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スラブ研究センターで夏期国際シンポジウムを開催
スラブ研究センター恒例の夏期国際シンポジウムが,7月21日から23日にかけて開催されました。国際シンポジウムは毎年,この時期に開催されていますが,今回はロシアの地域に焦点を当て,メインテーマをロシアの地域:経済成長と環境“Russian
Regions : Economic Growth and Environment”に設定し,ロシアの地域の経済成長と開発に伴う環境破壊の問題を取り上げました。
研究報告・討論は英語で行い,例外的にロシア語が使用されました。報告者の構成をみますと,国別では日本から7人,ロシアから8人,英国から2人,米国から4人の合計21人になっています。外国のみならず,国内からも多くの専門家が参加し,活発な議論が展開されました。参加者人数は合計142名に達しています。
今回のテーマは,従来のスラブ研究センターが主催するものとはかなり異なり,地域の経済発展と環境保全の二律背反の問題が取り上げられました。地域の問題は,ソ連邦解体後,伝統的な中央集権的管理機構が根本的に崩れ,中央と地方の関係が大きく変化したことを背景にしています。ロシアの市場経済化への途上で,地方の政治的,経済的,社会的重要性が高まっており,もはや中央(モスクワ)からだけではロシア連邦を研究することが不可能になっています。今回の国際シンポジウムでは,ロシア連邦を構成する89の連邦構成主体のうち,ケーススタディとして特定の地方が選択され,地域間資金循環,地域労働市場,地域のレベルから見たロシアの金融市場等の問題が取り上げられました。環境問題では北海道に身近かなサハリン州を対象に報告が行われ,肉薄した議論が展開されました。サハリン島北東部大陸棚ではこの7月から石油生産が開始されていますが,将来開発作業が順調に進めば,北東アジアの一大石油・天然ガス供給源として位置づけられることになります。開発による経済効果は大きいとみられており,とくに中東石油依存からの脱却,北東アジアの自給率向上,エネルギー安全保障の観点からその優位性が報告され,ロシア極北のバレンツ海での開発に関する情報も提供されました。
それと同時に,開発による環境汚染も心配されます。とくに,開発現場近くには北方先住民族が住んでおり,彼らの生活が脅かされています。この面での問題提起と提案がありました。また,オホーツク海そのものの汚染も心配され,アラスカの原油流出の教訓やこの海域のエコシステムの変化について報告されました。環境保全の対策は,旧ソ連においてはこれまでほとんどとられていないのが実情であり,サハリンのみならず中央アジアの河川汚染や核実験場の深刻な汚染状況が医学的立場から報告され,環境問題の調査の重要性が改めて認識されました。
今回の国際シンポジウムの特徴は,社会科学,人文科学および自然科学の見地からロシアの地域を討議することにありました。正直のところ,自然科学を専門にする人と社会科学を専門にする人とがお互いに議論することは,専門が異なりすぎて大変難しいことです。しかし,ロシアのように長い間国が閉ざされていたためにフィールド調査が遅れているような国では,ある地域に対して様々な角度から分析することは,将来の研究内容を深める上で大変貴重なことだと思います。
(スラブ研究センター)

活発な論議が交わされた討論風景

研究報告風景
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