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第9回:秋田 弘俊 副学長

自己紹介、北大病院、新型コロナなど

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 こんにちは。病院担当の副学長、秋田弘俊です。

 まず自己紹介からさせていただきます。1956年生まれで、札幌市北区で育ちました。子供の頃、近くに牧場があり、搾りたての牛乳を飲んでいました。小学校は市立白楊小学校に入学しましたが、地域の人口増加と小学校のマンモス化に伴い、新設された市立和光小学校に移されました。中学校は、麻生・新琴似方面から札幌市電(路面電車)で1時間ほどかけて藻岩山ふもとに当時あった北海道教育大学附属札幌中学校に通いました。北大前の西5丁目通りを路面電車が通っていましたので、北大の景色を電車の窓越しに朝夕眺めながらの通学でした。その中で印象に残っているのは、新築された大型計算機センターが当時としてはとてもモダンな建物だったことです。また、学園紛争の関係で、北大正門前・大学本部付近に警察機動隊が動員されて、西5丁目通りは閉鎖、路面電車は運休となり、徒歩で西4丁目または西3丁目辺りを札幌駅方向から北に向かって帰宅したことがあります。その際、催涙ガスのため涙が止まらなかったことを記憶しています。中学時代のささやかな北大の思い出です。

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 高校は札幌南高等学校に通いました。今から50年前になりますが、冬季オリンピックが札幌で開催される直前に市営地下鉄南北線が北24条〜真駒内間に開通して、通学で北大前の西5丁目通りを通ることはなくなりました。高校時代、寳金総長は私の高校の2年先輩で、秀才の誉高い学生として有名でした。倫理の授業で先生が「デカルト、カント(いずれも高名な哲学者)、ホーキン」と言っておられたことを今も覚えています。その寳金総長のもとで現在仕事をさせていただいていることは大変光栄であり、ご縁を感じています。

 生命科学に関心があり、また人の役に直接立てる仕事に就きたいとの思いから、北大教養部医学進学課程に進みました。教養部時代は医学部準硬式野球部で野球三昧の毎日を過ごしました。膝のけがのために2年生半ばで退部しましたが、良い思い出でいっぱいです。医学部に進んだ後、同期の学生に誘われて、医学部の学生が発行する雑誌「フラテ」の編集部に入りました。雑誌「フラテ」は北大医学部の学友会誌として大正14年に創刊された雑誌です。「フラテ」の名前はイタリア語で兄弟を意味するfrateに由来し、第4代北大総長の今裕先生(医学部出身、総長:1937-1945年)は「フラテは兄弟である。兄弟の情を以て交はる大学生の団体である」と記しています。私が学生当時のフラテ編集部の顧問は高桑栄松教授(衛生学)で、部活動の諸々についてご指導いただきました。高桑先生は医学部長や大学院環境科学研究科長を歴任され、国立公害研究所長を務められました。

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 医学部卒業後の進路は北大医学部の第一内科を選びました。胸部写真をきちんと読影して全身を診られる医師になりたいと考えたためで、「全身を診る」ことは現在担当している腫瘍内科にもつながっています。第一内科では医師としての研修や大学院生としての研究指導を受けました。その中で、北大理学部の動物染色体研究施設で理学研究科の大学院生と机を並べながらご指導いただいたことは、私にとってその後の大きな糧となりました。

 内科研修や米国留学、医学部・北大病院の教員を経て、2001年に大学院医学研究科腫瘍内科学分野の教授となり、北大病院では腫瘍内科の診療科長を務めております。腫瘍内科はがんの診断や治療、症状緩和などの総合的な診療を患者さんに寄り添いながら行っています。内科というと、呼吸器、循環器、消化器など、病気の臓器によって専門が分かれる印象をお持ちかと思いますが、腫瘍内科はがんの発生臓器に関係なく、全身を診る診療科です。がん治療は新しい治療薬の開発により、治療成績が向上しています。例えば、本庶佑先生のノーベル賞受賞で有名な免疫チェックポイント阻害薬や分子標的治療薬など、優れた新薬の開発が相次いでいます。副作用対策を十分に行いながら安全で効果的な薬物治療を行うことが私たち腫瘍内科医のモットーです。

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 最近の約10年間は医学部や北大病院の管理運営に携わる機会をいただいています。医学部では医学科教務委員長として医学教育の国際認証取得に向けて臨床実習を大幅に増やすカリキュラム改訂に携わりました。北大病院では、寳金病院長(当時)のもとで病院長補佐を3年、副病院長を3年務めさせていただき、がん遺伝子診断部長としてがんゲノム医療の立ち上げ及びがんゲノム医療中核拠点病院指定の取得、オール北海道のがんゲノム医療体制の構築、腫瘍センター長として腫瘍センターの組織改編と機能拡充などに携わりました。北大病院の理念は『良質な医療を提供するとともに、優れた医療人を育成し、先進的な医療の開発と提供を通じて社会に貢献する』ことであり、寳金病院長には多くの勉強の機会をいただきました。

 寳金病院長の後を受け、2019年度から北大病院長として、新型コロナウイルス感染症対策、古くなってきた病院建物の改修・改築に向けての計画、教職員の働き方改革、北海道初となる司法精神医療センター(精神科分院)の開設準備などに取り組んでいます。また、病院内に医療・ヘルスサイエンス研究開発機構を設置して、北大全学の研究により一層貢献し産学連携を推進することをめざしています。関連して、本学は2021年12月20日付で文部科学省から「橋渡し研究支援機関」に認定されました。

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 とくに新型コロナウイルス感染症関係では、感染患者さんの入院治療、感染妊婦さんの受け入れと出産、入院待機ステーションや宿泊療養施設への医療スタッフの派遣、コロナ禍のために逼迫した救急医療への貢献、大規模ワクチン接種会場への医療スタッフの派遣、新型コロナウイルス唾液検査の開発と普及、ワクチン治験への協力など、北海道や札幌市といった行政、市中道内の病院と連携して地域や社会のために全職員が頑張っています。報道では、コロナ診療により通常診療が滞ることが問題として取り上げられていますが、通常診療もこれまで通りに行っていますので、安心して受診していただけます。通常診療を維持するためにも、北大病院では病院内の感染対策や感染予防に力を入れています。例えば、入院患者さんには入院当日に新型コロナウイルスPCR検査を行っています。入院患者さんへの面会は原則禁止とさせていただいており、ご不便をお掛けしていますが、皆様にご理解いただけますと幸いです。

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 北大病院は2021111日に開院100周年を迎えました。これからも皆様の期待に応え、本院の理念に則して医療を提供して参ります。新型コロナとの闘いが続いておりますが、来たるべき新年が皆様にとって良い年となりますように心からお祈り申し上げます。引き続き、ご理解とご支援の程よろしくお願いいたします。

(2021年12月)

【撮影場所(いずれも北大病院外来診療棟)】
1枚目:渡り廊下
2枚目:アメニティホール
3,4枚目:総合外来診察室
5枚目:外来診療棟玄関
6枚目:温室