創成研究機構では,6月6日(土),「創成研究機構 一般公開」を開催しました。創成科学研究棟の公開が3回目となる今年度は,産学・地域協働推進機構の協力で,今年3月に竣工したばかりのFMI国際拠点も公開しました。市民の方々に新しい施設にも足をお運びいただき,本学の新しい取り組みについて知っていただく機会となりました。
当日は,子ども連れのご家族を中心に幅広い年齢層の方が多く訪れ,創成科学研究棟とFMI国際拠点をつなぐベロタクシーの乗車人数は約80名,創成科学研究棟の来場者数は約950名に達しました。
午前中に実施したサイエンス・トーク「乳酸菌で肥満・ウィルス・ガンから体を守る!」では,プロジェクト研究部門の宮崎忠昭特任教授が,免疫力を高める方法や,乳酸菌による健康増進効果などについて,クイズを交えて解説しました。会場のレストランポプラには子ども連れのご家族などが多く集まり,宮崎先生のお話に時折笑顔がこぼれるなど,和やかな雰囲気で聞き入っていました。
創成科学研究棟1階エントランスホールでは,展示&体験コーナーとして,特定研究部門のグン チェンピン研究室による「ゲルマックス」,プロジェクト研究部門の宮崎忠昭研究室による「乳酸菌ウォッチ」,研究人材育成推進室(L-Station)の川野 潤研究室による「光と宝石のふしぎ」,笹倉弘理研究室による「量子のふしぎな世界」,JAPEX地球エネルギーフロンティア研究部門による「気体に期待!これからの天然ガス!!」の5つの展示が行われ,また,人獣共通感染症リサーチセンターからも「人獣共通感染症の克服を目指して」というタイトルで出展協力がありました。各展示コーナーの前には朝から終了時間を過ぎるまで絶えずお客様が訪れ,夢中で実験・観察をする子どもたちや,展示担当者に熱心に質問をする方の姿が見られました。
また,見学ツアーとして,「はやぶさ」のサンプル分析を行った「同位体顕微鏡」見学ツアー,創成研究機構の最先端装置が見られるオープンファシリティ見学ツアーを各3回実施しました。各回とも早くから定員に達するなど,来場者の関心の高さがうかがえました。
来場者アンケートにご協力いただいた方からは,「子どもにも丁寧に教えてくれて素晴らしかった」「普段建物ではどのようなことをしているのか興味をもった」などのご感想をいただきました。
また,参加研究者からも「子どもたちの笑顔が活力になった」などの声があり,今後の研究の励みとなったようでした。
創成研究機構では,今後も,市民の皆様と研究者が触れ合える機会の提供に努めて参ります。
 展示&体験コーナー |
 同位体顕微鏡見学ツアー |
低温科学研究所
6月6日(土)に低温科学研究所において,一般公開を開催しました。本研究所では,多くの方々に研究所へ来ていただけるよう,3年前より大学祭期間中に一般公開を実施しています。また,5研究所・センターが合同で実施したシールラリーに加えて,大学祭で実施されるスタンプラリーにも参加しました。当日は,やや肌寒く感じる気温のせいか午前中の来場者は少なめでしたが,午後には天候も回復し,結果的には過去4年間で最も多い850名以上の市民の皆様にお越しいただきました。
一般公開では,小さなお子さんでも喜んでいただけるものから高校生以上に焦点を合わせた比較的高度な実験・展示,日常では体験できない−50℃の南極疑似体験まで,10件の企画を実施しました。特に,参加型の実験・体験コーナーは大人気で,お子さんのみならず,お母さんやお父さんにも熱心に取り組んでいただきました。また,展示コーナーでは,最先端の研究について高度な質問をされるシニアの方々もいらっしゃるなど,各ブースは終日大盛況でした。
実験や展示等を通して,多くの方々に低温科学の面白さを知っていただくことはもちろん,私達も一般市民の皆様に研究の内容を分かりやすくお伝えすることを学ぶ大変貴重な時間を過ごすことが出来ました。「わぁ!」と歓声を上げながら食い入るように見つめるお子さんの様子や,それを見守るお母さんやお父さんの笑顔を見ると,本当に一般公開をやって良かった,また喜んでもらえるような企画を考えよう,良い研究を進めようという意欲が湧いてきました。多くの方にお答えいただいたアンケートの結果を踏まえ,来年度も充実した一般公開ができるよう努力したいと思います。皆様のご協力と,ご来場いただきました市民の皆様,関係者の皆様に心よりお礼申し上げます。
 南極やオホーツクの海氷の展示 |
 シャボン玉を使った氷結晶の観察 |
電子科学研究所
恒例の電子科学研究所一般公開を,6月6日(土)に電子科学研究所棟(北キャンパス総合研究棟5号館)で行いました。やや冷たい風でしたが,天候にも恵まれ,受付での集計で1,200名を超える多くの市民の方々にご来訪いただきました。小さなお子さんを連れたお母さんやお父さんの姿が目立ちました。
一般公開では,光・物質・生き物・数理・環境という5つのテーマに関する13の体験型の展示やサイエンス・トーク(市民講座)を行いました。来場者からは「子どもと大人,みんなで楽しめるところがgood!」「皆さん熱意があって良いです。良い研究はやはり楽しんで自由に発想することからなのだろうと思いました!」「難しいことを易しく見せる工夫がすばらしかった。スタッフの方々もとても親切。ウチの子もココに入れたいです」といった嬉しいご意見をいただきました。午後からのサイエンス・トークでは,「数式をつかって身近な現象を見る」と「エックス線レーザで観た生きた細胞」と題し,研究最前線を紹介しました。大人は勿論,子どもたちとの軽妙なやり取りもあり,多くの方に楽しんでいただきました。
北大祭で賑わう中央キャンパスから多数ご来場いただくべく,ベロタクシー(自転車タクシー)4台を,北18条門から電子科学研究所新棟まで無料運行しました。札幌市教育委員会,北海道教育委員会,北海道私立中学高等学校協会から後援をいただくとともに,小樽市,江別市,石狩市,恵庭市の教育委員会にご協力いただき,総計500を超える学校にポスターを事前配布しました。北大祭とも連携して,北大祭のパンフレットやウェブにも掲載した他,スタンプラリーにも参加しました。一昨年度から開催している5つの研究所・センターによる一般公開の合同開催については「展示・実演のレベルが子どもに合わせてあって,大変面白かったです。来年も来ます」といったご意見をいただきました。会場の玄関前は,終日,シャボン玉に興じる子どもたちで賑わい,研究紹介の枠を超えて,研究所と市民の交流が深まりました。また,その様子は,テレビ北海道の取材を通じて,お茶の間にも届きました。
 「ぐるぐる回してひやそう」実験に取組む子どもたち |
 サイエンス・トーク(市民講座)熱中教室 |
遺伝子病制御研究所
遺伝子病制御研究所は,6月6日(土)に市民向け一般公開を行いました。4回目の開催となる今年は,923名の方々にご来場いただきました。
生命科学の最先端研究を紹介する「サイエンス・トーク」では,3名の先生がそれぞれ「モデル生物−医学・生物学の小さな役者たち」,「血管からがんを制す!」,「ここまでわかった!“病は気から”」というタイトルで講演しました。「ラボツアー」では実際の研究室を見学いただき,各研究室が行っている研究内容について分かりやすく説明しました。「体験学習コーナー」では簡単な実験,顕微鏡観察を行い,小さなお子さんが顕微鏡を熱心に覗いていました。「クイズコーナー」では景品の遺伝子病制御研究所オリジナルボールペンの獲得を目指して,各研究室の研究内容にちなんだ問題に多くの方がチャレンジされ,クイズの内容について研究者に熱心に質問する中高生もいらっしゃいました。また,今年度より新たに「実験デモ」としてiPS細胞の培養と観察,DNA精製のデモンストレーションを行い,多くの来場者の方に集まっていただき,大変盛り上がりました。
来場者アンケートにご協力いただいた皆様からは「実験を体験できるコーナーをもっと増やしてほしい」という意見を多くいただきました。研究所のスペースの問題もありますが,市民の皆様の声に応えていけるよう所員一丸となって取り組みたいと考えています。
私たちにとって一般公開は“アウトリーチ活動”のひとつです。多くの市民の皆様に日頃の研究成果を分かりやすく説明することにより,当研究所の役割を広く認識していただけることは喜びであると共に,市民の皆様の声は今後の研究を進めるうえでの活力となります。今後もこのように社会に対し情報を発信し,市民の皆様が生命科学研究や研究者を身近に感じることができる場を提供することを心がけていきたいと考えています。
 実験デモンストレーション |
 サイエンス・トーク |
スラブ・ユーラシア研究センター
スラブ・ユーラシア研究センターは,「もっと楽しく!もっと詳しく!スラブ・ユーラシア展」と題し,6月6日(土)に一般公開を行いました。3度目の開催でしたが,過去最高の330人の方にご来場いただきました。
一般公開では,センタースタッフによる最新の研究成果に関する展示とサイエンス・トークを行い,また,大人から子どもまで楽しめるスラブ・ユーラシア地域の絵本の展示,アニメ上映,スラブ・ユーラシア地域のぬり絵といったコンテンツを用意しました。センターは,本年7月1日で法学部附置スラブ研究所が1955年に創設されてから60周年を迎えましたが,一般公開では,「スラブ・ユーラシア研究センター60周年のあゆみ」と題し,センターの沿革について資料と解説パネルで示す特別展示も組織しました。
サイエンス・トークは,田畑伸一郎センター長による「油価下落と制裁―ロシア経済は本当に危機なのか?」,地田徹朗助教による「『20世紀最悪の環境破壊』の教訓―アラル海災害から学ぶべきこと」という2本立てでした。サイエンス・トークと研究展示パネルを連動させ,アクチュアルな問題についてわかりやすく視覚と聴覚で示すという手法は来場者の方にも好評で,サイエンス・トークでは来場者の方から多くの質問が寄せられました。
スタッフ数が少ない中,手探りそして手作りでこれまで一般公開を組織・運営してきましたが,年々,この行事が定着してきているという確かな手ごたえを感じています。本行事は5研究所・センター合同一般公開の枠組の中で行われましたが,幹事役を務めた電子科学研究所をはじめ,共催した他の研究所に感謝申し上げます。そして,何よりもスラブ・ユーラシア地域に関心をもってご来場いただいた多くの市民の皆様に対し心より御礼申し上げます。
 親子で楽しいぬり絵コーナー |
 サイエンス・トークの様子 |
(創成研究機構,低温科学研究所,電子科学研究所,遺伝子病制御研究所,スラブ・ユーラシア研究センター)