医学部・免疫科学研究所で防災講演会を開催

 医学部・免疫科学研究所では,「防災週間」期間中に防災意識の高揚と防災知識の普及のため,防災講演会を平成 8 年 9 月 3 日(火)に医学部臨床大講堂で開催しました。
 講演は札幌市北消防署予防係長をお招きして,「阪神・淡路大震災から学ぶもの」と題し,スライドによる震災の検証と震災時の火災発生原因等,防災について 1 時間半に渡り行われました。関係教職員,学生を含め約100人の参加者があり,所期の目的を得ることができました。

(医学部・免疫科学研究所)



医学部附属病院で「ヴァイオリンの夕べ」を開催

 医学部附属病院では, 8 月27日(火)午後 6 時15分より,世界的にも有名なヴァイオリニスト天満敦子さんをお招きして,外来診療棟 1 階ホールにおいて「ヴァイオリンの夕べ」を開催しました。
 これは,天満さんとは古くからの友人である本院第二内科の小池隆夫教授が,演奏会のため札幌を訪れることとなった天満さんへ,ぜひ本院の患者さんの前で演奏してほしいと依頼し,忙しいスケジュールの中快諾された天満さんのご厚意により実現したものです。
 大田看護部長のあいさつの後,小池教授が天満さんと,伴奏のピアニスト永井礼子さんを紹介し,いよいよ演奏が始まりました。「エクレスのソナタ」,「アベマリア」,「チゴイネルワイゼン」,「望郷のバラード」,「G線上のアリア」いった名曲が次々と披露され,会場に集まった400人を越える聴衆は,伸びやかで,そして時には小気味よいヴァイオリンの音色に,目を閉じるなどしてすっかり聞き入っていました。さらに天満さんは,予定のプログラム演奏後も鳴り止まぬ拍手から,アンコールにも応えられ,会場からは一層大きな拍手が送られました。

 最後は,天満さんと永井さんへそれぞれ花束が贈られ,予定時間を大幅にオーバーした会を終了しましたが,「皆さんのお役に立てるのなら,私はいつまででもヴァイオリンを弾き続けることができます。」と語った,天満さんのさわやかな笑顔がとても印象的でした。

(医学部附属病院)


水産学部公開講座
「水の中の生きもの達からのメッセージ」が終了

 水産学部の公開講座「水の中の生きもの達からのメッセージ」は, 7 月13日(土)から 8 月24日(土)まで,毎週土曜日,水産学部特別講義室において 7 回開講し,37人の方が受講され好評のうちに終了しました。
 この講座は,食糧需要バランスの保持,エネルギーの確保等が21世紀の最大の課題となっている情勢の中で,陸地の 2 倍以上もある水圏が人類を支える重要な場であることから,馴染み深い海や川の魚・動物の生態や習性,漁礁に関する最新の知見や人間活動との係わりを学習し,マリンサイエンスへの認識を高めることを目的に開講しました。


小城春雄教授の講義

 最終日は,函館市の魚にも指定されているイカについての講義の後,山内学部長から受講者に修了証書が授与されました。

(水産学部)


大学院地球環境科学研究科でCOEシンポジウムを開催

 大学院地球環境科学研究科では,文部省COE(中核的研究拠点形成プログラムによる拠点形成推進計画)に応募することをめざして,7 月17日大学院地球環境科学研究科 2 階講堂においてシンポジウムを開催しました。シンポジウムでは,戸倉研究科長から「当研究科はCOE形成に積極的であるべき」という挨拶の後,COEにおいて取り組まれる可能性のある以下の課題について発表があり,研究課題,および体制作りについて議論をかわしました。

北方林の生態系機能変容:IGBO−MESSC後期計画
アジア東部における古環境変動
湖底推積物に見いだされる古環境変動
西部太平洋における古環境変動
真空紫外レーザーを用いた大気化学反応の解明
東アジアと西部太平洋の気候変動
北太平洋における化学物質循環
北太平洋と縁辺海の変動とそのモデリング

 総合討論の結果,研究分野と目標は,「地球環境変動機構の解明と予測」とすることが決まりました。また異分野間の共同研究を活性化するため「地球環境システムのなかのフィードバックス」というキーワードをとりあげ,次の 4 つの例について具体的なフィードバックの機構を解明することが提案されました。

陸域(地表面、植生)−気候
海洋生物生産−物理化学
大気−海洋(海氷)
大気微量成分−太陽放射

 10月の申請書提出締め切りまでに議論をすすめ,研究科の人的資源と施設・設備を有効に集中させる研究体制を構築するための提案をする予定ですので御意見をお寄せ下さい。

(大学院地球環境科学研究科)


練習船「おしょろ丸」の海洋調査実績が米国で評価
−感謝盾及び感謝状を贈呈される−

 平成 8 年 7 月13日,北海道大学水産学部附属練習船おしょろ丸の第69次北洋航海において,アラスカ州の州都であるジュノー市への寄港に併せて,アラスカ大学ジュノー校と北大水産学部の共催による「亜寒帯海域ワークショップ」が開催され,日米の研究者約50人が参加しました。このワークショップに参加したアメリカ商務省大気・海洋局(NOAA)の国立水産海洋研究所(NMFS)副所長であるアート・ケンドール博士から,おしょろ丸船上におけるレセプションの際に,アラスカ漁業科学センター並びに太平洋海洋環境研究所からとして船長に記念の盾が贈られました。この盾には,「1995−1996年の間のベーリング海でのスケトウダラの資源研究に関する協力に対して,FOCI(水産海洋共同研究プログラム)から調査船おしょろ丸の士官並びに乗組員の皆様に感謝の盾をここに贈ります」と紀されています。(この中で、おしょろ丸が調査船とされているのは,本船が国際条約でサケマス調査船として認可されていること,さらにアメリカ経済水域内で調査船として研究のための操業を許可されていることによります。)
 FOCIは,アメリカの海洋漁業関連の研究プロジェクトとして,「ベーリング海のスケトウダラの加入機構」を中心とする資源変動解明の研究を行っています。今回おしょうろ丸に「感謝の盾」が贈られた背景には,おしょろ丸が昭和30年代からこの海域でトロールによる漁業調査と海洋観測を行い,その資料を提供し続けていること,その資料が多くの研究論文として公表されていることにあります。そして,近年の地球の気候変化と生物資源の変動の観点からも,長年継続された調査が評価されてきました。これらの研究と資料を背景に,米側のプロジェクトメンバーは,昨年からおしょろ丸に乗船して本学部研究者とともに,ベーリング海南東部でスケトウダラの稚魚採集と海洋観測を行ってり,これらの研究協力を評価した結果として,今回のような栄誉に浴することとなりました。


おしょろ丸甲板上にて

 また,今回の栄誉は,平成 5 年 7 月 9 日にシアトルへの寄港の際,NOAAの本部でアラスカ海区の漁業許可,資源管理を担当するAFSC(Alaska Fisheris Science Center)アラスカ海区科学調査所長ウイリアム・アロン博士から,おしょろ丸船長に贈られた共同調査感謝状を踏まえています。それには,「アラスカ漁業科学センターは,調査船おしょろ丸4世のシアトル寄港にあたり,安間船長、乗組員研究者及び学生を歓迎するとともに,日本とアメリカ合衆国の間で行われた長年の共同調査に対して,親善の精神をもって安間元船長に感謝状を贈ります」と紀されています。これは,おしょろ丸が北太平洋,ベーリング海,アラスカ湾及び北極海において,長年のアメリカの大学や研究機関の研究者と行った日米共同調査に果たした役割が高く評価されたものであります。
 おしょろ丸及び北星丸は,特設専攻科の北洋及び南方航海実習にあたり,今日まで本学の研究者だけでなく,アラスカ大学,ワシントン大学,オレゴン大学及びハワイ大学の研究者を多数乗船させて北太平洋の水産海洋の調査研究を行ってきました。こうした関係から,水産学部では船が太平洋における懸橋となり,アラスカ大学・ワシントン大学と姉妹校提携を結ぶ契機ともなりました。両国の若い乗船研究者は,大学・政府機関に勤務した後も,研究者間及び練習船乗組員との交流が続けられています。また,1977年の米国による200海里設定の前後の航海では,水産庁の依頼もあって,NOAAの多くの若い研究者が乗船し,海鳥,海産哺乳動物及びイカ流し網の混獲生物などの調査を実施しました。これらの研究者も,おしょろ丸で同じ釜の飯を食べ苦楽をともにしており,現在では本学部の研究者とともに,両国の水産海洋の最前線で活躍する研究者に育っています。こうした長年の信頼の親善関係は,国際的プロジェクトや国際間の海洋と海洋生物に関する課題を討議する場において(例:PICES,北太平洋海洋科学委員会),共通の研究課題の抽出と共同研究の遂行の合意をスムーズにしてきています。
 おしょろ丸及び北星丸が貢献してきている国際学術交流の中で特筆すべきものは,実習航海中に得られた漁業調査,海洋調査の資料を「海洋調査漁業試験要報」として発行し公表してきていることであります。この要報は,本年で39号になるが,これらは,国際的にも両船の調査研究の重要性と信頼性を高め,200海里時代の荒波にも耐えて米国経済水域調査も保障され,大学間研究や国際共同研究をも円滑に推進しています。例えば,昭和30年代から開始された,両船によるサケマス資源調査は,北太平洋漁業調査委員会(INPFC)の認可する調査船として北太平洋の海洋構造とサケマスの資源動向,分布回遊等の解明に寄与してきました。さらに,北太平洋北部に定線を設け,海洋環境と海洋生物の生態に関する調査は既に18年になりますが,今では両船の士官,乗組研究者,乗組員,学生の手によって得られた資料が,地球環境のモニタリングとして重要な役割を担っていることが国際的にも理解されるようになってきています。海洋に関する国際会議の席でも,両船のモニタリング調査が貴重な資料であるとして,今後の継続を強く希望されています。
 今回,アメリカの水産海洋研究機関が,おしょろ丸船長を始めとする乗組員,乗船研究員,学生にこのような感謝状が贈られた意味は,歴代のおしょろ丸による歴史的な資料と業績が公表されていることに敬意を表し,長年の調査研究協力に感謝して,今後も,北太平洋の調査研究や研究者育成を共同で進めたいとの表明であると思われます。また一方で,このような特設専攻科の調査研究を含んだ航海漁業実習は,水産海洋を幅広い視野から知識を得て,経験することによって,調査研究技術を備えた国際化に対応できる高度な水産海洋技術者の育成にも役立っていることを示すものであります。

(水産学部)