名誉教授 安田 壽一(やすだ ひさかず) 氏(享年87歳)
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名誉教授 安田壽一先生は,平成27年7月24日安らかに享年87歳の生涯を閉じられました。 安田先生は,昭和2年東京のお生まれで,同27年に東京大学医学部医学科を卒業され,同大学医学部第二内科に入局されました。昭和35年から約2年間米国オハイオ州クリーブランドクリニック研究所に留学され,高血圧の成因に関する研究に取り組まれました。昭和46年には東京大学医学部第二内科の助教授に昇任されました。北海道大学大学院循環病態内科学(当時は北海道大学循環器内科)は,国立大学で最初の循環器病学を専門とする内科学講座として昭和48年4月に設置が認められ発足しましたが,その初代教授として安田先生が任命され,ご就任になられました。当初,第一内科,第二内科,第三内科,薬理学教室より十数名が集まり活動が開始され,翌昭和49年からは外来・病棟における循環器診療が開始されました。全くのゼロからのスタートであり,大変なご苦労をされたことと拝察します。北海道大学に留まらず北海道における循環器診療の礎を築かれたのは安田先生であることは間違いありません。先生は心血管造影装置をはじめ各種診断装置の導入や診療体制の充実を図りながら,一方で精力的に臨床研究と基礎研究に取り組まれました。難治性心不全に対する血管拡張薬や利尿薬による減負荷療法に関する研究を,第5回世界心臓学会のシンポジウム「心不全の予防と管理」において「利尿薬による近代的心不全治療」として報告されました。また,昭和54年から文部科学省特定研究「心臓機能不全の機序」の研究班の班長をお務めになられました。さらに,昭和62年には厚生省特定疾患「特発性心筋症調査研究班」の班長に就任され,それ以降現在に至るまで心筋症に関する研究が講座の中心的な研究課題となりました。平成元年に行われた第11回日本臨床薬理学会学術集会では会長を務められ,約1,400名の参加者を集められました。若手医師の教育・指導にも熱心に当たられ,平成3年までの19年の在任期間で,医局員数は111名,同門会員も53名にも上り,教室を大きく発展されました。 安田先生が北海道大学の発展のために尽くされたご努力に改めて感謝するとともに,先生のご冥福をお祈り申し上げます。 |