初参加!進化学会と、それに関する4つの備忘録
文責:山崎
※今回は、写真を撮る精神的余裕が全く存在しませんでしたので、申し訳ありませんが写真なしでお送りします。
8月某日のこと。
私は学会に着ていく服のことで悩んでいた。
ちょっとフォーマルな私服だとスーツ持っていかなくていいから楽だけど、でもみんなスーツの中で私服って目立つよな…。周りの先輩で進化学会に参加した方は…臼尻OGの木村さんくらいだろうか。まさか、お忙しい木村大先輩にメールで何着て行かれました?なんてどうでもいいこと聞けるはずがない。
形から入るタイプなんてみっともないと思われた方。ちょっと聞いてほしい。
自分でもみっともないと分かってる。
だが、今回の参加メンバーに、北大をはじめ知り合いが全くいない初参戦の進化学会で、「あの人何考えてるの?」という冷たい視線を向けられるとか、変な意味で目立ちたくない、という幼稚だけれど必死な考え、分かってもらえるだろうか。
さらに、今回は無謀にも口頭発表だ。スライドも服装もきっちり決めていかねば!と、結局スーツで参加することにした私。
戦場は東京だ。臼尻ゼミで発表練習もやった。不安で不安で仕方ないけど、大丈夫だ、と自分に言い聞かせ、戦地に赴く。
会場に入ると…。
あれ?
アロハシャツの人…ポロシャツの人…きのこのかわいいイラスト入りのTシャツ(ちょっと欲しい)を着てる人…。
ああ、さっそく失敗した…。こんなことなら○尻Tシャツ着ていけばよかったよ。
(今後の自分への)アドバイスその1:服は私服でよし。
出だしから躓いた。けど、問題は服装なんかじゃないんだ。研究発表が重要なんだよ。そうだ。
発表の前に恐怖の懇親会だ。
今回の懇親会に参加しなければならないなんて、と思うと、胃がきりきり痛んで仕方ない。
というのも、本当にたった一人で参加するからだ。
「懇親会?いや、僕は参加しませんよ」
そう言った先生のやけに丁寧な言葉がぐさりと心に突き刺さる。
何も考えず、懇親会に参加すると連絡し、お金まで振り込んでしまってはもうどうしようもない。こうなったら潔く参加するのみだ。
スカイツリーの水族館に行ってくるとの伝言を残して帰途についた先生を見送り…いざ懇親会!
最初のうちは、今回の研究の解析で大変お世話になった東大の井上先生をはじめとする西田研究室の方々と一緒にお話しさせていただいた。けれど、ずっとお世話になるわけにもいかない。もっと話したいことが山積みだけど、他の所へ話に行かなければ!
思い切って話しかけたのは、テナガザルの分子系統関係をやっていた研究者。想像していたよりもずっと気さくに答えてもらえてよかった。その後は霊長類の研究者たちから様々な話を聞かせてもらえた。コスタリカでの調査の話、京大の霊長類研究所での苦労(?)話…。
私の潜水調査は意外にも受けが良かった。
「海に潜るなんて、怖いでしょ!」
…いやいや、何が出てくるかわからないジャングルで調査するのも十分怖いと思いますが。
そして、お話ししていたドクターの方が最優秀ポスター賞を受賞されていた。なぜ私は口頭発表を…。
アドバイスその2:ポスター賞の存在を忘れるな!(木村さんの進化学会ポスターに最優秀賞って貼ってあったでしょ!)
そして明日、3日目の朝3人目が私の番だ。Myパソコンのパワポは2003で発表者ツールがないから台本は紙じゃない限り見ることは出来ない。絶対見ずに行くぞ!と意気込み、北海道にいるうちに叩き込んでおいた台本を東京に来てから何度も読み直した。
が、前日、先生とお昼ご飯を食べている時に、鶴の一声?で先生のパソコンを貸していただけることに。
とうとう順番が回ってきた。パソコンをつないでもらい、スライドショーを始める。
…!?なにも押してないのに、発表者ツール?
まあいいや。続けよう。
発表のしゃべり、スライド1枚目は何とか乗り越えた。けれど、情けないことに、目の前の誘惑に乗ってしまった…。
そこから後は思い出したくない。ああ〜もう、何やってんだ。
甘えた精神をこれから鍛えなおさねば。
発表が終わって席に着いてから、すぐさま先生にダメだった点についての的確すぎる指摘を受ける。本当にありがたいことだけれど……やっぱり落ち込む。
今年できなくても、来年以降ちゃんとできればいいんだよ、とポジティブに考えて、また数年後挑むことにしよう。
余談だが、私の20年と数年の人生史上稀に見るほど頭をフル回転させたため、学会開催期間中、毎日家に帰ると疲れ果ててすぐに寝てしまった。
夜遅くに帰ってくる父には、「寝てるとこしか見てない」と言われたが、知ったこっちゃない。これは頑張った証拠だ。…と思いたい。
そして、 緊張している人には、よく、
「周りはみんなかぼちゃと思えばいいんだよ」
と声をかけるだろうが、緊張どうのこうののレベルを通り越して無心になった私にはもはや目の前の聴衆は見えていなかった。後ろの立ち見をしている人がぼんやり見えるのみで、ある意味よかったのかもしれない。
でもいつかは聴衆の顔色を見ながら、面白い発表ができるようになりたいなあ。
アドバイスその3:パソコンは自分のものを使うのがベスト。人のものを使う時は、動作確認忘れずに!(当たり前)
その4:発表するときは、アナウンサーのように大きな声を出す!(これも当たり前か)
ちなみに、今回の発表題目は、
「気候変動と分岐年代より推定するツマグロカジカ属の適応放散過程」
でした。
そして、進化学会に参加した感想は、学生の口頭発表が少ないということだった。私が聞いた中でも修士の学生はたったの4人(博士はもうちょっといた)。さらに、学生の発表後にほぼ全員、
「さっきの質問は、〜〜を聞いているのだから、〜〜について答えるのが適切だね」
というアドバイスがもれなくついてくるのでした。
う〜ん、まだまだだな。このままじゃ、来年の国際会議、失敗するに決まってる!普段のゼミから瞬時に質問の意図をつかむ練習をしなければ。
以上、情けない内容を大幅カットでお送りした、2012年の進化学会参加の報告でした。2〜3年後の次回、リベンジだ!