チョウザメのお話

文責:鈴木

このホームページで、1年に何度か行われる変わった魚紹介ですが、今回は話題にもなったチョウザメについてです。

なにやら、全国各地で水揚げが確認され、数十個体(たしか30匹ほど)が捕れているとのこと。

南茅部では、何年かに1、2匹は捕れてはいるのですが、その程度です。

2年ほど前に、大船で体長2メートルほどのミカドチョウザメが上がったと風のうわさで聞いたので、

チョウザメの水揚げはそれが最後だったのではないでしょうか?

ただ、今年度に入ってすでに3匹実験所に届いています。

種類は、すべてダウリアチョウザメで120センチ、150センチ、170センチの個体です。

   

どれも多少の傷はあるものの命に別状はなく、生きていました。

ただ、臼尻にはチョウザメが悠々と泳げるような水槽はないので若干窮屈そうでしたが・・・

このチョウザメたちが今どこにいるかといいますと、七飯淡水実験所で飼育されているようです。

後にも出てきますが、運搬の際に少々手こずりまして、大丈夫か心配だったのですが元気にしているようで何よりです。

ではでは、その運搬作業についてご紹介します。

あのデカいチョウザメ(170センチの奴)を運ぶ車の日程調整で、6月18日に旅立つことになりました。

当初は一匹のはずでしたが、この大量水揚げの時期です。

16日だかに、いつの間にか一匹増えているではありませんか(120センチ)!!

後から聞いてみると、運送手段がない旨を伝えたところ漁師さんが持ってきてくれたらしいです。

そして、18日。

チョウザメ運搬係(?)の通称パイさん指揮のもと、積み込み作業が始まりました。

まず、ビニールシートでくるみまして・・・

外に出します。

そして、4人力を合わせて、タンクの中へにゅるんと入れます。

小さい方は、特に問題なく終わったのですが、問題は大きい方。

まず、重い・・・

そして滑る・・・(意外と粘液すごいんですね)

何より、タンクの入り口ぎりぎりのサイズなので、うまくやらないと入らない。

だがしかし、こっちは男4人で持ち上げるわけですから、タンクの入り口まではいきました。

しかしそこで・・・ビタンビタン!!

全身をくねらせ、持っていた男連中に猛攻撃を仕掛けてからの・・・

きれいに挟まりました。

ここからが大変で、きれいにすっぽり挟まっちゃったので、抜けないのなんのです。

とりあえず乾燥しないようにタオルをかけ、あれやこれや引っ張ってみるもののちょうど人の力が入りずらい角度なせいでまったく持ち上がらないのです。

結局、タンクの水を抜いてすべてを車から降ろした状態で入れたわけですが、15分は空気中に放置されたわけです。

そんなわけで、生存が心配だったのですが、大丈夫だったようで安心しました。

思いのほか一大事になったチョウザメ運搬作業も無事終わり、お礼としてコーラもいただきました。

普段目にすることも調べることも少ない魚なので、いろいろと知ることができ、よい体験だったと思います。


この記事を書くにあたり、チョウザメについて少し知っておこうと管理人の大友と調べた内容を。

まず、ひとくくりにチョウザメといっても、2亜科4属に分かれ、種類もそれなりにあります。

日本で見られるものはダウリアチョウザメがほとんどですが、チョウザメやミカドチョウザメなんかも記録があります。

ロシアから南下してきたものが混獲されているようですが、かつては石狩川にも上っていたようです。

チョウザメは硬骨魚綱に入りますが、軟骨区というところに属しています。

これは、脊椎骨の半分が軟骨質だからだそうで、運搬の際もしきりに背骨を折らないようにと注意されていました。

次に、チョウザメといえばキャビアですが、ダウリアチョウザメでキャビアがとれるサイズは200キロ以上だそうです。

今回の170センチので60キロかそこらなので、もしメスだった場合、成熟は何年先の話なのやら・・・

とまぁ、そんな長い間は待てないので、今のキャビアはベステルという雑種のものを使っているそうです。

ベステルはオオチョウザメとコチョウザメのF1で、コチョウザメの成熟の速さとオオチョウザメの体サイズを足して2で割ったような系統のようです。

親の種類等を変えることで稔性の有無を変えれたり、染色体が300本近くあるので、2倍体なのか4倍体なのかかつてはわからなかったりと、

雑種好きにはロマンあふれる生き物です。


また、最近ではキャビアだでなく、身の方も食べられており、海外では飛行機の機内食にも使われていると聞きます。

淡白な白身で癖がないといわれており、食べた人がいないか探したところ、やっぱりというべきか、宗原先生が食べてました。

しかし、『燻製だったからよくわからないなぁ・・・』とのこと。

特別うまいものではないのかなという印象でしたがどうなんでしょう?

サケビクニンをも食べてしまう我々としては非常に気になるところではあります。

チョウザメの紹介は以上です。

調べた内容的にはもう少しあるのですが、雑種が絡んできている時点で、複雑怪奇な内容になってしまうので・・・

チョウザメはやはり古代魚!調べれば調べるほどロマンがありますねぇ。


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