訃報

名誉教授 竹山 太郎(たけやま たろう) 氏(享年95歳)

竹山 太郎 氏  名誉教授 竹山太郎先生が平成28年12月18日に逝去されました。先生は,昭和20年9月北海道帝国大学工学部生産冶金工学科をご卒業後,北海道大学工学部助手,講師,助教授を経て,同38年10月教授に昇任,約40年間にわたり現在の工学研究院附属エネルギー・マテリアル融合領域研究センターの前身である工学部附属金属化学研究施設及びエネルギー先端工学研究センターの発展に尽力され,同60年3月停年退官されました。
 先生は,電子顕微鏡が開発された当初から,金属物理学研究への応用を積極的に推進し,アルミニウム合金の時効硬化の研究をはじめ,鋼の時効析出,高温変形,鋼中の水素挙動などに関する多数の画期的研究を行い,それらの基礎並びに応用研究の発展に貢献されました。特に,金属化学研究施設への加速電圧650kV及び1300kVの超高圧電子顕微鏡の設置により,金属物理学研究の発展に貢献され,さらには,イオン加速器と電子顕微鏡による電子線・イオン同時照射装置の開発により,本学現有のマルチ量子ビーム超高圧電子顕微鏡の開発に繋がる基礎を築かれました。それらの研究成果により,昭和46年に日本電子顕微鏡学会瀬藤賞,同58年には日本金属学会谷川・ハリス賞を授与されました。また,学部,大学院の講義や研究指導を通じて教育にも尽力され,多くの研究者育成に貢献されました。
 学内では,金属化学研究施設長を延べ8期16年間,さらに,学内共同利用施設超高圧電子顕微鏡研究室運営委員長を務められました。その成果として,平成6年6月に金属化学研究施設はエネルギー先端工学研究センターへと発展し,その後の工学研究院附属エネルギー・マテリアル融合領域研究センターへと発展する基礎を築かれました。学外にあっては,日本電子顕微鏡学会会長をはじめ,日本金属学会理事,評議員,分科会副委員長及び北海道支部長等の関連学会の各種役員を歴任し,その運営に多大な貢献をされました。
 本学を停年退官された後は,昭和61年11月から平成3年11月まで数度にわたり,中国北京有色研究総院技術顧問及び国際協力事業団の技術協力専門家を務められ,中国の科学技術の振興を通して,日本と中国の国際協力の推進役を果たされました。平成8年11月には,これらの顕著な教育研究功労により,勲三等旭日中綬章を受章されました。
 先生の長年にわたるご貢献に改めて感謝し,ここに謹んで心よりご冥福をお祈り申し上げます。

(工学院・工学研究院・工学部)

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