名誉教授 高桑 榮松(たかくわ えいまつ) 氏(享年98歳)
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名誉教授 高桑榮松先生が,平成28年5月4日にご逝去されました。ここに生前のご功績を偲び,謹んで哀悼の意を表します。 先生は,大正8年2月8日に新潟県に生まれ,昭和16年に北海道帝国大学医学部を卒業された後,衛生学講座に入られ,大学院特別研究生を経て,同23年4月に同講座の講師となられました。昭和23年5月に医学博士を授与され,同26年2月に助教授,同32年8月には教授に昇任されました。その後,昭和45年5月からは医学部長事務取扱として,同47年1月から同51年1月までは北海道大学医学部長・医学研究科長として,医学部及び医学研究科の管理運営に当たられました。また,昭和52年に設立された,環境科学研究科(現:地球環境科学研究院)の新設にもご尽力され,同54年4月には,同研究科の第2代研究科長に就任されました。昭和56年4月に名誉教授となられ,本学退官後は,国立公害研究所(現:国立研究開発法人国立環境研究所)副所長を経て,同58年からは参議院議員を2期務められ,国政の場でもご活躍されました。これらの功績により,平成7年11月に勲一等瑞宝章を受章されました。 ご専門の衛生学の研究では,疲労度を評価する集中維持機能(TAF)テストを開発され,産業衛生の発展に寄与されるとともに,研究指導を通じて数多くの優れた門下生を育成されました。先生の衛生学に対する貢献は学会でも高く評価されるところとなり,昭和56年には会長として第51回日本衛生学会総会を主宰されています。 先生は本学退官後,2つの基金を設立され,医学部の教育研究の発展に多大なご貢献をされました。医学部における医学教育の振興並びに創造的研究の育成等に資するために設立された「高桑榮松奨学基金」は,累計145名の学生及び研究者に助成を行っています。また,医学部において研究に従事する外国人研究者を助成する目的で設立された「高桑榮松学術交流奨学金」は,これまでに28名の外国人研究者に助成を行っています。 医学部の最長老の名誉教授であり,医学研究科・医学部のよき理解者・支援者であった先生を失ったことは哀惜の念に堪えません。先生の医学部における教育,研究,管理運営,学術交流等への長年にわたるご貢献に感謝し,心よりご冥福をお祈り申し上げます。 |