訃報

名誉教授 深瀬 忠一(ふかせ ただかず) 氏(享年88歳)

深瀬 忠一  氏  名誉教授 深瀬忠一先生は,平成27年10月5日にご逝去されました。ここに生前のご功績を偲び,謹んで哀悼の意を表します。
 先生は,昭和2年3月1日に高知県で生まれ,同28年3月に東京大学法学部法律学科を卒業,同年6月に北海道大学法経学部助手に任命されました。その後,昭和31年4月法学部助教授,同39年2月法学部教授に昇任され,平成2年3月に定年退官されました。この間,先生は,専門教育課程の憲法第1部,第2部,一般教育課程の日本国憲法,法学,総合講義(「平和の学際的研究」)を担当され,法学教育の充実に努められました。また,学内では学部内外の諸委員を務められたほか,昭和53年12月から同55年12月まで法学部長・法学研究科長を務められ,大学行政の運営に貢献されました。北海道大学を定年退官後は,平成9年3月まで北星学園大学で教鞭を執られました。
 深瀬先生の専攻は憲法学ですが,その主要な研究業績は次の3つの分野に分けることができます。まず第1の分野は,博士論文となった「衆議院の解散」に代表される議会政の比較憲法史的研究とそれを踏まえた日本の議会制度・立法過程に関する理論的・実証的研究です。第2の分野は,パリ大学等への留学とその後の客員教授の経験に基づいた詳細な日仏比較憲法研究です。そして第3の分野は,「平和的生存権論」と「立憲民主平和主義論」に代表される憲法の平和主義に関する思想史的・理論的研究です。なお,先生の研究活動について特筆すべきこととして,熱心に取り組まれた国際的な学術交流があります。その功績により,昭和56年にポワチエ大学から名誉博士号,同58年にはフランス政府から文化功労賞を授与されています。
 ここに謹んで先生のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

(法学研究科・法学部)

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