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触媒化学研究センターで研究討論会
    「分子を超えた『かたち』と機能」を開催

 触媒化学研究センターでは,第10回研究討論会「分子を超えた『かたち』と機能」を1月29日(土),1月30日(日)の両日にわたり,本学学術交流会館において開催しました。
 この研究討論会は,全国の研究者を招聘し触媒化学に関する特定のテーマについて討論するもので,毎年開催されております。
討論風景
討論風景
討論風景
 今回は分子よりも大きなサイズの「かたち」と化学の関わりを議論することを目的としてテーマを選び,10名の招待講演(他大学8名,本学2名)および本センターから4名の講演が行われました。これまでの触媒化学の研究は,原子・分子サイズの活性点の解明やその構造に主眼がおかれてきました。しかし,生体がもつ触媒の一種である酵素の例をみてもあきらかなように高選択性の発現には活性点をとりかこむ「分子よりひとまわり大きい」構造が必要です。したがって,原子・分子がつくり出す「かたち」が化学反応に影響をあたえたり,化学反応によって分子よりも大きな「かたち」が形成されることは大いに期待できます。今回の研究討論会では,二次元,三次元の「かたち」の形成とこれによる化学反応の制御の可能性に関連した最新の研究成果が発表され,学内外約100名の研究者と熱心かつ活発な討論を行うことができました。
 本討論会のテーマである,「分子を超えた『かたち』と機能」は,化学のあらゆる分野との学問的交流によって達成可能であると考えられます。この点から,本討論会では触媒化学のみならず関連分野である有機合成化学,錯体化学,光化学,電気化学,表面科学のなかで,「かたち」に関連したアプローチをされている方々に最新の話題について講演をいただきました。
 省エネルギー・省資源・機能性材料の創製,地球環境保全のために触媒化学の重要性は増大しており,大きな期待がかけられています。基礎と応用の両面からのバランスのとれた学術研究の発展とともに,新しい視点からの研究の推進が望まれるところです。今回のような討論会を通じて新しい研究分野の開拓と異分野の研究者との交流を行って一層の研究の進展をめざすものであります。
 なお,演題および講演者は次のとおりです。

・イントロダクションにかえて―単粒子膜と二次元不斉 大 谷 文 章
(触媒化学研究センター教授)
・散逸構造を利用した高分子メゾスコピックパターンの作製と機能 下 村 政 嗣
(電子科学研究所教授)
・半導体ナノ粒子アレイの調整と光電気化学特性 鳥 本   司
(大阪大学大学院工学研究科助手)
・非線形電極反応が作る形と機能 中 林 誠一郎
(埼玉大学理学部助教授)
・メゾスコピック領域の「かたち」と白金表面の化学反応制御 朝 倉 清 高
(触媒化学研究センター教授)
・吸着自己組織化による有機分子の配列制御 國 武 雅 司
(熊本大学工学部講師)
・ナノハニカムイ構造を有するチタニアの創製と機能 箕 浦 秀 樹
(岐阜大学大学院工学研究科教授)
・規則性超微空間物質の機能化 岩 本 正 和
(触媒化学研究センター教授,センター長)
・錯体集積空間―構造と機能 北 川   進
(京都大学大学院工学研究科教授)
・表面構造変化と光機能 藤 嶋   昭
(東京大学大学院工学系研究科教授)
・微小空間におけるサイズ・形状依存化学 喜多村   昇
(大学院理学研究科教授)
・ミクロ空間を利用したナノ金属粒子と細線の鋳型合成―形と触媒機能―
市 川   勝
(触媒化学研究センター教授)
・無機・有機ナノ構造体の設計と機能 相 田 卓 三
(東京大学大学院工学系研究科教授)
・共役組織体の構造と機能の制御 彌 田 智 一
(東京都立大学大学院工学研究科教授)

(触媒化学研究センター)