現在,21世紀日本社会のあり方を見据えつつ,国民に身近な司法制度を構築することを目指して司法制度を改革する動きが急速に進んでいます。その重要課題は,法曹の質的・量的充実を実現するために法曹養成制度を改革することであり,その中心的改革案として提示されているのが,法科大学院(日本型ロースクール)構想です。改革に向けて中心的役割を果たすべき司法制度改革審議会は,このたび,法科大学院構想に前向きの見解を公表するとともに,その具体化を文部省に依頼しました。
このような動向を受けて,全国の法学部・法学研究科においても法科大学院構想の検討が活発になっており,各地でその構想を公表するシンポジウムが開催されています。本法学研究科も,6月3日に学術交流会館講堂を会場として,シンポジウム「21世紀の新たな法曹養成制度と法学教育の構築を目指して」を開催し,法科大学院問題ワーキング・グループ案を公表しました。ここには,全国から法曹(裁判官,検察官,弁護士),大学関係者約150名が参加し,法科大学院に関する北大構想をめぐって熱心な議論が交わされました。
これまでの各地のシンポジウムにおいて公表された案は,どちらかというと総論的・理念的検討に重点を置いていました。これに対して,北大構想は,詳細な具体的・各論的検討を行った点に特徴があります。あるパネリストは,これを「今まで公表された案のなかで最も詳細かつ周到な提案」と評価しました。それだけに,議論も,法科大学院制度の細部にわたる具体的な論点までつっこんだものになりました。このシンポジウムは,参加者が法科大学院の具体的あり方を考える格好の機会になっただけではなく,法科大学院をめぐる今後の全国的な検討にも重要な一石を投じるものになったものと考えます。
なお,このシンポジウムの基調報告演題およびパネリストは,次のとおりです。
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