+ 総長室炉辺談話
2003-2004
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 「遠友学舎」という名称は、1894年(明治27年)、札幌農学校卒業生であり、札幌農学校の教授となっていた新渡戸稲造夫妻が、貧しさから教育を受けられない若者たちのために、豊平橋付近(中央区南4東4、現在の中央勤労青少年ホームの位置)に開いた男女共学の夜学校「遠友夜学校」に由来します。「遠友」の言葉は、孔子の『論語』の中の「友あり遠方より来たる、また楽しからずや」から由来したものです。遠友夜学校は1894(明治27)年から、1944(昭和19)年まで50年間存続しました。このような歴史を踏まえて、2002年1月〜8月に「総長室炉辺談話」、2002年11月〜2003年7月に「遠友学舎談話会」を開催いたしました。今回は、引き続き「総長室炉辺談話2003-2004」を催すことといたしました。この催しは、平成13年9月北大創基125周年を記念して、多くの方々の醵金によって建った「遠友学舎」で、本学が普段研究していることを、市民や学生のみなさんに聞いていただくものです。

開催期間 平成15年9月〜平成16年5月
日  時 第1・第3木曜日
(1月、4月は第3木曜日のみ)
午後7時〜9時
会  場 北海道大学 遠友学舎
(札幌市北区北18条西7丁目)
開催日に直接会場にお越しください。
入場無料 登録・参加申込みは一切必要ありません。
駐車場はありませんので、車での来場はご遠慮願います
連 絡 先 学務部学生課
(電話011-706-7454)

日 程 講 師 話 題 概   要
2003年
9月4日
総長
中村 睦男
子どもの権利を考える 子どもの権利を考える場合に、保護と自律をどう調和させるかが大きな問題になります。子どもの学習権、自己決定権、表現の自由などの人権に関して、裁判で問題になった事例を紹介しながら検討します。
9月18日 副学長
佐伯 浩
(工学研究科)
石狩川の舟運構想 河川は古来より、輸送ルートとして利用され、現在でもヨーロッパ、北米では河川を利用した舟運が物流に対して大きな役割をになっています。ここでは、石狩川の舟運への利用とその可能性を考えてみます。
10月2日 総長補佐
下澤 楯夫
(電子科学研究所)
神経細胞と情報通信 自然が作り上げた情報機械つまり神経系を流れる情報の話です。情報とは何で、どうやって測るのかまた、情報を手に入れるにはエネルギーを支払わなければならないという「マクスウェルの魔物」の話など、情報と生命の起源の関係について話します。
10月16日 総長補佐
大野 重昭
(医学研究科)
失明予防:
シルクロード病とモンゴロイド病
五感のうち、視覚を介して得られる外界情報は80−90%といわれている。従って各種眼疾患の治療、失明予防は重要な課題である。今回はシルクロード病やモンゴロイド病を中心に、失明予防についてお話してみたい。
11月6日 総長補佐
小柴 正則
(工学研究科)
フォトニック結晶ファイバの摩訶不思議 ブロードバンド社会のネットワークインフラ整備が進む中、光ファイバの超高性能化が要求されています。こうした要求に応えるべく最近新たに登場したフォトニック結晶ファイバを取りあげ、その不思議な力を探ります。
11月20日 総長補佐
佐々木 隆生
(経済学研究科)
グローバル化は何をもたらすか? グローバリゼーションは、光の側面と陰の側面をあわせもちます。その両面を見る中で、国民国家(ネイション・ステイト)によって社会問題を解決してきた近代のシステム、さらにそうしたシステムの上に作られている国際社会が直面している課題を考えます。
12月4日 副学長
長田 義仁
(理学研究科)
ソフトナノバイオマシーン
―人工筋肉を目指して―
これまで人類は様々の機械を造ってきたが、どれも金属など硬い材料でできている。生き物のように柔らかでしなやかな運動をするマシンは出来ないものだろうか。ゲルというソフト&ウエット材料を使って生き物のように運動するマシンがようやく出来てきた。
12月18日 総長補佐
鈴木 隆一
(先端科学技術
共同研究センター)
北の大地
1年の記
北大の先端研に赴任してから約1年。民間企業から国立大学へ、東京から北海道へ。地域連携・産学官連携の推進、法人化への移行の流れ。様々な変化の中で見出した自分なりの新しい発見を述べて見たい。
2004年
1月15日
総長補佐
津田 芳郎
(文学研究科)
自由な中国人と不自由な中国
―歴史研究と留学研究から―
中国には都合約2年間住んだ。住んでみて分かることがある。敬服、感嘆、驚き、怒り、苦笑、微笑等々思いは様々である。そうした日常の細々とした経験を本業の中国史研究の側から考え直すと、結局は演題のようになるかと思われる。
2月5日 副学長
井上 芳郎
(医学研究科)
脳の話 ヒトの体は受精卵がもつ遺伝子のプログラムに従って形成された臓器からなる。その中で脳はヒト個人の個性、さらにはヒト集団の個性を決定する極めて巧妙な臓器である。
2月19日 総長補佐
荒井 克俊
(水産科学研究科)
お父さんのいない魚 自然界には、父親のいない魚がある。これらの魚は母親のコピーであり、すべて雌である。このような魚たちの生殖のメカニズムを探るとともに、この様な魚をヒントとした養殖バイオテクノロジーを紹介する。
3月4日 総長補佐
常本 照樹
(法学研究科)
もう一つのハワイ
―先住民と法―
ホノルル空港で買う免税品代金の2割は先住民のもの、というのはご存じですか。日本人に最も良く知られている外国の「主人公」でありながら、最も知られていない人々の歴史と法を探ります。
3月18日 総長補佐
中山 恒義
(工学研究科)
ナノ世界の魔法使い ナノ(1nm)とは、10億分の1メートルを表す長さの単位。この極微の世界では、我々が日常経験している現象とは全く違った魔法のようなことが起こっている。この魔法の種明かしをする。
4月15日 総長補佐
松田 彰
(薬学研究科)
創薬 薬をコンビニエンスストアで売り出そうと言うことが報道されている。しかし、薬は両刃の剣と呼ばれるように「毒」としての側面も持つ。このような薬がどのような過程を経て創られるのか、どのような薬がよい薬なのか、について簡単に話をして、薬がコンビニエンスストアで売られても大丈夫かどうかを考えたい。
5月6日 総長補佐
平井 卓郎
(農学研究科)
日曜大工の構造力学 私達は知らず識らず、構造力学の原理と関わって暮らしている。本講では、簡単な日曜大工を例に取り、最前線の研究課題にも触れながら、知っておくと便利な構造力学の基礎原理を解説する。
5月20日 総長補佐
常田 益代
(留学生センター)
ハギア・ソフィア:
建築とモザイク
かつてのビザンチン帝国の古都コンスタンチノープル(現イスタンブール)に今日も威容を示すハギア・ソフィア大聖堂。その建築とモザイク装飾を通して、帝国の悠久の歴史と文化とドラマを追う。


+ 北海道大学の教養教育システムが
「平成十五年度 特色ある大学教育支援プログラム」に
採択される
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 個性輝く大学づくり、国際競争力の強化、教養教育の充実など、大学教育の改善に資する種々の取り組みのうち、特色ある優れたものを選定し、その事例を広く社会に情報提供することで、今後の高等教育の改善、活性化を図ることを目的として、平成15年度から設けられたものです。

 全国の大学・短期大学から総数664件の申請があり、書類審査、ヒアリングを経て全国で80件、道内からは本学を含め4大学のプログラムが採択されました。

 本学の取組に対する審査員の評価をみても、フロンティア精神、国際性の涵養、全人教育及び実学の重視の教育理念に基づき、有能な人材育成のための教養教育を組織的に取り組んでおり、教務委員会を柱とする新しい北大方式が機能していることに対し、高い評価がなされております。
今回採択されたプログラムの概要を次に紹介します。

 取組名称は、
 「進化するコアカリキュラム」─北海道大学の教養教育とそのシステム─

 本学では、平成7年度の「学部一貫教育」の導入以降も、札幌農学校以来の伝統である全人教育=教養教育を重視し、総長の主導による全学的な検討を経て、平成13年度にリベラルアーツを中心とする必須の教養科目=コアカリキュラムによる教育を開始しました。

 本学のコアカリキュラムの特色は、大きく次の三点にまとめられます。
 一、シンプルな構造と高い普遍性を備えた科目群からなり立っていること。
 二、多彩な新機軸の科目が次々と開発されていること。
 三、教員研修(FD)、教授法開発、教育評価の仕組みが整備されていること。 

 また、組織の面では、高等教育機能開発総合センター全学教育部を中心とした「責任部局」と「全学協力」による教育実施体制と、研究部の科目開発・教員研修(FD)・教育評価の活動が連携して、一つのシステムとして有効に機能していることに大きな特色があります。

 コアカリキュラム=純粋な教養教育の整備の先には、基礎教育・専門教育の再編成、「総合的な学士課程」の構築が展望されております。

 なお、教養教育システムの具体的な内容については、ホームページに掲載することで準備をしております。

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総長室炉辺談話
2003-2004
北海道大学の教養教育システムが「平成十五年度 特色ある大学教育支援プログラム」に採択される


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