前浜表面水温の季節変動


臼尻水産実験所は,噴火湾口部にあるため,沖合いでは噴火湾の海洋構造の季節変動に支配されますが,前浜の水温変動は水塊変動よりも,気候と季節風の影響を強く受けます。下の表は,毎日午前9時に観測した実験所前浜の表面水温を,各年の月毎の平均値で示したものです。

水温がもっとも低下するには,2月下旬から3月中旬で,この時期に西高東低の冬型気圧配置が続く年は,水温が氷点下を下回る日も多く,平均水温も低くなります。なお,過去26年間で2月と3月の最低値を記録した1984年は,津軽暖流水の流入量も少ない年で,潮流との相乗効果が働いたようです。4月以降は,気温の上昇とともに水温も上昇しますが,強い南東の風を伴う低気圧の通過は,恵山沖の深海から低温の深層水を湧昇させ,その低温の水が多量に沿岸部に吹き寄せられた時は,水温の上昇が妨げられます。この深層水の冷たさは,吹き寄せが7〜8月に起こったとき, 20℃あった海水が一晩で10℃以下になるほどです。9月になると,水温は下降し始めますが,サケやスルメイカなど海の幸が豊富な季節となり,冬眠前のヒグマよろしく大学院生の皮下脂肪はグッと厚みを増します。


スルメイカ (生物測定後)

なお,ここでの情報は,臼尻水産実験所,嵐田(2001年3月退官),野村両技官による長年の観測成果です。

. 臼尻実験所前浜の表面水温(℃)の季節変動

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1月

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

9月

10月

11月

12月

過去10年の
平均

5.2

3.0

2.9

5.0

8.2

12.4

16.5

19.4

19.7

16.4

11.9

8.0

2004年

6.9

4.4

3.0

5.1

7.4

13.2

16.8

19.5

18.5

16.7

13.1

8.7


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