文学研究科では,4月14日(金)に人材育成本部上級人材育成ステーション(S-cubic)の樋口直樹特任教授を講師に,「文系博士の民間企業へのキャリア構築の可能性〜理工系博士の事例とその支援施策から」と題したFD研修を実施しました。
人文社会系の博士後期課程学生の進路は,民間企業への就職の実績が少なく,アカデミック・ポスト以外のキャリアパスを想定するのが難しいと,教員や学生の中で考えられてきました。ところが最近では,複雑な社会情勢に対応できる人文社会系博士人材の活躍の場が,民間企業等で生まれつつあります。今後,アカデミック・ポスト以外のキャリアパスも考慮に入れた博士後期課程学生の指導を行っていくために,博士人材キャリアパスの現状を知り,文系博士のキャリア構築の可能性を知ることが,本FD研修の目的です。
人材育成本部の上級人材育成ステーションは,これまで10年間にわたり,理工系博士を中心にキャリアパス多様化に取り組んできました。これを文系博士に対しても広げる取り組みが始まっています。講演では,本学における博士学生のキャリアパスの実態について解説があり,上級人材育成ステーションが行っている支援が説明されました。さらに文学研究科博士後期課程学生への支援事例が紹介され,人文社会系博士のキャリアパスの可能性について言及がありました。
質疑応答では,民間企業ほか多様な進路を開拓できるのであれば,博士後期課程への進学者を受け入れやすくなるというコメントや,キャリアパスを考える際に,アカデミック・ポスト以外の選択肢があるという,教員及び学生の意識改革の必要性を指摘する意見が出ました。
文学研究科では,今後,人文社会系博士人材に対してより効果的な支援を行っていくために,上級人材育成ステーションと協力しながら,新たな支援策の開発に取り組んでいく予定です。