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触媒化学研究センターで研究討論会
「分子触媒の新しい仕掛け」を開催

 
 触媒化学研究センターでは,第11回研究討論会「分子触媒の新しい仕掛け」を12月1日(金),2日(土)の両日にわたり,本学学術交流会館において開催しました。
討論会の様子
討論会の様子

 今回は分子触媒反応の反応設計,反応機構,そして作業仮説までも含めた概念を「仕掛け」というキーワードで討論しようという試みです。10名の招待講演者(他大学7名,本学3名)および本センターから2名の講演が行われました。
 分子触媒反応は活性点が均一であるため,「仕掛け」を仕込むことが比較的容易です。講演においては有機金属化学,超分子化学,錯体化学,理論化学,有機合成化学など幅広い分野から第一線で活躍されている研究者が分子触媒の最前線の研究成果とその成功の「仕掛け」について講演し議論しました。学内外から約100名が参加し,極めて活発な議論が展開されました。討論会においては座長が討論を打ち切って次の講演に進む,という状況がしばしば見られました。コーヒーブレークや懇親会においても活発な議論,意見交換が行われていたのが印象的でした。高活性,高選択的な分子触媒反応を如何に構築するのか。多くの異なる有益なアイデアが披露され,意見の交換が行われました。
討論会のスタッフ紹介
討論会のスタッフ紹介

 触媒化学はエネルギー変換,地球環境保全,機能性物質の創製,材料科学の進展のために極めて重要な役割を担っており,今後もその発展が極めて重要と認識されております。基礎と応用の両面からのバランスのとれた学術研究の進展とともに,新しい観点からの研究の進展が望まれております。今回のような討論会を通して新しい研究分野の開拓と異分野の研究者との交流を図って一層の研究の進展を目指すものです。その意味からも世界の触媒研究の中心としての触媒化学研究センターの果たす役割はますます重要となってきます。
 討論会における講演題目および講演者は以下の通りです。
 
    講演題目および講演者
    イントロダクションにかえて−14族元素化合物の錯体触媒反応−

     辻  康之(触媒化学研究センター教授)
    含窒素配位子の多様な配位様式を活かした重合触媒の開発

     真島 和志(大阪大学基礎工学研究科助教授)
    ホスト−ゲスト系を利用した触媒系の設計と開発

     原田  明(大阪大学理学研究科教授)
    pH変化を利用したキノンアクア錯体の酸化還元反応

     拓植 清志(北海道大学理学研究科助手)
    典型金属触媒を用いた有機反応の制御に関する理論的研究

     堀  憲次(山口大学工学部教授)
    σ結合活性化と錯体触媒反応に関する理論的研究

     榊  茂好(熊本大学工学部教授)
    π−アリルパラジウムを中間体とするアレン類の触媒的合成

     小笠原 正道(京都大学理学研究科助手)
    二核金属錯体による酸素分子の結合と活性化の化学

     鈴木 正樹(金沢大学理学部教授)
    アセチレンジコバルト錯体を用いる環骨格構築法の開発

     谷野 圭持(北海道大学理学研究科助教授)
    配位環境を制御した非ヘム系金属酵素モデルの構築と酸素種との反応

     増田 秀樹(名古屋工業大学工学部教授)
    ピリジン誘導体およびベンゼン誘導体の選択的合成法の開発

     高橋  保(触媒化学研究センター教授)
    末端アルキンの触媒的トランスヒドロホウ素化反応

     宮浦 憲夫(北海道大学工学研究科教授)
     
(触媒化学研究センター)