プロフェッサー・ビジット2009 テーマと講師のプロフィール
保全生態学・野生生物管理学
池田 透
(いけだ とおる)
外来生物と生物多様性保全
外来生物は、生物多様性を脅かす大きな要因として世界的に対策が急務となっています。問題解決のためには、対象生物の管理手法を科学的に考えるだけではなく、人間社会の在り方を考え直すことも必要です。この問題の解決方法をいっしょに考えてみましょう。
プロフィール
文学研究科教授。専門は保全生態学、野生生物保護管理学。外来生物の生態・行動と人間社会の対応等を研究。北海道大学大学院文学研究科助手、同大学院助教授を経て、2007年から現職。(出身:北海道、北海道札幌南高校)
環境経済学
吉田 文和
(よしだ ふみかず)
ごみと循環型社会
ペットボトルや家電製品がリサイクルされアジア各国に輸出されています。日本は世界に先がけ循環型社会という制度を作っているが、本当に環境に優しい結果を生んでいるのか。この問題を世界の視点から考えてみます。
プロフィール
公共政策学連携研究部教授。専門は環境経済学、産業技術論。東京都立大学経済学部卒業、京都大学大学院経済学研究科博士課程修了後、1992年から現職。中央環境審議会専門委員、環境経済・政策学会常務理事も務める。(出身:兵庫県、東京教育大学附属駒場高校)
国際法・国際環境法
児矢野マリ
(こやの まり)
捕鯨問題と国際法
捕鯨をめぐり、日本は欧米諸国や環境保護団体から批判されています。この問題を、国際法の観点から考えてみましょう。鯨の保護か、海洋生物資源の持続可能な利用か−多元的な国際社会での「環境保護」を巡る複雑な現実が見えてきます。
プロフィール
法学研究科教授。専門は国際法、国際環境法。国際環境法制度の執行過程等を研究。英国ケンブリッジ大学大学院修士課程修了。東京大学法学部助手、(文部省)学位授与機構助教授、静岡県立大学国際関係学部助教授などを経て、2008年から現職。(出身:愛知県、愛知県立岡崎高校)
分子生物学
有賀早苗
(ありが さなえ)
癌やストレスに負けないしくみ
私たちを取り囲む環境の中の紫外線、放射線、発癌物質、環境ホルモン、そして生きるのに必須な酸素さえも、生物にとってはストレス。環境ストレスは癌や様々な病気を引き起こす原因になりますが、細胞は「負けないしくみ」で応答・抵抗しています。そのしくみを分子レベルで考えてみましょう。
プロフィール
農学研究院教授 専門は分子生物学、細胞生物学。真核高等生物細胞の増殖・分化・癌化の分子機構、DNA複製・転写の協調的制御機構などを研究。上智大学理工学部化学科卒業、同大学院博士前期課程修了。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了後、 スイス・チューリッヒ大学分子生物学研究所研究員、北海道大学薬学部助手などを経て、2003年より現職。(出身:東京都、雙葉高校)
地球惑星大気科学
渡部 重十
(わたなべ しげと)
オーロラからのメッセージ
地球のオーロラは大気中の酸素や窒素が出す固有の色をしています。木星などにもオーロラが存在しますが、その光の色は地球と異なります。オーロラを観測することにより、その星の大気と環境を知ることができます。
プロフィール
理学研究院教授。専門は地球惑星大気プラズマ科学。東北大学大学院理学研究科地球物理学専攻博士課程修了後、カナダ国立科学院ヘルツベルグ宇宙物理学研究所研究員、東北大学大学院理学研究科地球物理学専攻助教授などを経て、1998年から現職。(出身:北海道、北海道帯広三条高校)
水環境工学
岡部 聡
(おかべ さとし)
美しいかけがえのない水環境をいつまでも
限りある水資源を浄化し、有効に循環再利用することは、我々の環境・健康を守る上でも、重要なテーマです。本講義では、環境汚染物質の分解・除去を行う最新のバイオテクノロジー、廃水からクリーンな電気エネルギーを回収する研究などを紹介していきます。
プロフィール
工学研究科教授。専門は水環境工学、環境微生物工学。宮崎大学大学院工学研究科修士課程、モンタナ州立大学大学院工学研究科博士課程修了後、宮崎大学工学部、北海道大学工学部助手、同大学准教授を経て2008年から現職。(出身:高知県、高知県立高知工業高校)
家畜生産学
近藤 誠司
(こんどう せいじ)
地球環境と草食家畜生産システム
地球環境と調和した持続的な農業生産システムが求められています。農業のなかで、私どもが直接食べることができる穀類を使わず、草で飼育できる家畜の意義が重要になってきました。環境調和型の草食家畜の生産システムについて、その消化機構や草を食べる行動をもとにお話しします。
プロフィール
農学研究院教授。専門は畜牧体系学、家畜管理学、家畜行動学。北海道大学大学院農学研究科修士課程修了。酪農学園大学助手、北海道大学農学部附属農場助手、同附属牧場助教授、同農学部畜産科学科助教授などを経て、2002年より現職。1986年から1年間、カナダ・オンタリオ州・ゲルフ大学特別研究員。(出身:京都府、愛知県立旭が丘高校)
ウイルス学
喜田 宏
(きだ ひろし)
インフルエンザウイルスの生態
鳥インフルエンザが世界各地で発生し、最近ではメキシコ他で豚インフルエンザウイルスが人に感染し、社会を脅かしています。インフルエンザを含む人獣共通感染症を予防・制圧するための「先回り克服戦略」を説明し、理解を深めてもらいます。
プロフィール
獣医学研究科教授。専門はウイルス学、微生物生態学、感染病理学、ワクチン学。北海道大学獣医学部卒業、同大学院獣医学研究科修士課程修了後、武田薬品工業株式会社技術研究職、北海道大学助教授などを経て、1994年から現職。(出身:北海道、北海道札幌南高校)
資源生物学
綿貫 豊
(わたぬき ゆたか)
海鳥の目から海洋環境を見る
地球表面積の3分の2を占める海洋は、気候変化や人間活動の影響を強く受け、また重要な食料を供給してくれます。海鳥は海洋を広く飛び回り、またクジラやアザラシ以上に深く潜って、プランクトンから大形のイカまで多種多様な海洋生物を食べます。地球環境変化が海洋生態系の重要な高次捕食者である海鳥にどのような影響を与えるのかを紹介することで、海洋をよりよく理解していただくのが目的です。
プロフィール
水産科学研究院准教授。北海道大学農学研究科博士課程修了。国立極地研究所に助手として勤務したのち、北海道大学農学部助教授を経て現職。主に北海道の海鳥繁殖地における継続研究の他、日本やオーストラリアの南極観測隊に参加してのアデリーペンギンの研究、ベーリング海や北海の孤島での研究を行ってきた。映画が趣味だが最近みていない。(出身:長野県、長野県長野高校)
植物群集生態学・環境保全学
露崎 史朗
(つゆざき しろう)
撹乱と空き地と生態遷移
植物は火山噴火や火災などの撹乱により消滅しても、作られた空き地を埋めるように回復します。しかし、その道筋は、教科書にあるものとは微妙に違っています。このことを糸口に、生態系の様々な役割を考えてみよう。
プロフィール
地球環境科学院准教授。専門は植物群集生態学・環境保全学。火山、湿原、タイガなどにおいて噴火・採掘・火災などの撹乱を受けた生態系の回復過程を主に研究。北海道大学理学部卒業、同大学院植物学専攻博士課程修了。1996年から現職。(出身:茨城県、茨城県立日立第一高校)
環境分子微生物学
森川 正章
(もりかわ まさあき)
地球生物圏を35億年ささえる微生物と生命進化
地球上に最初の生命が生まれたのはおよそ35億年前の極限環境下と推定されています。以来、地球環境は比較的穏やかに保たれていますがその陰には過酷な環境に生きる微生物たちのすばらしいはたらきがあります。本講義では、ミクロ生命と地球環境の関わりについて紹介します。
プロフィール
地球環境科学研究院教授。専門は環境分子微生物学で、研究室の合言葉は「微生物ってほんますごいなあ」。日清製油株式会社勤務、大阪大学大学院工学研究科助手、同助教授などを経て、2004年から現職。好きな言葉は「幸運は準備された心に訪れる」〔ルイ=パスツール:フランス人微生物学者〕(出身:大阪府、大阪府立生野高校)
雪氷物性・惑星科学
香内 晃
(こううち あきら)
宇宙の氷は地球の源
我々にとって大切な水の起源は宇宙の氷と言われ、同時にそれは生命や惑星の起源でもあります。宇宙には、どんなところにどのような氷があり、惑星や彗星などの形成とどのようなかかわりをもっていたのだろう?本講義では、暗黒星雲にあった氷微粒子が集まって太陽系の惑星がつくられていった物語をひもときます。
プロフィール
低温科学研究所長。 専門は惑星科学、雪氷学。暗黒星雲での分子進化、宇宙空間での氷や有機物等の形成、星間塵の惑星系形成(彗星、小惑星)への影響等を研究。東北大学大学院理学研究科地学専攻修士課程修了。北海道大学低温科学研究所助手、ライデン大学ホイヘンス研究所客員研究員、北海道大学低温科学研究所教授などを経て、2007年から現職。 (出身:福島県、福島県立福島高校)
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