名誉教授 笹谷 宜志(ささや たかし) 氏(享年85歳)
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名誉教授 笹谷宜志先生が平成28年3月13日に逝去されました。先生は昭和30年北海道大学農学部林産学科を卒業,同36年同大学院農学研究科林産学専攻博士課程を修了後,同年5月同農学部附属演習林教務職員に任命され,同年9月助手,同38年4月同農学部助手,同41年4月同助教授を経て,同60年4月に同教授に昇任されました。 33年間にわたり本学における教育・研究に尽力され,平成6年3月定年により退官されるまで,木材化学の分野で数多くの業績を挙げられました。特に,カバノキ科に属する多くの樹木の抽出成分を詳細に検索し,特異的に存在するジアリルヘプタノイド系化合物の化学構造の相違からカバノキ科樹木の分類法を初めて提案されました。また,カラマツとトドマツの各材に含まれるリグナン系抽出成分に関する研究では,数多くの新規二〜四量体ネオリグナンを単離するとともに,ブラウンズリグニンの詳細な化学構造研究を行うことにより,これらがリグナンオリゴマーとして捉えられることを提案されました。さらに,木質バイオマスの簡易成分分離法の開発にも寄与され,斯界において高く評価されています。 先生は,木材化学講座教授としての教育・研究,外国人留学生の指導のほか,北海道大学発明委員会,機器分析運営委員会,言語文化部共同利用委員会などの委員として本学の管理・運営に寄与されました。学外においては複数の大学の非常勤講師を務めた他,北海道地域技術振興センター「バイオテクノロジー実用化研究開発」委員会委員として地域社会の科学技術振興に貢献されました。さらに学会活動として,日本木材学会理事・北海道支部長,日本木材加工技術協会北海道支部理事などを歴任され,学会・協会の発展に尽力されました。 長年にわたる先生のご貢献に感謝し,ここに謹んで哀悼の意を表します。 |