北方生物圏フィールド科学センターで
「ひらめき☆ときめきサイエンス〜ようこそ大学の研究室へ〜」
を開催
7月4日(土)〜10月3日(土)に,中川研究林・天塩研究林,函館市国際水産・海洋総合研究センター,札幌キャンパス,忍路臨海実験所,臼尻水産実験所及び七飯淡水実験所において,「ひらめき☆ときめきサイエンス〜ようこそ大学の研究室へ〜」を開催しました。
本事業は,小学校5・6年生,中学生,高校生を対象として,科学研究費助成事業の研究成果をもとに,最先端の研究成果について直に見て,聞いて,触れることで,科学のおもしろさを感じてもらうプログラムとして,独立行政法人日本学術振興会からの支援を受けて実施しています。
以下に今回実施された7件のプログラムを紹介します。
(北方生物圏フィールド科学センター)
オタマジャクシはすごい〜実験でわかる動物たちの生き残り戦略〜
7月4日(土)・5日(日)に「オタマジャクシはすごい〜実験でわかる動物たちの生き残り戦略〜」を開催しました。これは科学研究費補助金「基盤研究(B):同所的種内変異が生み出す相互作用と群集レベルの効果」(研究代表者:岸田 治准教授)による研究成果をもとに,北海道の両生類の驚くべき生態とその研究方法について知ってもらうことを目的として企画しました。今回は小学5・6年生を対象に中川研究林・天塩研究林で実施しました。
道北各地の小学校から9名の児童の参加がありました。中川研究林の学生宿舎に集合し,開講式を行った後,バスで天塩研究林のフィールドへと向かいました。バスの中ではグループ対抗「生きものしりとり」をして楽しみましたが,自然が大好きな小学生が次から次へと生きものの名前を挙げ,その知識量にスタッフ一同圧倒されました。天塩研究林のフィールドでは3つの池を回り,エゾサンショウウオ幼生,エゾアカガエルのオタマジャクシをはじめとする様々な池の動物たちを採集しました。大きなサンショウウオの幼生やヤゴ,ゲンゴロウモドキなどを捕まえる度に大きな歓声があがり,大変な盛り上がりでした。また地域の哺乳類を調べるために池の近くに2週間前から設置してあった自動撮影カメラの回収も行いました。その後,中川研究林の学生宿舎に戻り,夕食後,夜のプログラムを行いました。
夜のプログラムでは,昼間自分たちが採集した水生動物や,外敵がいる状況といない状況で育ったオタマジャクシを観察しました。育った環境によって異なるオタマジャクシの形に注目し,形の機能について仮説を立て検証する実験も行いました。実験は参加者が考えた2つの方法で行い,その結果を皆で議論しました。実験の方法まで自分たちで考えたことで科学とは何かを身をもって味わってもらうことができたと思います。
2日目は,まずオタマジャクシの行動を観察し,行動データの取り方やグラフの描き方を考え,学びました。続いて,オタマジャクシの形に注目したプログラムを行いました。エゾアカガエルのオタマジャクシは外敵がいると頭を膨らませます。その形の違いを体感してもらうために,膨らんでいるオタマジャクシと膨らんでいないオタマジャクシの両方を用意し,子供たちに目隠しをしてもらい手で触った感触だけでどちらのオタマジャクシかを当てるゲームをしました。見事,子供たちは全員正解しました。次にノギスを使ってオタマジャクシの形態計測をし,形の違いをグラフ上に描きました。その後,学術論文のグラフも見せ,自分たちが描いたグラフが研究者たちの描いたグラフと本質的に同じであることを知ってもらいました。最後に,前日,回収した自動撮影カメラの上映会も行いました。キツネやタヌキだけでなく,大きなヒグマが映っており皆,感激でした。子供たちには驚きと喜びを通して北海道の自然の素晴らしさを知ってもらえたのではないかと思います。
プログラム準備や運営は大変でしたが,スタッフもまた子供たちとの触れ合いを通じて自分たちの研究活動がどういったものかを知ることができました。本プログラムを実施するにあたり,研究林の教職員並びに環境科学院の大学院生には惜しみない協力をいただきました。心より感謝いたします。
 池で生物採集 |
 実験の結果を議論 |
 目隠しをしてオタマジャクシの形を当てる |
 自動カメラで撮影されたヒグマ |
水中の動物はどうやって動いてる? 〜装着型記録計による行動計測をしてみよう!〜
7月20日(月・祝)の海の日に「水中の動物はどうやって動いてる?〜装着型記録計による行動計測をしてみよう!〜」を開催しました。これは,科学研究費補助金「基盤研究(B):高次捕食者をモデルとした北方海洋生態系多次元モニタリングネットワークの構築」,「基盤研究(A):設置型モニタリングシステムを用いたミナミマグロ幼魚の回遊経路の解明」,「萌芽研究:多次元定量計測技術を用いた絶滅危惧種イトウの行動生態の解明」(以上,研究代表者:宮下和士教授)による成果をもとに,体験的なプログラムで最先端の研究に触れてもらう企画です。
中高生を対象に募集し,中学生12名・高校生3名の計15名の参加がありました。本プログラムでは,函館市国際水産・海洋総合研究センター(海洋センター)の大型水槽(600t)で記録計(ロガー)による魚類の行動計測とGPSを使った移動軌跡の可視化と移動速度の解析を実施しました。開講式の後に,宮下教授による「行動を可視化するとは」の講義ではバイオロギングを使った最先端の行動研究の紹介と本プログラムの予備知識を説明しました。その後,受講者はカッパと長靴に着替えて実際に魚にロガーの装着を行い,大型水槽へ放流しました。放流後は,ROV(水中カメラロボット)を操作して行動観察を行いました。
ランチタイムでは,受講者と実施者が同じテーブルでお弁当を食べて,身近な話題から大学生活,研究者への道など受講者の進路相談まで話が弾みました。午後は,受講者がGPSロガーを持ち海洋センターの周りを散策してGPS移動計測を行いました。その後は実施分担者の三谷曜子准教授による「海棲哺乳類のバイオロギング」の講義の後に,パソコンを使った遊泳行動のデータ解析とGPSデータの可視化演習及び移動速度の解析を行いました。最後に受講者に「未来博士号」を授与して記念撮影を行って終了しました。
本プログラムを実施するにあたり,中学生と高校生それぞれの学習レベルに応じた解析課題を提供することで参加者が飽きないように心がけました。また,受講者3人と大学院生の4名一組のチームで実験及びランチタイムを含めて終始一緒に行動し,一人で参加した受講生も寂しい思いをしないように心がけました。その甲斐あって受講者の様子・アンケート結果からも,満足度が高いプログラムであったと実感しています。
最後になりますが本プログラムの開催にあたり,終始ご協力いただいた教職員・学生諸氏,中学校・高等学校にポスター掲示やチラシ配布等のご協力をいただいた一般財団法人函館国際水産・海洋都市推進機構に深く感謝いたします。
 「未来博士号」を持って記念撮影 |
 宮下教授による講義 |
 エイの行動計測 |
 パソコンによる解析 |
体験!ベリー研究の最前線“君も育種家になろう!”
7月25日(土)に「体験!ベリー研究の最前線“君も育種家になろう!”」を開催しました。これは,科学研究費補助金「基盤研究(C):胚乳の植物体再生系を利用した新規倍数性育種法の開発」,「基盤研究(B):ユーラシア・北米のハスカップ野生遺伝資源の多様性解析と評価に関する研究」(以上,研究代表者:星野洋一郎准教授)による成果をもとに,体験的なプログラムで大学の最先端の科学に触れてもらう企画です。北方生物圏フィールド科学センター生物生産研究農場で実施しました。中学生を対象に募集し,23名の参加がありました。
午前は,様々なベリーをクイズ形式で紹介し,オリジナルテキストを使いながら多様なベリーについてそれらの特徴を学びました。さらに,北大農場産のハスカップ,ラズベリー,カシス,シーベリー,レッドカーランツなどの食べ比べを行い,その違いを体験しました。ハスカップについては,野生系統の苦味が強い果実,選抜された良食味の果実の食味の違いを体感してもらいました。参加者はその味の違いに驚いていたようです。
午後は,育種の基礎となる3つの実験「生きた花粉が伸びる様子をとらえよう」「果実の糖度,pHを調べてみよう」「パラピン紙で交配袋を作ってみよう」を行いました。ローテーションで全員が全ての実験を行いました。パラピン紙で作った交配袋は持ち帰ってもらい,夏休みの自由研究で植物の交配実験に挑戦してくれることになっています。
全ての実験が終わった後に,クッキータイム(おやつの時間)とフリートークの時間を持ちました。スタッフ手作りのラズベリーソース,ハスカップソースでアイスクリームを楽しみました。最後に「未来博士号」の授与式を行い,閉会となりました。このイベントが科学への扉を開き,背中を押すことができれば大きな喜びです。参加者の皆さん,ありがとうございました。
本事業の開催には入念な準備を行いました。細やかに各参加者と連絡を取るなど準備段階から支えてくれた事務職員の皆さん,圃場の管理などにご協力いただいた技術職員の皆さん,研究室の大学院生・学生諸氏のご協力に深く感謝いたします。
 北大産ベリーの食べ比べ |
 花粉管が伸びる様子を顕微鏡で観察 |
 果実の糖度を測定 |
 交配袋作り |
海の森の調査隊〜おしょろの“こんぶ”を守るには!?〜
7月25日(土)に「海の森の調査隊〜おしょろの“こんぶ”を守るには!?〜」を開催しました。これは,科学研究費補助金「基盤研究(B):北太平洋西部沿岸におけるコンブ類の種多様性とその由来の解明」(研究代表者:四ツ倉典滋准教授)の成果をもとに,大学で取り組んでいる研究の一端に触れてもらうという児童・生徒へ向けた体験型プログラムです。今回は小学5・6年生を対象に,忍路臨海実験所で実施しました。
当日は小樽市と札幌市から9名の小学生が集まりました。参加者は集合場所からバスで実験所に移動し,開講式の自己紹介では受講生全員が“プログラムへの参加理由”と“今日一日の目標(+α)”を発表しました。次いで,実施代表者が「おしょろの“こんぶ”を守るには!?」と題して多様なコンブとそれらが作り出す海中の森について,大学で行っている研究を紹介しながら講義をしました。受講生は各自,現状と課題を整理した後,フィールドへ出て,(1)前浜の磯歩きによるコンブとその他海藻の採集,(2)水中カメラや箱メガネを用いて磯船の船上から“コンブの森”の観察,(3)多項目水質計を使った水質調査,を行いました。モニターやガラス越しに見られるコンブがウニによる食害を受けながらも群落を維持している様子を目の当たりにし,受講生は野生のコンブのたくましさを実感するとともに,これらのコンブを守らなくてはという思いを一層強くしたようです。
午後からは,午前中の磯歩きで採集したコンブやその他海藻の同定と押葉標本づくりを行いました。短時間かつ限られた場所での採集でしたが,31種の海藻が同定され,磯焼け地帯のわずかなコンブの森の中にこれほど多くの海藻が暮らしていることに受講生一同驚いた様子でした。なお,採集海藻は丁寧に押し葉標本にされ,夏休みの自由研究用として全員が持ち帰っていきました。次いで,実施分担者が“コンブの森の環境と,そこに見られる海藻類”について解説しました。改めて本プログラムのテーマについて各自が考えをまとめた後,実験所で培養保存されているコンブの培養株を高分子ゲルに混ぜ込み,その種苗を海中へ投入する実習を行いました。一般的に馴染みの薄い“コンブの森づくり”ですが,簡単な作業を通して子供たちには自分たちにも何かができるということを感じ取ってもらえたように思います。終了式で参加小学生一人ひとりが「未来博士号」を手渡された時の晴れやかな笑顔が印象的でした。
忍路臨海実験所で開催されるこのプログラムは今年で5回目となりますが,毎回主催関係者の強いチームワークのもとで実施されています。今回も当日の円滑な進行と安全の確保にご尽力いただいた教職員,及び大学院生諸氏に感謝いたします。
 コンブの葉の特徴は? |
 コンブの森の中にウニが! |
のぞいてみよう海の底,北海道の魚たちをまるごとリサーチ
臼尻水産実験所(函館市臼尻町)では,8月1日(土)・2日(日)に「のぞいてみよう海の底,北海道の魚たちをまるごとリサーチ」を開催しました。これは,科学研究費補助金「基盤研究(B):親潮流路にある島嶼生物の側所的進化と適応放散−極東域生物相形成史の解明を目指して」(研究代表者:宗原弘幸准教授)の成果によるものです。遠くは広島県,旭川市,札幌市から訪れた中学生と小学生15名が未来の北大生として参加し,大学で行う実習さながらに野外観察,標本採集,室内実験に取り組みました。本プログラムの開催は2年連続5回目で,「ひらめき☆ときめきサイエンス」の常連になってきたこともあって,日本学術振興会のホームページからの申し込みで定員となりました。
最初に,臼尻実験所前浜の生物相の特徴とよく見られる生物の生態について,「北大元気プロジェクト2012」で作成した『臼尻,海の生き物図鑑』などを使い説明しました。その知識を実践するためには,正しいシュノーケリング技術が必要です。まずは,実験所にある大きな水槽をプールに仕立てて練習しました。シュノーケルクリアーとフィンワークをマスターして,いよいよ海中観察です。臼尻はマコンブの海です。学生たちの解説を聞きながら,コンブの海中林とそこに群れる魚たちなどの生物観察をしました。昨年までは,2日目に行う地引き網の後,それらの種名を調べてDNAで確認する実験にも挑んでもらいましたが,盛り込み過ぎたという反省から,今年は海中観察に多くの時間を使いました。水温が高かったこともあって,2日間たっぷり3時間,磯場の生物多様性を体感することができました。
また,もう一つ昨年と変えたことは,沖合を回遊する魚の実習で使う魚をクロマグロからブリに変えたことです。20キロ近いマグロとは言え,クロマグロでは成魚ではありません。若魚の資源を保護しようという国際的な協定を意識しました。それでも7キロのブリ2個体を回遊に適応した紡錘形の体や鰭の構造を観察した後,解剖後,皆で味わう楽しさは,マグロの時と変わりありませんでした。指導に当たった大学院生・学部生たちと楽しく会話しながら,全員でやり遂げた達成感と実験の楽しさを味わい,「北海道の魚たちをまるごとリサーチ」することができました。
海で行うフィールドワークは,準備と安全管理が大変です。神経を使う作業でしたが,2日間は,参加者にとっても学生たちにとっても楽しい一時でした。しかし決して楽しいだけでなく,学生たちが子どもたちに教える過程は,自然や生命の尊さを再認識し,自動の実験機器で行われている化学反応の原理を確認するなど,学生生活を総括し,自分たちの研究意義をも問い質す機会になりました。
このように,教わる側にも教える側にも,それぞれの目標に向かう確かなモチベーションを提供し,本実習が無事終了しました。実習の夏が終わると,研究の秋となります。学生たちの成長が楽しみです。
 みんなで地引き網を引こう |
 側線の数で種類が違うんだよ |
 海の底に何かいる |
有機農業の入り口・肥料がなくても野菜は育つ
8月19日(水)に「有機農業の入り口・肥料がなくても野菜は育つ」を開催しました。これは,科学研究費補助金「基盤研究(B):カバークロップの導入による省資源・温暖化ガス抑制型の有機栽培の確立」(研究代表者:荒木 肇教授)の成果によるものです。本プログラムでは,食べ物に関心を持ちだし,農作物に関する教育が開始される中学生を対象に,北大農場を活用して有機農業の知見を提供しました。当日欠席もあり,参加者は4名でした。
簡単な講義の後,北大農場内にあらかじめ設置した有機質資材施用圃場(堆肥・メタン発酵消化液・マメ科緑肥・化学肥料)で,トマトやレタスの生育調査を中学生自らが行いました。すると堆肥施用畝で化学肥料と同等以上の生育が見られ,有機質資材も肥料の代替となるデータを得られました。その後,農場内の作物や牛の放牧を見ながら牛舎に行き,舎内での飼養や給餌施設,バイオガス施設を観察しました。堆肥は別舎に堆積してありました。ローダーで撹拌すると湯気が舞い上がり,受講生は驚いていました。堆肥の中に手を入れ,おそるおそる触ってみると,「熱い」との歓声が起こりました。堆肥の原料は乳牛糞尿と敷きわらの混合物で,微生物が増殖して有機物(糞尿と敷きわら)が分解すること,分解時には熱が発生することを実感できました。庁舎近くで,害虫食害が発生しないキク科野菜のトレビスやリーフチコリーを食べてみましたが,大変苦く,これなら虫も寄り付かないことに受講生は納得顔でした。午後には,有機質資材を施用した圃場の土壌分析を行い,受講生が比色の操作をしました。堆肥を施用した畝の窒素量は他より大きく,土壌中の窒素量が野菜発育に関連するデータも得ることができました。学内にある北大農場を活用して作物や家畜に触れることで農業科学に関心を持つ機会となったと思います。
 有機質資材施用圃場でのトマトの生育調査 |
 湯気を出している堆肥に驚く受講生 |
挑戦!イクラをさかなにしてみよう!
七飯淡水実験所(亀田郡七飯町)では,10月3日(土)に「挑戦!イクラをさかなにしてみよう!」を開催しました。これは,科学研究費補助金「挑戦的萌芽研究:魚類の分離胚細胞からの個体再生に関わる発生工学的研究」(研究代表者:山羽悦郎教授)の成果をもとに,大学で取り組んでいる研究の一端を,小学5・6年生と中学生に触れてもらうという企画です。七飯淡水実験所の新研究棟が昨年11月に竣工したことを受けて,今年度初めて企画されました。
当日の午前中は小雨でしたが,午後には晴れ間が広がりました。今回の企画には,七飯町と近隣の函館市,北斗市に加え,札幌や八雲からの小中学生,合わせて11名が七飯淡水実験所に集まりました。開講式では,日本学術振興会の職員から「ひらめき☆ときめきサイエンス」の趣旨の説明を受けました。
この体験実習のメインは,この時期に産卵するサクラマスからの採卵と採精,受精です。受講者はそれぞれ,成熟した雌雄個体から卵・精子を採取し,精子に水をかけると泳ぎ始めることを顕微鏡で確認し,その精子を使って受精を行いました。
昼ご飯は,塩焼き,お刺身,イクラご飯,押し鮨とサケマス三昧のメニューでした。受講者はそれぞれ一匹のさかなをもらい,自分で内蔵を取り除いた後,塩を付けてコンロで塩焼きにしました。イクラは,排卵したサクラマスの卵,卵巣から取り出したブラウントラウトやアメマスの卵からあらかじめ作っておき,それぞれの違いを舌で区別してもらいました。プチプチした食感のサクラマスの卵の人気が一番ありました。
午後の実習は解剖です。最初に魚からの採血の仕方を体験し,顕微鏡で血液を観察しました。塩焼きで残した骨で血管の位置を確認してから実際の魚から血を抜きます。受講者は注射針を扱ったのは初めてでしたが,上手に採血できました。その後,スライドで手順を確認しながら,内蔵の種類,形,つながり,心臓の構造と血の流れ,目の構造と脳とのつながりを調べました。最後には,水晶体の透明さに驚いていました。
おやつのクッキータイムでは,受講者は濁水で午前中には見られなかった巨大なチョウザメを見つけて興奮していました。おやつの後は,孵化稚魚の顕微鏡観察をし,血液がからだの中を循環する様子を確認しました。ここで,体験教室は終了し,最後に,自分たちが受精した卵,2週間前と1ヶ月前に受精した卵を各家庭に持ち帰り,孵化までを観察してもらうことにしました。
今回のプログラムでは,事務の皆さん,実験所の職員の方,そして指導の補助をしていただいた学生さんにお世話になりました。子供たちが主役でしたが,主役をもり立てていただきありがとうございました。
 オリエンテーション |
 受講者が飼育魚を捕獲 |