1.北海道大学を取り巻く現況
世界人口は今,1年に約8,000万人が増えることによって70億人を突破し,食糧や資源の不足,少子高齢化や環境問題が深刻化しています。さらに,世界経済のグローバル化により,問題の解決は一ヶ国で済む問題でなくなり,沢山の事柄が複雑に絡み合った国際問題となりつつあります。一方で,情報通信技術の急速な発達により膨大な情報が一瞬に世界を駆け巡る環境ができあがり,これまで想像すらしていなかった科学技術イノベーションが,次々と生じてきており,その結果,大学に対して,イノベーションやグローバル化に対応した改革が待ったなしで要請されてきています。
北海道大学は,「フロンティア精神」,「国際性の涵養」,「全人教育」,そして「実学の重視」を教育研究の理念として掲げて,多くの人材を輩出し,多くの研究成果を世に送りだしてきました。また,山口佳三前総長の下では,世界のリーディングユニバーシティを目指して努力してきました。しかし残念ではありますが,ここ数年は世界大学ランキングが徐々に下がってきておりますし,大学運営面での問題も生じています。また,基盤経費が少なくなり,大学の研究者は競争的資金の申請や獲得後の事務作業に追われ,研究に従事する時間が減少しており,それによって大学現場における研究・教育の競争力が失われ,さらに短期的な結果を求める競争的資金の増大により,長期的展望に則った基盤的研究が弱体化し,若手研究者がアカデミズムから遠ざかる危機に瀕しております。このような状況では,1980年代に世界トップレベルの革新的な科学技術を創造した我が国の「知の集積」が消尽されていき,やがて喪失することが危惧されます。
本学が今置かれている危機的な状況を突破するためには,全学の教職員の声に真摯にそして謙虚に耳を傾け,大学が向かうべき将来像を考え直す必要があります。その最善策を導き出すためには,大学の基本理念や費用対効果の観点から,事業内容を精査し,戦略を再構築することが必要です。
2.北海道大学が果たすべき2つの使命
私は,これから6年間にやるべきことを2つ提示したいと思います。一つは「世界トップ100を目指す研究・教育拠点の構築」です。世界に飛躍するために必要な教育・研究面での課題を定量的に示し,改善策もなるべく定量的に目標を設定し,その一つひとつを丁寧に解決しながら前進していきたいと思います。2つ目は「北海道の地域創生の先導」となることです。インターネットをはじめとするIT革命は,流通コストの低減,新ビジネスの創出,コミュニケーションコストの激減を実現し,経済のボーダーレス化をもたらしております。グローバル化した経済下では,国際競争力の強化,不断のモノづくりイノベーションが要求され,これに基づく新しいビジネスが,私たちの生活,経済,社会を大きく変革しています。また,大企業やその下請産業が海外に進出し国内の空洞化が生じ,地域産業の崩壊をもたらし,地方の一人当たり所得の下落や,雇用減少による人口流出が大きな社会問題となっています。
東日本大震災から約6年が経過し,長期安定政権の下,日本経済も復興しつつありますが,未だ道半ばの状況にあります。北海道大学は日本のフロンティアである北海道の発展を担う中核的研究・高等教育機関として,地域活性化の先導役になり,北海道の経済・社会の創生にとどまらず,日本全体の再興を引っ張っていくエンジンの役割を果たすことが求められています。
幸い,北海道大学には,長い歴史を有し,世界レベルの研究を数多く発信している農学部や医学部,ノーベル化学賞を受賞した鈴木 章先生を輩出した理学部・工学部,さらに獣医学部や低温科学研究所,触媒科学研究所,電子科学研究所,スラブ・ユーラシア研究センターなどの,世界レベルでの研究拠点が多数存在します。その他の部局でも,文系理系共に我が国をリードする多様な研究が積み重ねられてきています。これらの「知の集積」を更に強化し,連結・融合させて情報発信することによって,全世界の英知を本学に結集し,新しい知識・技術を生みだし,産業の育成や施策を通して,北海道の地域創生を先導したいと思います。
私が総長を務めさせていただく6年間で,「世界トップ100を目指す研究・教育拠点の構築」と「北海道の地域創生の先導」の2つを達成したいと考えています。たとえ道半ばになったとしても,次世代では実現するように強い基盤を築きます。
3.世界トップ100を目指す教育・研究イノベーション
社会から要請されている最高学府としての大学使命は,大きく言えば教育と研究を通して社会の発展に貢献することです。さらに,グローバル社会で大学教育に求められているのは,卒業した大学の「ブランド」ではなく,受けた教育の質を保証することです。既に,GPA(Grade Point Average)制度の導入により,厳格な成績評価と単位の実質化を推進してきましたが,全教員が「1単位は45時間の学修を必要とする内容をもって構成する」という基準に則った単位数に見合った予習・復習,そしてまたアクティブな学修を必要とする授業を展開することで,学生が「講義を聴く」教育から「自ら学ぶ」教育への転換を図っていきたいと考えております。
現代の混沌とした社会状況の中では,自らの足元をしっかりと見定め,遠くまで見通すことのできる確かな視力と広い視野を養い,問題を根本的に考えて判断を下せる社会のリーダーを育成することが何よりも大切です。リーダーを養成する一つの手法として古くから欧米ではリベラルアーツが重視されてきました。本学でも,札幌農学校以来リベラルアーツが重視され,学部や大学院でも幅広い分野の教養・専門に関する講義を受けることが可能となっております。しかし,時代とともに必要となる教養の内容は変化します。自然科学・応用科学,さらには人文社会科学の変化を見据えながら,現在必要なリベラルアーツとは何なのか,もう一度見直す必要があると考えております。専門教育との両立,課外活動の充実など課題は多いのですが,教育は大学の本分ですので最優先で対応し,根幹となる科目を絞って提示し,これを必修化することで,本学の卒業生が,必須となる教養を必ず身につけて卒業するようにしたいと思います。
また,情報化が進み国境のない世界になりつつある現代社会では,外国語で意思の疎通がとれることは勿論,異なる文化的背景や価値観を持つ人々と対話し,相互理解を深める中で互いに学び合うことができなければなりません。「国際的に通用する人材の育成」が大学教育のキーワードであり,平成25年度に開始した新渡戸カレッジの内容を充実させ,「品位ある自律的な個人の確立,それぞれの文化的・社会的背景に根ざしたアイデンティティの確立,同時に国際性とリーダーシップを持って活躍する人材」を育成してまいります。
さらに,大学には「知の府」として,健全な人間社会の在り方を示し,次代の文化の創造や地域創生への貢献も求められています。北海道大学は,北海道の土地の多くが作物の生育には不向きな泥炭土や火山灰土からなり,不利な農業条件にも関わらず,排水や客土をして良質な土壌を作ることから始め,研究成果を社会に還元し,食料自給率200%の北海道の形成に尽力してきました。今後も研究成果の社会還元を継続し,よりよい社会の実現を目指していきます。
なお,北海道大学が世界と伍す大学として発展するには,研究面での国内外への積極的な情報発信と国際共同研究の促進など更なる飛躍が必要です。これらのワールドクラスの研究を推進し,世界中の人の耳目を集めるためには,ごく当たり前ですが,北海道大学の優れている研究をさらに伸ばしていき,未達の部分を改善いたします。このため,各部局と一緒に,自分たちの得手不得手を客観的に分析し,どう変革していくべきかについて議論していきます。
北海道大学は「実学の重視」を研究理念としています。これから,ともすれば,今述べた社会で役立つ研究だけを重視し資源を集中させようと考えがちですが,研究で大切なのは多様性です。社会での実用化に対して即効性は無くても,広い意味で社会を豊かにする基礎研究は,今までも,大学の「研究の幅」を広げ,大きな成果をもたらしてきました。今後も応用研究と基盤研究が共存し協力し合って進歩する体制になるように支援していきます。
また,新しい学問領域を創成するために設立した創成研究機構では,これまで生命科学系を中心に成果を上げてきました。今,世界では人工知能AIやビッグデータなどのデータサイエンスと,数理学,工学,生命科学,感染症学,医学,農学,人文社会科学が関わる分野融合的なネットワーク科学が次々と生まれており,日本の立ち遅れが指摘されています。今後は,生命科学分野以外の,多分野融合による新学術分野の創造も試み,気候変動,少子高齢化,資源枯渇問題などの人類共通の課題の解決に重点的に取り組みたいと思います。
現代の混沌とした社会状況の中では,自らの足元をしっかりと見定め,遠くまで見通すことのできる確かな視力と広い視野を養い,問題を根本的に考えて判断を下せる社会のリーダーを育成することが何よりも大切です。リーダーを養成する一つの手法として古くから欧米ではリベラルアーツが重視されてきました。本学でも,札幌農学校以来リベラルアーツが重視され,学部や大学院でも幅広い分野の教養・専門に関する講義を受けることが可能となっております。しかし,時代とともに必要となる教養の内容は変化します。自然科学・応用科学,さらには人文社会科学の変化を見据えながら,現在必要なリベラルアーツとは何なのか,もう一度見直す必要があると考えております。専門教育との両立,課外活動の充実など課題は多いのですが,教育は大学の本分ですので最優先で対応し,根幹となる科目を絞って提示し,これを必修化することで,本学の卒業生が,必須となる教養を必ず身につけて卒業するようにしたいと思います。
また,情報化が進み国境のない世界になりつつある現代社会では,外国語で意思の疎通がとれることは勿論,異なる文化的背景や価値観を持つ人々と対話し,相互理解を深める中で互いに学び合うことができなければなりません。「国際的に通用する人材の育成」が大学教育のキーワードであり,平成25年度に開始した新渡戸カレッジの内容を充実させ,「品位ある自律的な個人の確立,それぞれの文化的・社会的背景に根ざしたアイデンティティの確立,同時に国際性とリーダーシップを持って活躍する人材」を育成してまいります。
さらに,大学には「知の府」として,健全な人間社会の在り方を示し,次代の文化の創造や地域創生への貢献も求められています。北海道大学は,北海道の土地の多くが作物の生育には不向きな泥炭土や火山灰土からなり,不利な農業条件にも関わらず,排水や客土をして良質な土壌を作ることから始め,研究成果を社会に還元し,食料自給率200%の北海道の形成に尽力してきました。今後も研究成果の社会還元を継続し,よりよい社会の実現を目指していきます。
なお,北海道大学が世界と伍す大学として発展するには,研究面での国内外への積極的な情報発信と国際共同研究の促進など更なる飛躍が必要です。これらのワールドクラスの研究を推進し,世界中の人の耳目を集めるためには,ごく当たり前ですが,北海道大学の優れている研究をさらに伸ばしていき,未達の部分を改善いたします。このため,各部局と一緒に,自分たちの得手不得手を客観的に分析し,どう変革していくべきかについて議論していきます。
北海道大学は「実学の重視」を研究理念としています。これから,ともすれば,今述べた社会で役立つ研究だけを重視し資源を集中させようと考えがちですが,研究で大切なのは多様性です。社会での実用化に対して即効性は無くても,広い意味で社会を豊かにする基礎研究は,今までも,大学の「研究の幅」を広げ,大きな成果をもたらしてきました。今後も応用研究と基盤研究が共存し協力し合って進歩する体制になるように支援していきます。
また,新しい学問領域を創成するために設立した創成研究機構では,これまで生命科学系を中心に成果を上げてきました。今,世界では人工知能AIやビッグデータなどのデータサイエンスと,数理学,工学,生命科学,感染症学,医学,農学,人文社会科学が関わる分野融合的なネットワーク科学が次々と生まれており,日本の立ち遅れが指摘されています。今後は,生命科学分野以外の,多分野融合による新学術分野の創造も試み,気候変動,少子高齢化,資源枯渇問題などの人類共通の課題の解決に重点的に取り組みたいと思います。
4.北海道の地域創生を先導する産学官連携イノベーション
次に,2番目の目標である「北海道の地域創生の先導」について説明いたします。地域との連携に関しては,北海道大学は,140年間にわたり札幌市民や北海道民から愛されてきましたが,今後とも北海道,札幌市,函館市と共に発展していきたいと考えています。このため,研究成果を社会に還元する組織である産学・地域協働推進機構を,さらに活発に稼働させたいと思います。
一例をあげると,北海道大学が中核となり,食と農林水産の研究・産業集積地「フードバレー」を作っていきたいと考えています。北海道には自然に恵まれた広大なフィールドがあり,農業産出額は1兆円超で全国の12%を占め,食料自給率は201%で全国第1位(2012年度)となっており,我が国最大の食料供給基地と言えます。日本は安全で高品質な食品を提供する技術を有している一方で,産業として捉えた場合は規模やコストの面で多くの改善が必要とされています。このため,北海道大学周辺に他の国立研究機関や食産業関連企業を集めて,さらに,企業と研究機関の調整役として,産学官が出資する財団を立ち上げ『北海道版フードバレー』を目指したいと思います。なお,この財団には,外部資金の調達の他に,研究者に研究費を出資するファンドの役割,さらに研究の進捗状況を把握し,助言を与えるリサーチ・アドミニストレーターの役割も果たさせたいと思います。北海道版フードバレーは,本学のためだけではなく,道内はもちろん国内外の大学とも緊密に連携し,活発な共同研究を遂行することを可能にします。こうした,柔軟性の高い,盤石な財政基盤を有する財団を作ることで,10年,20年と長期にわたる研究開発を計画・推進することが可能になります。
一例をあげると,北海道大学が中核となり,食と農林水産の研究・産業集積地「フードバレー」を作っていきたいと考えています。北海道には自然に恵まれた広大なフィールドがあり,農業産出額は1兆円超で全国の12%を占め,食料自給率は201%で全国第1位(2012年度)となっており,我が国最大の食料供給基地と言えます。日本は安全で高品質な食品を提供する技術を有している一方で,産業として捉えた場合は規模やコストの面で多くの改善が必要とされています。このため,北海道大学周辺に他の国立研究機関や食産業関連企業を集めて,さらに,企業と研究機関の調整役として,産学官が出資する財団を立ち上げ『北海道版フードバレー』を目指したいと思います。なお,この財団には,外部資金の調達の他に,研究者に研究費を出資するファンドの役割,さらに研究の進捗状況を把握し,助言を与えるリサーチ・アドミニストレーターの役割も果たさせたいと思います。北海道版フードバレーは,本学のためだけではなく,道内はもちろん国内外の大学とも緊密に連携し,活発な共同研究を遂行することを可能にします。こうした,柔軟性の高い,盤石な財政基盤を有する財団を作ることで,10年,20年と長期にわたる研究開発を計画・推進することが可能になります。
5.イノベーションを支える人材の確保
一方,これらの教育・研究活動や地域創生を進めるためには,優秀な人材が必要です。しかし,大学教育の国際化がもたらす教育経費の高騰は大学の基盤経費を圧迫しております。これは日本だけの問題でなく,欧米でも大きな問題となっており,MOOCs(大規模オープンオンライン講座)のような遠隔地教育が開発された一因となっています。しかし,遠隔地教育も最終的な解決策ではなく,米国大学の教員からも,最終的には選抜された優秀な学生との対面式の教育が大切であり,教員の人数は減らせないとの意見を聞きます。換言すれば,様々な創造的事業の実施で,拡大した組織的・人的コストを見直し,必要な専任の教員を確保することが肝要であると言えます。私は,国から交付される基盤的な経費の削減に相当する人件費の第3期中期目標期間における削減を7.5%に圧縮するよう全力を注ぎます。なお,人件費の削減に伴って不足した教員は,財政的工夫によるテニュア教員の雇用維持,外部資金による任期付き教員の採用や65歳以上の退職教員の教育専任の任期付き教員としての再雇用などで対応いたします。
また,人件費不足分を外部資金で確保するために,大学内での各分野間の協働的な研究を開拓して既存の様々な研究助成をさらに獲得していくことはもちろん,先に述べた財団を大学外に設置し,部局の枠を超えた連合研究グループと企業との協働研究に発展させ,研究開発費の大幅な増加を図り,人件費の削減を7.5%に圧縮するための資金を確保したいと考えております。
また,人件費不足分を外部資金で確保するために,大学内での各分野間の協働的な研究を開拓して既存の様々な研究助成をさらに獲得していくことはもちろん,先に述べた財団を大学外に設置し,部局の枠を超えた連合研究グループと企業との協働研究に発展させ,研究開発費の大幅な増加を図り,人件費の削減を7.5%に圧縮するための資金を確保したいと考えております。
6.民主的な運営体制でのガバナンスの強化
大学運営に関しては,ぶれない「軸」を持ち,謙虚に学び,果敢に実行することが大切だと考えております。また,トップが担うべき仕事として,次の5つを行いたいと考えております。
@ 明確な経営ビジョンを示し,それに基づいた経営計画を作成する。
A 経営ビジョンと実行計画を公表する。
B 公表した経営ビジョンと実行計画を,着実に実行する。
C 情報開示は迅速にする。
D 部局等の声を活かした民主的な運営をする。
以上の業務を実行する体制を作るため,総合IR室,政策調整室,広報室を総長の直轄組織として編成します。総合IR室は,簡単に言えば,企業でいうところの情報戦略室であり,大学の運営に役立つ様々な情報を提供する役割を担う機能を果たします。また,政策調整室は総合IR室の情報分析結果を大学のガバナンス,資源配分へフィードバックする方策の方針を作成するところです。広報室は,教員の研究成果だけでなく,教育や大学全体の組織的な活動を国内外に情報発信します。また,海外への情報発信機能の強化の他に,海外オフィス及び国際連携機構の組織と機能を改善・強化し,世界における北海道大学のプレゼンスを高めたいと思います。なお,北海道大学の国際化に向けた最も本質的で有効な処方箋は北海道大学の教育と研究を,国内外から見て魅力あるものにレベルアップすることであり,その目的達成のための教育・研究環境の整備に全力を注ぎます。
ところで,北海道大学が抱える問題点に関しては,既に各部局等で議論がなされており,全学的に自由に意見を述べあえる環境を整えさえすれば,人材豊富な本学では必ず経営改善の糸口やアイディアが見つかると,私は信じております。挙げられたアイディアを公平な目で取捨選択をし,方針を提示するのがトップを含めた本部の務めと考えます。大きな目標を最終的に達成するために,具体的で実現性の高い小さな目標を,自ら決めた期限を守りながら一つひとつ確実に達成し,教職員の皆さん全員が大学の発展の担い手であることを実感できる,「ワクワクするような職場」を創っていきます。
@ 明確な経営ビジョンを示し,それに基づいた経営計画を作成する。
A 経営ビジョンと実行計画を公表する。
B 公表した経営ビジョンと実行計画を,着実に実行する。
C 情報開示は迅速にする。
D 部局等の声を活かした民主的な運営をする。
以上の業務を実行する体制を作るため,総合IR室,政策調整室,広報室を総長の直轄組織として編成します。総合IR室は,簡単に言えば,企業でいうところの情報戦略室であり,大学の運営に役立つ様々な情報を提供する役割を担う機能を果たします。また,政策調整室は総合IR室の情報分析結果を大学のガバナンス,資源配分へフィードバックする方策の方針を作成するところです。広報室は,教員の研究成果だけでなく,教育や大学全体の組織的な活動を国内外に情報発信します。また,海外への情報発信機能の強化の他に,海外オフィス及び国際連携機構の組織と機能を改善・強化し,世界における北海道大学のプレゼンスを高めたいと思います。なお,北海道大学の国際化に向けた最も本質的で有効な処方箋は北海道大学の教育と研究を,国内外から見て魅力あるものにレベルアップすることであり,その目的達成のための教育・研究環境の整備に全力を注ぎます。
ところで,北海道大学が抱える問題点に関しては,既に各部局等で議論がなされており,全学的に自由に意見を述べあえる環境を整えさえすれば,人材豊富な本学では必ず経営改善の糸口やアイディアが見つかると,私は信じております。挙げられたアイディアを公平な目で取捨選択をし,方針を提示するのがトップを含めた本部の務めと考えます。大きな目標を最終的に達成するために,具体的で実現性の高い小さな目標を,自ら決めた期限を守りながら一つひとつ確実に達成し,教職員の皆さん全員が大学の発展の担い手であることを実感できる,「ワクワクするような職場」を創っていきます。
7.生涯教育とそれを支えるキャンパスの充実:Not only four years, but also forty years
卒業してから学生時代を振り返る時に,いいキャンパスだったと思えるのが理想の姿とよく言われます。しかし,北海道大学は,「Not only four years, but also forty years」を合言葉に,一生涯の保証を目指したいと思います。一生涯の保証とは,いかに科学技術や社会科学が進歩しても通用する基本的な教養や専門知識を在学中に身に付けさせ,大学にもう一度学び直しに来る機会を提供することを意味しております。このような,生涯教育のために,今後何を行うべきか,同窓会とも一緒になり,真剣に検討していきたいと考えております。
欧米の大学は長い歴史の中で誇りうるキャンパス環境を順次整えてきています。欧米の大学の良さに学びながら北海道大学も,50年100年先を見越したキャンパスの将来構想作りをスタートさせなければなりません。機能,配置,景観,交通網,市民との接点などを考慮しながら,緑豊かで,美しく,安全なキャンパス作りに励みます。
欧米の大学は長い歴史の中で誇りうるキャンパス環境を順次整えてきています。欧米の大学の良さに学びながら北海道大学も,50年100年先を見越したキャンパスの将来構想作りをスタートさせなければなりません。機能,配置,景観,交通網,市民との接点などを考慮しながら,緑豊かで,美しく,安全なキャンパス作りに励みます。
8.おわりに
最後になりましたが,「世界トップ100を目指す研究・教育拠点の構築」と「北海道の地域創生の先導」を実現するためには,同窓生の皆様をはじめ,教職員,在校生及びその保護者を構成員とする校友会エルムの皆様のご理解とご支援が不可欠と考えています。また,本学と会員の皆様とのネットワーク及び会員同士のネットワークを通じて「愛校心の醸成」を図り,皆様との絆を深め,「独立心と自律心を持った豊かな北海道大学」を作っていきたいと願っております。皆様のご協力をどうぞよろしくお願いいたします。
略 歴
| 昭和52年3月 | 北海道大学工学部建築工学科卒業 | |
| 昭和55年3月 | 北海道大学大学院工学研究科建築工学専攻修士課程修了 | |
| 昭和55年3月 | 秩父セメント株式会社中央研究所(現 太平洋セメント株式会社) | |
| 平成4年1月 | 博士(工学)(東京工業大学) | |
| 平成6年10月 | 秩父小野田株式会社中央研究セメントコンクリート研究所 | |
| 平成9年4月 | 北海道大学大学院工学研究科助教授 | |
| 平成16年5月 | 北海道大学大学院工学研究科教授 | |
| 平成19年4月 | 独立行政法人日本学術振興会学術システム研究センター研究員 | |
| 平成22年4月 | 北海道大学教育研究評議会評議員・大学院工学研究院副研究院長 | |
| 平成26年3月 | ||
| 平成26年4月 | 北海道大学大学院工学研究院長・工学院長・工学部長 | |
| 平成29年3月 |
