アイヌネギ祭り 〜この美味さは罪〜

文責:田中

 みなさんはアイヌネギという山菜をご存知でしょうか。もしかしたらギョウジャニンニクと言った方が馴染みあるかもしれませんね。主に湿地帯に生育するユリ科の多年草で、名前の通りニンニクのようなネギ(ニラ?)のような独特の強い臭いを持つ植物です。”強い臭い”と書くとちょっと抵抗感があるように思われるかもしれませんが、むしろこの臭いを嗅いだだけでご飯がおかわりしたくなるほど美味しい山菜の一つです。一度食べるとその味と刺激の虜となり、どんどん箸が進むというある意味中毒性のある食べ物で、今この文章を書いているだけで食べたくなりました(笑)。まぁ、そこまで好きなのには私の好みと食欲が影響しているのかもしれませんが、北海道ではアイヌネギを求めて山菜取りに出かける人が数多くいることは本当の話です。

 北海道(南部?)では4月が採集シーズンのようで、毎年この時期になると、実験所近くの峠が山菜採りの車でいっぱいになります。当実験所の学生も、アイヌネギハンター部隊を結成して毎年採集に出かけます。
『そんな恒例行事なのにまだ記事にしてないや』と思ったので、今回はアイヌネギについてご紹介したいと思います。


初陣式
たくさん採れますように・・・
 アイヌネギはその辺に生えているわけではありません。採るためには山奥に入らなければなりません。なので、動きやすくて汚れても良い服装と長靴を着用し、軍手、まきり(ナイフ)、ビニール袋(ネギ入れ)を持っていく必要があります。その結果が左の写真です。うん、ばっちり。

 『今年は暖かくてネギのシーズンが早まっているかもしれないから、もしかしたらあまり採れないかも・・・。』

そんな消極的な姿勢でどうする!豊作(?)を祈る意味でも士気を高めなきゃ!
という八幡さんの考えの元、みんな揃って同じポーズでの初陣式を行いました。
ちなみにみんなが見ているほうに、これから分け入る山があります。ということになっています。

 アイヌネギを探すポイントは2つあります。
 まず、川。川といっても小川のようなもので十分です。経験上、川のすぐそばにたくさんあり、湿地帯に多いというのもうなずけます。この川を見つけるのが最初の目標です。

 次に、斜面。V字谷のようになっている所がGood!日当たりの関係でしょうか、一面に群生しています。斜面を登りつつ採集しなければならない所が大変ではありますが、確実に数を稼げますし、次回来るときの目印にもしやすいです。

 私が3年間アイヌネギ採集に行って気が付いたのは以上の2点です。このような場所では確実にアイヌネギがようこそしてくれます。でも、みんな考えることは同じなのか、明らかに誰かに先を越されていることも少なからずあります。そんなときは残念ですが、他の場所を探しましょう。

アイヌネギ。よく見ると群生している。
無事採れてほっとする安房田さん。


退陣式
袋いっぱいのアイヌネギが採れました。
 野山に分け入ること1時間、気が付けばあたりは真っ暗になっていました。今晩のおかず分くらいは採れたので、ここで終了し早速実験所に戻りました。今晩はアイヌネギ三昧の予感です。

 アイヌネギは生のまま食べると胃を痛めるので、必ず火を通して食べます。さっとゆでてキムチや醤油などに漬けたり、しっかりゆでておひたしにしたりすると簡単でおいしいです。今回はそれにプラスして天ぷら、焼きそば、ギョウザを作りました。一番美味しかったのがギョウザ!いつもは醤油などに漬けて食べてて、それで満足してましたが、ギョウザにすると非常に良い薬味になることが分かりました。こりゃ美味い!次からはぜひレギュラーメニューにしよう。

 そんなこんなで、アイヌネギ採集に始まり、料理に終わったアイヌネギ祭りは無事大成功を収めました。ビバ、アイヌネギ。みなさんもぜひアイヌネギをご賞味ください。


ギョウザ、天ぷら、焼きそば、キムチ漬け、おひたし。
アイヌネギ料理を堪能しました。満足、満足!



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