名誉教授 丸川 健三郎(まるかわ けんざぶろう) 氏(享年78歳)
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名誉教授 丸川健三郎先生が平成27年12月19日に逝去されました。先生は昭和34年3月京都大学理学部物理学科をご卒業,同36年3月同大学院修士課程を修了され,同37年3月に東京大学物性研究所助手に着任されました。その後,昭和42年1月に京都大学より理学博士の学位を授与され,同年8月に北海道大学工学部助教授に着任されました。さらに,昭和63年4月から応用物理学科X線粒子線講座(その後,結晶物理工学分野)教授として,平成12年3月に定年退官されるまで,教育と研究指導に尽力されました。 この間,先生は結晶物理学,金属物性学において数多くの業績を挙げられ,この分野の発展に寄与されました。先生のご業績は,結晶における格子欠陥と相変態の研究に大別できます。格子欠陥の分野では,電子顕微鏡やX線トポグラフなどを用いた転位の「新しい評価法」の開発,また「転位の運動」に関する研究などで大きな業績を挙げられました。特に,転位論に基づく金属強度理論の研究は先生のライフワークで,退官後にも多くの論文を発表されたことが特筆されます。また,相変態の分野では,形状記憶とマルテンサイト変態の関係について研究を展開され,転位や短距離規則などの新しい観点を導入され,内外から注目されました。 一方講義においては,丁寧な話し方で理路整然と講義を行い,また質問には明快な回答をされておりました。そのためか,研究室も人気があり,多くの学生で手狭になった研究室で活発な研究が行われ,優秀な卒業生が育っていきました。お仕事の傍ら,先生はクロスカントリースキーを趣味とされており,スキー大会の順位表にお名前を何度かお見かけしました。このように先生は,余暇でも大きな業績を残されました。 ここに先生のご冥福をお祈りします。 |