平成9年度点検・評価の概要 
 
 
  
 
   北海道大学では、平成9年度の点検・評価の結果を取りまとめ、年次報告書『平成9年度北海道大学年
 
次報告書〜来るべき新世紀に向けて〜』及び同別冊『研究活動一覧』として刊行、公表した。
 
 
 
1 年次報告書の項目等
 
 (1)  平成9年度北海道大学年次報告書〜来るべき新世紀に向けて〜
 
        T  学業成績評価について
 
           第1章  学業成績をめぐる背景
 
           第2章  アンケ−ト調査の目的、分析方法及び実施概要
 
           第3章  アンケ−ト調査の結果の分析と考察
 
           第4章   解決すべき課題
 
           第5章  課題解決のための方策
 
        U部 本学の共同研究の現状と課題について
 
           第1章  本学の共同研究の現状と分析
 
           第2章  他大学・他機関の現状と比較
 
           第3章  共同研究の芽・効果
 
           第4章  共同研究の今後の課題
 
           第5章  共同研究支援体制充実の方策
 
        V  本学における学術研究の潮流(薬学分野)
 
        W  第三者評価(外部評価)の実施状況
 
                平成9年度の第三者評価(外部評価)の実施状況
 
 
 (2) 研究活動一覧
 
                1996年1月〜12月までの本学教官等の研究業績等を収録
 
 
 
  年次報告書の概要等
 
 (1) 学業成績評価について     
 
   1) 北海道大学では、平成5年度に「学生による教育指導の評価」を試行し、平成6年度には講師以上の全教
 
     員及び全学生を対象に本実施した。 
 
      また、本学の高等教育機能開発総合センタ−では、平成7年度に全学教育を中心にレビュ−という形で、
 
     授業や教育環境について学生、教員、学部からの点検・評価を行った。 
 
     その結果、これらの中で「学業成績評価の適正さ」が、問題の一つとして指摘されていた。 
 
      2)  学業成績評価には、一般的に次のような問題点が絡んでいるといわれる。 
 
    @ 成績評価の原則を十分に理解していない教員も少なくない。 
 
    A 学生は評価の原則を理解していない。 
 
    B 評価の基本となる教育目標を設定していない授業がある。 
 
    C 評価は単に暗記中心となっているものが多い。 
 
    D 科目終了時の評価が過度に重視され、学生の学習や教員の授業法の改善を目的として、科目進行中に
 
     実施する中間評価が不十分である。 
 
    E 教員も学生も、多様な試験方法とその利点・欠点を十分理解していない。 
 
    F 評価の結果が必ずしも正しく授業の改善に反映されていない。 
 
 
     これらの問題は、どこまで北海道大学にあてはまるのか。北海道大学の学業成績評価の現状はどうなって
 
   いるのかを知るために、学業成績評価の実態を調査するとともに、学生、教員の双方にアンケ−ト調査を行っ
 
   た。 
 
     学業成績評価の主な実態調査結果(成績評価のバラツキ) 
 
      ア 不合格率 
 
        物理学T                   担当者25名  0%〜45% 
 
        化学T                      担当者20名  0%〜28% 
 
        生物学T                   担当者12名  0%〜10% 
 
        英語T(外国人教師) 担当者19名  0%〜 3% 
 
        英語U                      担当者68名  0%〜16% 
 
        英語V                      担当者31名  0%〜22% 
 
 
      イ 優の取得率 
 
        物理学T                   担当者25名  3%〜63% 
 
        化学T                      担当者20名  6%〜87% 
 
        生物学T                   担当者12名 26%〜82% 
 
        英語T(外国人教師) 担当者19名 13%〜92% 
 
        英語U                      担当者68名  6%〜61% 
 
        英語V                      担当者31名  9%〜53% 
 
 
      3) アンケ−ト調査は、講師以上の1,342名の教員に配付し、978名から回答が得られ、回収率は72.9%
 
     であった。 
 
            
     また、2年次および3・5年次の5,226名の学生に配付し、2,770名から回答が得られ、回収率は53.0
 
    %であった。 
 
 
     主なアンケ−ト結果 
 
     (学生:設問13) 
 
      :   今まで履修した科目の成績評価から考えて、本学の成績評価には問題があると思いますか。 
 
        学生     18%      あるとは思わない。全くそう思わない。 
 
             62%      どちらともいえない。 
 
             20%      問題があると思う。強くそう思う。 
 
 
     (教員:設問12) 
 
      : シラバスに学習到達目標を明確に示していますか。 
 
        教員     42%      強くそう思う。そう思う。 
 
 
     (学生:設問5) 
 
      : あなたが今までに履修した多くの科目では、シラバスに学習到達目標が明確に示されていましたか。 
 
        学生     15%    強くそう思う。そう思う。 
 
             53%    そうは思わない。全くそうは思わない。 
 
     (教員:設問20) 
 
      : あなたの作成したシラバスは、学生の勉学に役立つと思いますか。 
 
        教員     50%      強くそう思う。そう思う。 
 
             39%      どちらともいえない。 
 
     (学生:設問11) 
 
      : シラバスをあなたの勉学に活用していますか。 
 
        学生     17%      有用 
 
     (教員:設問25) 
 
      : 同一科目を複数教員が担当している場合、教員による成績評価のバラツキは仕方ないと思いますか。 
 
        教員     54%      やむを得ない。 
 
             25%      あってはならない。 
 
 
     (学生:設問17) 
 
      : 同一科目を複数教員が担当している場合、教員による成績評価のバラツキは仕方ないと思いますか。 
 
        学生     48%      やむを得ない。 
 
             34%      容認できない。 
 
 
   4) 学生の学業成績評価は、教員の学習目標の設定と表裏の関係をなしているが、今回の調査結果から、北
 
     海道大学では、この関係が十分確立されているとは未だいえないことが判明した。 
 
 
   5) 今回の調査でも、学生の学業成績評価において、適正な評価にかなりの問題があることが明らかとなった。 
 
      この問題は、学業成績に限らず、大学における教育とは何かの本質に関わっている。この問題の解決には、
 
     まず、「教員の意識改革」が最も重要である。 
 
      学業成績評価を真に適正なものとする方策として、次のような、早急になされるべき実現可能な「短期的方
 
     策」と、今後ある程度時間をかけてなされる「長期的方策」を提案した。 
 
 
       「短期的方策」 
 
       @ ファカルティ・ディベロップメントの推進 
 
       A シラバスの在り方の検討と合意形成 
 
       B 成績評価基準の明確化・公開の措置 
 
       C 学業成績評価の意味についての学生への周知徹底 
 
       D カンニングの防止措置 
 
 
     「長期的方策」 
 
       @ 教育業績評価のマニュアル確定と実施 
 
       A 教育支援体制の強化・確立 
 
       B パス−ノンパス制の検討 
 
 
 
  (2) 本学の共同研究の現状と課題について 
 
   1) 大学の役割は、学術の創生、その伝承と社会への還元にある。従って、大学が本来の機能を果たすために
 
     は、まず優れた研究を行わなければならない。 
 
      研究は様々な動機と目的から開始され、その実施形態も多様である。個人が独自の研究を推進して、特色
 
     ある成果を世に送る一方、大学においてなされる共同研究では、個人の研究者では対応できない広範な知
 
     識が必要とされる問題の解決が可能となり、個人研究では求められない成果を挙げ得る他、研究の継承と
 
     一層の発展のための若手研究者の育成が期待できる。 
 
      多くの利点を持つ共同研究に若い研究者が参加することによって、本学の今後の研究展開に大きな期待
 
     がかけられるなど、共同研究にかけられる期待は大きい。       
 
      そこで、本年度の点検評価課題の一つとして、共同研究の推進を取り上げ、      
 
      @ 産学共同研究も含めた学内外共同研究体制の現状把握 
 
      A 共同研究支援の在り方 
 
      B 学内の共同研究体制の育成方策 
 
      C 若手研究者に係る共同研究の育成方策 
 
     に関わる点検評価と共同研究の一層の進展のための提言を行うことを視点において、本学教員等の共同研
 
     究の実状をアンケ−トにより調査した。 
 
 
   2) アンケ−ト調査は、助手以上の全教員・教務職員を対象として、2,085名に配付し、1,489名から回答が
 
     得られ、回収率は71.4%であった。 
 
 
   3) アンケ−ト調査の結果、共同研究の今後の課題として、 
 
      「支援体制」 
 
      「大学における知的所有権の在り方」 
 
     が指摘されるとともに、 
 
 
      「若手重点」 
 
      「成長株の研究重視」 
 
      「地域の振興に貢献する人材の養成」 
 
     などの「大学全体の意識改革」の必要性も指摘された。 
 
 
   4) 共同研究の一層の推進上、解決すべき課題は少なくないが、共同研究支援体制充実の方策として 
 
     「学内の共同研究体制の育成方策」 
 
           「若手研究者にかかる共同研究の育成方策」 
 
     を提案するとともに、本学の共同研究の推進のための方策として 
 
     「産学官融合センタ−(仮称)の設置」 
 
     「その他の産学官連携による共同研究の試み」 
 
     を紹介した。 
 
 
 
  (3) 第三者評価(外部評価)の実施状況 
 
     第三者評価(外部評価)の積極的推進と今後の実施予定部局の参考とするため、平成9年度の本学の各部局
 
    における第三者評価(外部評価)の実施状況の概要について、取りまとめた。 
 
 
 
   なお、年次報告書等は、各国立大学、道内の各市教育委員会、都道府県及び政令指定都市の教育委員会、国
 
  立国会図書館及び道内の主な図書館等に配付しているが、その他教育研究機関、一般市民等から配付の希望が
 
  ある場合には、残部数の範囲内で提供します。 
 
 
        照会先 〒 060−0808 札幌市北区北8条西5丁目   
 
         北海道大学総務部企画室 
 
                    TEL  011−706−3600 専門職員(点検・評価担当) 
 
 
 
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