○共同利用施設等管理規程制定の趣旨

昭和38年3月29日

海大第479号

事務局長から各部局長あて

1 本規程制定の趣旨

学術研究の進展に伴ない、研究手段の巨大化の傾向が最近とみに顕著になりつつある。このため本学においても研究施設設備の共同利用が活発に行なわれ、あるいは共同利用を目的とした研究施設等が多数導入され、逐年増設されている。このような研究傾向に対し、従来これら共同利用施設等の管理運営体制が不明確であつて、ややもすれば円滑かつ効率的な利用を促進するうえで支障をきたすうらみが認められるとともに国有財産の管理上からみても検討を要する点があつた。

そこで、今回本規程を制定し、この種施設等の適正な管理を図りつつ、その円滑かつ効率的な利用を促進する体制を制度的、組織的に確立して、本学の学術研究が一そう進展しうる素地を培おうとするものである。

2 本規程の要点

上記の趣旨に基づき定めた本規程の要点は次のとおりである。

(1) 共同利用施設の範囲を定めること。

共同利用施設として本規程を適用すべき研究施設等の名称を学長が指定する(第2条)旨規定した。

一概に共同利用施設といつても、その共同利用部局の数、利用の程度は、さまざまであつて、中には、単独利用施設等として扱うことが実際上適当なものもある。このような点を本規程に基づき設置された共同利用施設等管理委員会で充分審議願つたうえでその答申を得、学長がその名称を指定(北大時報において公示)しようとするものである。

一方これによつて指定されたものであつても、その後同種施設等の設置によつて共同利用施設として指定しておく必要がなくなる場合もありうる訳で、このような場合は上記に準じた手続で指定の解除を行なう。

(2) 共同利用施設等の管理部局を指定すること。

上記(1)により指定された共同利用施設等を管理する部局を学長が指定する(第2条)旨規定した。

数個の部局が共同して利用する施設等であつても管理する主体が明らかになつていなければ円滑・効率的な利用を図るうえからも、国有財産管理上からも問題を生ずるので、この点は、当然明確に定める必要がある。単独利用施設の場合は、当然当該部局が管理主体となるが、共同利用施設の場合は、このような一般的な管理方法をただちに採用できない。共同利用施設等の場合、管理主体をどのように定めるかについては、いくつかの方法があるが、本規程では研究者の便宜、組織の簡単化の点から、同施設の管理上最も適当と思われる特定部局を管理部局とする方法を採つた。もちろん現存する全ての同施設等は、単独利用施設等の場合と同様事実上管理部局が定まつているが、この点を成文化し、明確化する必要がある。なお、管理部局の指定も上記(1)と同一の手続きで行なわれる。

(3) 共同利用施設等の主要利用部局を指定すること。

上記(1)により指定された共同利用施設等の主要利用部局を学長が指定する(第2条)旨規定した。共同利用施設は数個の部局により利用されるが、そのうち利用度の高い部局を主要利用部局(管理部局も主要利用部局に含まれる。)として明確に規定することが管理運営上適当である。

主要利用部局として指定された部局は、後述のとおり、運営委員会に委員を送り、施設の利用等運営面について種々意見を述べる機会が制度的に保障される。反面主要利用部局として、その利用度等に応じ、管理面について管理部局に協力することが当然要請される。また、主要利用部局を定める目的は以上のとおりであつて、主要利用部局以外の部局の利用をはばむ趣旨によるものでないことはもちろんである。なお、主要利用部局の指定も上記(1)と同一の手続きで行なわれる。

(4) 管理部局の長の責任を明文で定めること。

いわゆる訓示規定として「管理部局長は当該共同利用施設の管理責任者として適正な管理と共同利用のため円滑な運営がなされるよう努めなければならない」(第3条)旨規定した。なお、管理というのは、通常、人的管理、物的管理、運営管理を意味するので、管理部局長は、当該共同利用施設等に係る職員、施設、設備、その他の工作物及び物品の配置運用等すべての管理を担当することとなる。

(5) 管理部局長のもとに当該施設の運営責任者を置くこと。

管理部局長は、管理部局長のもとに当該施設の運営にあたる運営責任者を定めなければならない(第4条)旨規定した。

管理部局長は、上記(4)のとおり管理上の責任者であるが、その補佐機関として、いわば当該施設の長ともいうべき運営責任者を置かなければならないこととするとともに、運営責任者の職務を明らかにしたものである。なお、ここでいう研究施設は、国立学校設置法施行規則別表第五に定める学部附属教育研究施設とはその性格を異にし、学内措置で定めた部局の内部組織とみるのが適当である。

従つて、運営責任者についても、大臣発令、学長発令は行なわず、管理部局長のいわゆる分課命令として管理部局長が運営責任者を命ずるという手続きがとられることとなる。

運営責任者は、後述の運営委員会の審議等を通じ、主要利用部局の意見を調整しつつ共同利用上、円滑な運営を図ることが大切で、それが運営責任者としての実質的職務と考えられる。

(6) 管理部局に運営委員会を置くこと。

管理部局に当該共同利用施設の共同利用の調整等その円滑な運営を図るため運営委員会を置く(第5条)旨規定した。特定部局にその共同利用施設の管理を委ねることは、当該施設の管理上は適当であるが、利用面からみるとまま他部局の利用上障害となる場合があり得る。そこで、管理部局に主要利用部局関係者から成る運営委員会を置き、共同利用の調整等、共同利用施設の円滑な運営上必要な事項を審議願おうとするものである。

この運営委員会設置の効用は、

① 主要利用部局が公平に当該施設を利用しうる途をひらくこと。

② 主要利用部局が管理部局の管理責任を承知し、協力する態勢をもつこと。

③ 共同利用施設の運営を通じ、より効果的な研究手段の整備等につき関係研究者の意見をまとめること。

の3点にあるものと考えられる。

ことに第3点については、後に掲げる共同利用施設等管理委員会で検討願うこととなるものであろう。

(7) 運営委員会の委員の推せん手続きを定めたこと。

運営委員会の委員は、主要利用部局の長の推せんにより管理部局長が委嘱する(第5条)旨規定した。

運営委員会は、上記(6)のとおり関係研究者の連絡調整的機能を果す機関であるが、その構成は、公的に一定の手続きを経てなされることが必要である。それは、主要利用部局の長の推せんにより委嘱された委員であれば単に研究者の代表という立場ばかりでなく、当該主要利用部局の正式の代表者として当該施設の円滑な運営に関し御協力いただけることとなるからである。

(8) 運営委員会の委員長につき規定したこと。

委員長は、管理部局長又は、運営責任者をもつてあてる(第5条)旨規定した。

上記(6)(7)のとおり各主要利用部局の代表者として運営委員にご協力いただくとしても、主体的な管理運営の責任は管理部局長に負つていただかなければならないものはもちろんである。従つて運営委員会の委員長は、管理部局長であることが最も適切である。しかし、複数の共同利用施設を管理する場合等にあつては、運営責任者によるのが適当な場合もあり得るので、運営責任者をもつて委員長にあてることをも考慮した。

(9) 運営委員会の事務は、管理部局の事務部が処理する(第5条)旨規定するとともに、その他運営委員会の運営に関し必要な事項は、運営委員会の議を経て、管理部局長が定める(第5条)旨規定した。

(10) 管理部局長の報告義務を定めたこと。

管理部局長は当該施設の運営責任者を定めたとき、及び運営委員会に関する事項(運営委員会内規を含む。)を定めたときは、速やかに学長に報告しなければならない(第6条)旨規定した。

本規程は、共同利用施設の管理を特定部局に委ねる方針を定めたのであるが、学長は、管理部局の当該共同利用施設の管理、運営状況を承知していることが必要である。

そこで上記により一定事項を定めたときは速やかに学長に報告願うよう規定した。なお、運営委員会内規参考基準を添付するから参照されたい。

(11) 学長の諮問機関として共同利用施設等管理委員会を置くこと。

全学の共同利用施設等の適正かつ円滑な管理運営を図るため、別に定めるところにより共同利用施設等管理委員会を置く(第7条)旨規定した。

前記によつて、個々の共同利用施設等の管理運営体制を明らかにしたが、これら各共同利用施設等の整備及び管理運営に関する基本的事項を審議するため、別に定めるところにより学長の諮問機関として共同利用施設等管理委員会を置くこととした。

共同利用施設等管理委員会の委員は、部局長によつて構成されるので、一方においては、共同利用施設等の運営面の代表者(運営委員会委員長もしくは、その意向の伝達者)及び管理責任者、管理協力者(主要利用部局の長の場合)として、他方では、全学的な立場から学長の補佐機関としてその効果的整備方針並びに効率的管理運営方針につき審議願い、全学のこの種施設の適正かつ効果的な管理運営を図ろうとするものである。

(12) 附則本規程の施行期日を定めまた、現におかれている委員会を廃止したこと。

① 本規程は、昭和38年4月1日から施行するものであるが、共同利用施設等管理委員会は、それまでの間に共同利用施設等の指定を行う等の任務を持つため、第7条の規定については、2月20日から施行することとした。

② 附則第2項における委員会の廃止は、事実上廃止されるものもあるが、あくまで共同利用施設等の管理運営体制改組のための廃止である。本規程施行と同時にこれら委員会の母体である各施設等について各部局の意向をきき、管理委員会で充分検討し、共同利用施設として指定することとなれば、新らたに管理部局長の下に前述(6)による運営委員会として再発足するものである。なお、規程上廃止した委員会は、現に規程を有するもののみであるが、規程がなく事実上おかれていた次の委員会についてもこれを廃止するものである。

(イ) 電子顕微鏡管理委員会

(ロ) ベツクマン・スペクトロフォトメーター管理委員会

(ハ) アイソトープセンター運営委員会

共同利用施設等管理規程制定の趣旨

昭和38年3月29日 海大第479号

(昭和38年3月29日施行)

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第9編
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昭和38年3月29日 海大第479号