○国立大学法人北海道大学における研究活動上の不正行為に関する規程

平成30年11月1日

海大達第153号

(目的)

第1条 この規程は、国立大学法人北海道大学(以下「本学」という。)における研究活動上の不正行為の防止及び不正行為が行われた場合の措置に関し必要な事項を定めるものとする。

(定義)

第2条 この規程において「研究者等」とは、本学の役員及び職員(第11条及び第12条において「役職員」という。)並びにこれら以外の者であって本学において研究に携わる者をいう。

2 この規程において「不正行為」とは、研究者等が行った研究活動において、故意又は研究者としての基本的な注意義務を著しく怠ったことにより生じた次に掲げる行為をいう。

(1) 捏造(存在しないデータ、研究結果等を作成することをいう。)

(2) 改ざん(研究資料、機器及び過程を変更する操作を行い、データ又は研究活動によって得られた結果等を真正でないものに加工することをいう。)

(3) 盗用(他の者のアイデア、分析方法、解析方法、データ、研究結果、論文又は用語を、当該者の了解又は適切な表示なく流用することをいう。)

(4) 前3号に掲げる行為以外の研究活動上の不適切な行為であって、科学者の行動規範及び社会通念に照らして研究者が守るべき倫理(次条及び第6条において「研究者倫理」という。)からの逸脱の程度が重大であるもの。

(5) 前4号に掲げる行為に関する証拠を隠滅し、又は立証を妨げること及びこれらの行為を指示し、命令し又は強要すること。

3 この規程において「部局等」とは、創成研究機構、創成研究機構の各研究拠点、高等教育推進機構、安全衛生本部、大学力強化推進本部、産学・地域協働推進機構、総合IR本部、国際連携機構、サステイナビリティ推進機構、アイヌ共生推進本部、大学院教育推進機構、ダイバーシティ・インクルージョン推進本部、広報・社会連携本部、半導体拠点形成推進本部、各学部、病院、研究科、各学院、各研究院、教育部、連携研究部、各附置研究所、附属図書館、各研究センター、各学内共同施設及び国際連携研究教育局をいう。

(研究者等の責務)

第3条 研究者等は、研究者としての倫理観の涵養及び保持に努め、適正かつ公正な研究活動を行うとともに、他者による不正行為の防止に努めなければならない。

2 研究者等は、不正行為の発生を防止することを目的として本学が実施する研究者倫理及び研究活動に係る法令等に関する研修(第5条及び第6条において「不正防止研修」という。)を受講しなければならない。

3 研究者等は、研究活動の正当性を証明する手段を確保するとともに、第三者による検証の可能性を担保するため、実験ノート、実験データその他の研究資料を一定期間適切に保存し、及び管理し、並びに開示の必要性及び相当性が認められる場合には、これを開示しなければならない。

4 前項に規定する研究資料の保存期間は、原則として次に掲げるとおりとする。

(1) 研究資料(試料及び標本を除く。) 当該研究資料に基づく論文その他の研究成果の発表のときから10年間

(2) 試料及び標本 当該試料及び標本に基づく論文その他の研究成果の発表のときから5年間(ただし、化学的に不安定である物質、実験により消費される試料その他の保存及び保管が困難なもの又は生物その他の保存及び保管に多額の費用を要するものについては、この限りでない。)

5 前項の規定にかかわらず、法令等において、前項各号に掲げる保存期間を超える保存期間が定められているときは、当該法令等の定めによるものとする。

(研究不正対応最高管理責任者)

第4条 本学に、不正行為の防止及び不正行為が行われた場合の対応について、最終的な責任を負う者として、研究不正対応最高管理責任者(以下「最高管理責任者」という。)を置き、総長をもって充てる。

2 最高管理責任者は、次条に規定する研究不正対応統括管理責任者及び第6条に規定する研究不正対応部局等責任者が責任を持って不正行為の防止及び不正行為が行われた場合の対応に取り組むことができるよう、必要な措置を講ずるものとする。

(研究不正対応統括管理責任者)

第5条 本学に、最高管理責任者を補佐し、本学における不正行為の防止及び不正行為が行われた場合の対応について、本学を統括する者として、研究不正対応統括管理責任者(以下「統括管理責任者」という。)を置き、総長が指名する理事をもって充てる。

2 統括管理責任者は、不正防止研修の企画その他の不正行為の防止に関する方策及び不正行為が行われた場合の対応について必要な措置を講ずるものとする。

(研究不正対応部局等責任者)

第6条 部局等に、当該部局等における不正行為の防止について責任を負う者として、研究不正対応部局等責任者(以下この条において「部局等責任者」という。)を置き、部局等の長をもって充てる。

2 部局等責任者は、当該部局等における不正行為の防止について必要な措置を講ずるものとし、当該部局等の研究者等に対し、統括管理責任者の指示に基づく不正防止研修を定期的に実施しなければならない。

3 部局等責任者は、当該部局等の研究者等及び学生に対し、研究者倫理に関する教育を実施するものとする。

(不正行為告発窓口)

第7条 次条に規定する告発及び第9条に規定する相談に対応するため、不正行為告発窓口(以下この条、次条及び第9条において「窓口」という。)を置く。

2 窓口は、弁護士である者に委託する。

3 窓口は、告発者(次条第1項に規定する告発(匿名による告発を除く。)を行った者をいう。以下同じ。)の秘密の保護その他の告発者の保護を徹底しなければならない。

4 窓口は、次条に規定する告発を取り扱う場合において、告発者以外の者にその内容を漏えいすることのないよう適切な措置を講じなければならない。

5 前2項の規定は、第9条に規定する相談について準用する。この場合において、第3項中「告発者(次条第1項に規定する告発(匿名による告発を除く。)を行った者をいう。以下同じ。)」とあるのは「相談者(第9条第1項に規定する相談を行った者をいう。次項において同じ。)」と、第3項及び前項中「告発者」とあるのは「相談者」と、前項中「次条に規定する告発」とあるのは「第9条に規定する相談」と読み替えるものとする。

(告発)

第8条 何人も、不正行為が行われたことを疑うに足りる事由を知ったときは、窓口に対し、書面、ファクシミリ又は電子メールにより、当該不正行為に関する告発を行うことができる。

2 前項の告発は、原則として告発者の氏名を明らかにして行うものとし、不正行為を行った疑いがある研究者等又は研究グループ(不正行為を行った疑いがある研究者等を構成員に含むものに限る。)(以下これらを「被告発者」という。)の氏名又は名称、不正行為の態様その他の事案の内容並びに不正行為であるとする科学的かつ合理的な理由及び根拠が示されていなければならない。

3 窓口は、告発があったとき(被告発者に統括管理責任者が含まれるときを除く。)は、速やかに統括管理責任者に報告するものとする。この場合において、統括管理責任者は当該告発を受け付けるかどうかについて決定するものとする。

4 窓口は、被告発者に役員(監事を除く。)が含まれる場合は、監事にその旨を報告しなければならない。

5 監事は、前項の規定による報告を受け、被告発者に総長が含まれる場合は総長選考・監察会議に、被告発者に統括管理責任者が含まれる場合(次項に規定する場合を除く。)は総長にその旨を報告しなければならない。

6 監事は、第4項の規定による報告を受け、被告発者に総長及び統括管理責任者が含まれる場合は、前項の規定による報告のほか、当該告発の被告発者以外の全ての理事にその旨を報告しなければならない。

7 被告発者に総長が含まれる場合の当該告発に係る最高管理責任者の職務(第13条第2項及び第32条第1項に規定するものを除く。)は、統括管理責任者(当該告発の被告発者に統括管理責任者が含まれる場合は、第9項に規定する統括管理責任者の職務を行う理事)が行うものとする。この場合において、第16項中「告発を受け付けたときは、速やかにその内容を最高管理責任者に報告するとともに」とあるのは「告発を受け付けたときは」と、第11条第3項及び第12条第2項中「懲戒処分その他の必要な措置」とあるのは「必要な措置」と、第11条第4項中「懲戒処分その他の不利益な措置」とあるのは「不利益な措置」と、第12条第3項中「研究活動の全面的な禁止、懲戒処分その他の不利益な措置」とあるのは「研究活動の全面的な禁止その他の不利益な措置」と、第15条第1項中「決定し、その内容を最高管理責任者に報告するものとする」とあるのは「決定する」と、第20条第10項中「最高管理責任者に報告」とあるのは「確認」と読み替えるものとする。

8 総長は、第5項の規定による報告を受けたときは、統括管理責任者に代わって当該告発に係る統括管理責任者の職務を行わせる理事を指名するものとする。

9 第6項の規定による報告を受けた理事は、その中から統括管理責任者に代わって当該告発に係る統括管理責任者の職務を行う理事を、協議により決定するものとする。

10 第4項から前項までの規定は、次条に規定する相談について準用する。

11 第8項及び第9項に規定する統括管理責任者の職務を行う理事は、当該告発を受け付けるかどうかについて決定するものとする。

12 統括管理責任者(第8項及び第9項に規定する統括管理責任者の職務を行う理事を含む。以下次条第2項を除き同じ。)は、告発のあった事案について、本学が調査を行うべき研究機関等に該当しない場合は、調査すべき研究機関等に当該事案を回付するものとし、本学以外の研究機関等から事案の回付があった場合は、本学に告発があったものとみなすものとする。

13 第2項の規定にかかわらず、匿名による告発があったときは、統括管理責任者が当該告発の内容を受け付けるべきものであると認めた場合に限り、当該告発を受け付けることができる。

14 統括管理責任者は、研究者等について、新聞等の報道機関、研究者コミュニティ又は個人により、不正行為の疑いが指摘されたときは、第2項に規定する事項が明示されている場合に限り、当該指摘を前項に規定する匿名による告発があったものとみなすことができる。

15 統括管理責任者は、告発を受け付けたときは、当該告発が匿名によるものである場合(前項及び次条第4項の規定により匿名による告発があったものとみなした場合を含む。)を除き、当該告発者に、告発を受け付けた旨を通知するものとする。

16 統括管理責任者は、告発を受け付けたときは、速やかにその内容を最高管理責任者に報告するとともに、被告発者が主として関係する部局等の長(被告発者に当該部局等の長が含まれる場合にあっては、統括管理責任者が指名する者。第14条及び第16条において同じ。)にその内容を通知するものとする。

(不正行為に係る相談)

第9条 何人も、不正行為が行われたことを疑うに足りる事由を知ったときは、告発の是非、手続きその他の事項について窓口に相談を行うことができる。

2 窓口は、前項の相談があったとき(被告発者に統括管理責任者が含まれるときを除く。)は、速やかに統括管理責任者に報告する。

3 統括管理責任者は、前項の規定による報告があったときは、その内容を確認し、告発として受け付けるべきものであると認めたときは、相談者(第1項の相談を行った者をいう。以下同じ。)に対し、窓口に告発することを求めるとともに、告発を行う意思の有無を確認するものとする。

4 統括管理責任者は、前項の規定による確認の結果、相談者に告発を行う意思がなかったときは、前条第13項に規定する匿名による告発があったものとみなすことができる。

5 統括管理責任者は、相談の内容が、不正行為が行われようとしているものその他これに類する内容であり、かつ、相当の理由があると認めたときは、当該相談の内容に関係する者に対し、警告その他の適切な措置を講ずるものとする。

(秘密保持義務)

第10条 この規程に定める業務に携わる者は、その職務上知り得た情報を漏らしてはならない。その職務を退いた後も、同様とする。

2 最高管理責任者は、調査中の事案について、調査結果の公表に至るまで、告発者及び被告発者の意に反して外部に情報が漏えいすることのないよう、調査に携わる者に対し、秘密の保持を徹底させなければならない。

3 最高管理責任者は、調査中の事案に関する情報が外部に漏えいした場合には、告発者及び被告発者の同意を得て、当該事案について公に説明することができる。ただし、告発者又は被告発者の責に帰すべき事由により当該情報が漏えいしたときは、当該者の同意は不要とする。

4 統括管理責任者、第16条に規定する不正行為調査委員会の委員、第14条に規定する予備調査委員会の委員その他の関係者は、告発者、被告発者その他の関係者に連絡し、又は通知するときは、名誉を毀損し、及び人権、プライバシーその他の権利を侵害しないよう配慮しなければならない。

(告発者の保護)

第11条 最高管理責任者は、告発を行い、又は相談を行ったことを理由として、当該告発者及び相談者が本学において不利益な取扱いを受けないよう適切な措置を講じなければならない。

2 役職員は、告発を行い、又は相談を行ったことを理由として、当該告発者及び相談者に対し、不利益な取扱いを行ってはならない。

3 最高管理責任者は、告発者又は相談者に対して告発を行い、又は相談を行ったことを理由として不利益な取扱いを行った役職員について、懲戒処分その他の必要な措置を講ずることができる。

4 最高管理責任者は、悪意に基づく告発(被告発者を陥れるため、被告発者の研究を妨害するためその他の専ら被告発者又は被告発者が関係する研究機関等に不利益を与えることを目的として告発を行うことをいう。以下同じ。)であることが明らかでない限り、告発をしたことのみを理由として、当該告発者に対して懲戒処分その他の不利益な措置を行ってはならない。

(被告発者の保護)

第12条 役職員は、正当な理由なしに、告発を受けたことのみを理由として、当該被告発者に対し、不利益な取扱いを行ってはならない。

2 最高管理責任者は、被告発者に対して正当な理由なしに不利益な取扱いを行った役職員について、懲戒処分その他の必要な措置を講ずることができる。

3 最高管理責任者は、正当な理由なしに、告発があったことのみを理由として、当該被告発者に対し、研究活動の全面的な禁止、懲戒処分その他の不利益な措置を行ってはならない。

(悪意に基づく告発)

第13条 何人も、悪意に基づく告発を行ってはならない。

2 最高管理責任者は、第20条第7項の規定により悪意に基づく告発である旨の認定があったときは、当該告発者の氏名の公表、懲戒処分、刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)第239条第1項の規定に基づく告発その他の必要な措置を行うことができる。

3 統括管理責任者は、前項の措置が行われたときは、資金配分機関(当該告発に係る論文等の基礎となった研究活動の財源となった研究資金の配分を行う機関をいう。以下同じ。)及び関係省庁に対し、当該措置の内容等を報告するものとする。

(予備調査の実施)

第14条 統括管理責任者は、告発があった場合(第8条第14項又は第9条第4項の規定により告発があったものとみなした場合を含む。)において、予備調査が必要であると認めたときは、当該告発に係る事案に主として関係する部局等の長に、予備調査を行わせるものとする。

2 部局等の長は、統括管理責任者による前項の予備調査を行う旨の指示があったときは、予備調査委員会の組織構成及び調査の方針等について、統括管理責任者の了承を得た上で、速やかに自らを委員長とする予備調査委員会を設置し、予備調査を開始するものとする。

3 予備調査委員会は、告発者、被告発者その他の関係者(以下「関係者」という。)からの証言の聴取、予備調査に必要な資料の提出を求めることその他の方法により、当該告発の科学的かつ合理的な理由の論理性、不正行為が行われた可能性及び客観的な資料による検証の可能性等について予備調査を行うものとする。

4 当該告発に係る事案の関係者は、予備調査に誠実に協力しなければならない。

5 予備調査委員会は、第18条第2項に規定する資料を保全する措置を行うことができる。

6 予備調査委員会は、告発がなされる前に取り下げられた論文等に関する告発について予備調査を行うときは、取下げに至った経緯及び事情を考慮し、調査を行うかどうかを判断するものとする。

7 予備調査委員会は、統括管理責任者が告発を受け付けた日から起算して30日以内に、統括管理責任者に予備調査の結果を報告するものとする。

8 前項の規定にかかわらず、予備調査委員会は、合理的な理由により、前項に規定する期間内に予備調査の結果を報告することができない場合は、統括管理責任者にその旨を報告するものとする。この場合において、予備調査委員会は、速やかに調査を完了し、統括管理責任者にその結果を報告する。

(本調査の要否の決定)

第15条 統括管理責任者は、前条の予備調査の結果を踏まえ、不正行為の有無を認定するための調査(以下「本調査」という。)を実施するかどうかを速やかに決定し、その内容を最高管理責任者に報告するものとする。

2 前項の場合において、本調査を実施することを決定したときは、統括管理責任者は、次条に規定する不正行為調査委員会(以下「調査委員会」という。)を設置する。

3 第1項の場合において、本調査を実施しないことを決定したときは、統括管理責任者は、当該予備調査が匿名による告発(第8条第14項又は第9条第4項の規定により匿名による告発があったものとみなした場合を含む。)によるものである場合を除き、理由を付してその旨を告発者に通知するとともに、予備調査に係る資料等を保存し、資金配分機関及び関係省庁の求めに応じ開示するものとする。

(不正行為調査委員会)

第16条 調査委員会は、次に掲げる委員をもって組織する。

(1) 最高管理責任者が指名する統括管理責任者以外の理事

(2) 被告発者が主として関係する部局等の長

(3) 当該告発に係る研究分野の知見を有する者

(4) 法律に関する知見を有する者

(5) その他統括管理責任者が必要と認めた者

2 前項の委員のうち、本学に所属しない者の数は、同項の委員の総数の2分の1以上でなければならない。

3 第1項第2号から第5号までの委員は、最高管理責任者が委嘱する。

4 第1項の委員は、告発者及び被告発者と、告発のあった事案に係る研究成果により自らが保有する特許に影響が及ぶおそれのある関係その他の直接の利害関係を有しない者でなければならない。

5 調査委員会に委員長を置き、第1項第1号の委員をもって充てる。

6 委員長に事故があるときは、あらかじめ最高管理責任者の指名した委員がその職務を代行する。

(本調査の実施決定に係る通知等)

第17条 統括管理責任者は、第15条第2項の規定により調査委員会を設置したときは、本調査を実施すること並びに当該調査委員会の委員の氏名及び所属を告発者及び被告発者に通知するものとする。

2 前項に規定する場合において、被告発者が本学以外の研究機関等に所属しているときは、統括管理責任者は、前項に規定する事項を当該研究機関等の長に通知するものとする。

3 統括管理責任者は、第15条第1項の規定により本調査を実施することを決定したときは、資金配分機関及び関係省庁にその旨を報告するものとする。

4 第1項の規定による通知を受けた告発者又は被告発者は、調査委員会の委員に、委員として適当でない者が含まれると思料するときは、統括管理責任者に対し、書面により同項の規定による通知を受けた日から7日以内に異議申立てを行うことができる。

5 統括管理責任者は、前項の異議申立てがあった場合は、当該異議申立ての内容を審査し、その内容が妥当であると判断したときは、当該異議申立てに係る委員を変更するものとする。

6 統括管理責任者は、前項の規定により委員の一部を変更した場合又は当該異議申立てを却下した場合は、第1項及び第2項の規定により通知した者にその旨を通知するものとする。

(本調査の実施)

第18条 調査委員会は、本調査の実施の決定があった日から起算して原則として30日以内に本調査を開始するものとする。

2 調査委員会は、告発のあった事案に係る研究に関する論文、実験ノート、観察ノート、データその他の資料の精査、関係者の証言の聴取その他の方法により本調査を行うものとする。

3 調査委員会は、本調査の実施に当たり、被告発者に弁明の機会を与えなければならない。

4 被告発者は、前項に規定する弁明において、告発の内容を否認するときは、自己の責任において、当該研究が科学的に適正な方法及び手順により行われたこと並びにその結果が当該論文等に適切に示されていることを、科学的根拠をもって説明しなければならない。

5 調査委員会は、被告発者に対し、告発のあった事案に係る研究の再現性を確認するため、再実験の実施を要請することができる。

6 調査委員会は、告発のあった事案に係る研究の再現性を示すため、被告発者から再実験の実施の申し出があり、調査委員会がその必要性を認めた場合は、再実験を実施させることができる。

7 前2項に規定する再実験は、調査委員会の指導及び監督の下に実施されなければならない。この場合において、統括管理責任者は、再実験に必要な経費及び場所等を提供するものとする。

8 当該告発に係る事案の関係者は、本調査に誠実に協力しなければならない。

9 調査委員会は、相当の必要があると認めたときは、告発のあった事案に係る研究活動以外の研究活動についても調査対象とすることができる。

10 調査委員会は、本調査の実施に当たり、告発のあった事案に係る研究に関して、証拠となる資料等を保全する措置を行うものとする。この場合において、当該措置の範囲及び期間については必要最小限のものとするとともに、被告発者の研究活動を過度に制限しないよう配慮しなければならない。

11 調査委員会は、本学以外の研究機関等において行われた不正行為について調査する場合は、当該研究機関等に対し、証拠となる資料等を保全する措置を行うよう要請するものとする。

12 調査委員会は、本調査の実施に当たり、公表前のデータ若しくは研究成果又は技術上秘密とすべき情報が、本調査の実施に必要な範囲を超えて漏えいすることのないよう十分配慮するものとする。

13 調査委員会は、告発者があらかじめ了承した場合を除き、告発者が調査委員会の委員その他の調査に携わる者以外の者に特定されることのないよう、十分配慮しなければならない。

(本調査に係る中間報告)

第19条 調査委員会は、資金配分機関又は関係省庁からの求めがあったときは、本調査の終了前であっても、その時点における本調査に係る中間報告を作成し、当該資金配分機関又は関係省庁に提出するものとする。

(調査委員会による認定)

第20条 調査委員会は、本調査を開始した日から起算して150日以内に、不正行為が行われたどうか、不正行為が行われたと決定する場合にあっては、当該不正行為の内容及び悪質性、当該不正行為に関与した者及びその関与の度合い、不正行為が行われたと認定する研究活動に係る論文等の各著者の当該論文等における役割その他の必要な事項を明らかにして、認定を行うものとする。ただし、第18条第5項及び第6項に規定する再実験を実施した場合は、当該再実験の実施に要した期間は、この項本文に規定する期間として参入しないものとする。

2 前項の規定にかかわらず、調査委員会は、合理的な理由により前項本文に規定する期間内に認定を行うことができない場合は、統括管理責任者にその旨を報告するものとする。この場合において、調査委員会は、速やかに認定を行うものとする。

3 調査委員会は、第18条第2項に規定する方法により得た証拠を総合的に判断して、第1項本文の認定を行うものとする。

4 調査委員会は、被告発者による自認を唯一の証拠として不正行為が行われたと認定することはできない。

5 調査委員会は、被告発者の説明及び第18条第2項に規定する方法により得た証拠によって、不正行為が行われた疑いを覆すことができないときは、不正行為が行われたと認定することができる。

6 調査委員会は、前項に規定する場合のほか、本来保存すべき期間内の実験ノート、データその他の資料が存在しないことその他これに類する理由により、被告発者が不正行為の疑いを覆すことができないときについても、不正行為が行われたと認定することができる。ただし、被告発者が善良な管理者の注意義務を履行していたにもかかわらず、その責によらない理由により、十分な証拠を示すことができなくなった場合であって、調査委員会が相当な理由があると認めた場合は、この限りでない。

7 調査委員会は、不正行為が行われなかったと認定した場合であって、調査の過程において、当該告発が悪意に基づく告発であると判明したときは、併せてその旨の認定を行うものとする。

8 前項の認定を行うに当たっては、告発者に弁明の機会を与えなければならない。

9 調査委員会は、第1項及び第7項の規定により認定を行ったときは、速やかに当該調査の内容に係る調査報告書を作成し、統括管理責任者に報告するものとする。

10 統括管理責任者は、前項の規定による報告(総長が悪意に基づく告発を行ったと認定されたものを除く。)を受けたときは、速やかにその結果を最高管理責任者に報告するものとする。

(調査結果に係る通知等)

第21条 統括管理責任者は、前条第9項の規定による報告を受けたときは、告発者及び被告発者(被告発者以外の者で不正行為に関与したと認定されたものを含む。第23条第2項及び第29条第1項を除き、以下同じ。)に調査結果を通知するものとする。

2 前項の場合において、統括管理責任者は、被告発者が本学以外の研究機関等に所属しているときは、前項に規定する事項を、当該被告発者が所属する研究機関等の長に通知するものとする。

3 第1項の場合において、前条第7項の規定により悪意に基づく告発であると認定された場合であって、当該告発者が本学以外の研究機関等に所属するときは、統括管理責任者は、当該調査結果について、当該告発者が所属する研究機関等の長に通知するものとする。

4 統括管理責任者は、前条第9項の規定による報告を受けたときは、当該調査結果について、告発のあった事案に係る研究に関する資金配分機関及び関係省庁へ報告するものとする。

(不服申立て)

第22条 第20条第1項の規定による認定において、不正行為を行ったと認定された被告発者は、統括管理責任者に対し、前条第1項の規定による通知を受けた日から起算して14日以内に、当該認定についての不服申立てをすることができる。

2 第20条第7項の規定による認定において、悪意に基づく告発であると認定された告発者は、統括管理責任者に対し、前条第1項の規定による通知を受けた日から起算して14日以内に、当該認定についての不服申立てをすることができる。

3 前2項の不服申立ては、一の事由につき1回に限り行うことができるものとする。

4 統括管理責任者は、第1項又は第2項の不服申立て(総長からの不服申立てを除く。)があったときは、最高管理責任者に報告するものとする。

(不服申立てに係る通知等)

第23条 統括管理責任者は、前条第1項の不服申立てがあったときは、その旨を告発者に通知するものとする。

2 統括管理責任者は、前条第2項の不服申立てがあったときは、その旨を被告発者に通知するものとする。

3 前項に規定する場合において、統括管理責任者は、当該不服申立てを行った者が本学以外の研究機関等に所属する場合は、当該不服申立てがあったことを、当該研究機関等の長に通知するものとする。

4 統括管理責任者は、前条第1項又は第2項の不服申立てがあったときは、告発のあった事案に係る研究に関する資金配分機関及び関係省庁に報告するものとする。

(不服申立てに係る審査)

第24条 統括管理責任者は、第22条第1項又は第2項に規定する不服申立てがあったときは、当該不服申立てに係る審査を、本調査を行った調査委員会に行わせるものとする。この場合において、統括管理責任者が更に専門性を要する審査を行う必要があると認めたときは、調査委員会の一部の委員を変更し、又は委員を追加することができるものとする。

2 調査委員会は、不服申立ての理由及びその根拠を審査し、再調査を実施するかどうかを速やかに決定するものとする。

3 調査委員会は、前項の規定による決定を行ったときは、その理由を付して速やかに統括管理責任者に報告するものとする。

4 統括管理責任者は、前項の規定による報告(総長からの不服申立てに係る報告を除く。)を受けたときは、速やかにその結果を最高管理責任者に報告するものとする。

(不服申立ての審査結果に係る通知等)

第25条 統括管理責任者は、前条第3項の規定による報告があったときは、第23条第1項から第3項までの規定により通知し、及び同条第4項の規定により報告した者に対し、その内容についてそれぞれ通知し、及び報告するものとする。この場合において、当該内容が再調査を実施するものであるときは、再調査を実施する調査委員会の委員の氏名及び所属を併せて通知し、及び報告するものとする。

2 統括管理責任者は、前項の規定による通知及び報告をする場合において、前条第3項の規定による報告が、再調査を実施しない旨のものであり、かつ、調査委員会が当該不服申立てについて当該事案の引き延ばし又は認定に伴う措置等の先送りを主な目的とするものであると判断したものであるときは、不服申立てをした者に対し、以後の不服申立てを受け付けないことを併せて通知するものとする。

(再調査の実施)

第26条 調査委員会は、第24条第2項の規定により再調査を実施することを決定したときは、当該不服申立てをした者に対し、第20条第1項又は第7項の調査の結果を覆すに足りるものと思料する資料の提出その他当該事案の速やかな解決に必要な協力を求めるものとする。

2 調査委員会は、前項の協力が得られないときは、再調査に係る手続きを打ち切ることができるものとする。この場合において、調査委員会は、統括管理責任者に速やかにその旨を報告するものとする。

3 調査委員会は、再調査を実施することを決定した日から起算して50日以内に再調査を完了し、その結果を統括管理責任者に報告するものとする。

4 前項の規定にかかわらず、調査委員会は、合理的な理由により前項に規定する期間内に再調査を完了することができない場合は、統括管理責任者にその旨を報告するものとする。この場合において、調査委員会は速やかに再調査を完了するものとする。

5 統括管理責任者は、第3項の規定による報告(総長からの不服申立てに係る報告を除く。)を受けたときは、その内容を最高管理責任者に報告するものとする。

(再調査結果に係る通知等)

第27条 統括管理責任者は、前条第2項の規定により再調査の手続きを打ち切った旨の報告を受けたときはその旨を、前条第3項の規定により再調査の結果について報告を受けたときはその結果を、第25条第1項の規定により再調査の開始について通知し、及び報告した者に対し、通知し、及び報告するものとする。

(調査結果の公表)

第28条 統括管理責任者は、調査委員会から不正行為が行われたと認定した旨の報告を受けた場合には、捜査機関による捜査に支障を生じるおそれがあることその他の合理的な理由のため公表を控える必要があると認めた場合を除き、速やかに調査結果を公表するものとする。

2 前項の規定による公表の内容は、原則として、不正行為に関与した者の氏名及び所属、不正行為の内容、本学が公表時までに行った措置の内容、調査委員会の委員の所属及び氏名並びに調査の方法及び手順を含むものとする。

3 前項の規定にかかわらず、調査委員会において不正行為が行われたと認定された論文等が、告発がなされる前に取り下げられたものである場合は、当該不正行為に関与した者の氏名及び所属を公表しないことができる。

4 統括管理責任者は、調査委員会から不正行為が行われなかったと認定した旨の報告を受けた場合は、原則として当該告発のあった事案に係る公表は行わない。ただし、当該事案の内容が学内若しくは学外に漏えいしたこと又は論文等に故意若しくは研究者としての基本的な注意義務を著しく怠ったことによるものではない誤りがあった場合は、不正行為が行われなかったことその他の必要な事項を公表するものとする。

5 前項ただし書の規定による公表における公表内容は、原則として、不正行為が行われなかったこと、論文等に故意又は研究者としてわきまえるべき基本的な注意義務を著しく怠ったことによるものではない誤りがあったこと、被告発者の氏名及び所属、調査委員会の委員の所属及び氏名並びに調査の方法及び手順を含むものとする。

6 統括管理責任者は、調査委員会から悪意に基づく告発であると認定した旨の報告を受けた場合は、告発者の氏名及び所属、悪意に基づく告発であると認定した理由、調査委員会の委員の所属及び氏名並びに調査の方法及び手順を公表するものとする。

(研究費の執行停止等の措置)

第29条 統括管理責任者は、本調査の実施に当たり、被告発者に対し、当該告発のあった事案に係る研究に関する研究費の一時的な執行停止その他の必要な措置を講ずることができる。

2 統括管理責任者は、調査委員会から不正行為が行われたと認定した旨の報告を受けた場合には、被告発者に対し、直ちに一部又は全部の研究費の執行停止を命じるものとする。

3 統括管理責任者は、資金配分機関から、告発に係る研究費の執行停止等を命じられたときは、当該執行停止等に係る必要な措置を講ずるものとする。

4 統括管理責任者は、調査委員会から不正行為が行われたと認定した旨の報告を受けた場合には、被告発者に対し、当該論文等の取下げ、訂正その他の適切な措置をとるよう勧告するものとする。

5 被告発者は、統括管理責任者に対し、前項の規定による勧告を受けた日から起算して14日以内に勧告に応じるかどうかの意思表示を行わなければならない。

6 統括管理責任者は、被告発者が第4項の規定による勧告に応じない場合は、その事実の公表その他の必要な措置を講ずるものとする。

(証拠となる資料の保全等の解除)

第30条 統括管理責任者は、調査委員会において不正行為が行われなかったと認定したときは、証拠となる資料の保全、研究費の執行停止その他の措置を速やかに解除するものとする。

2 統括管理責任者は、調査委員会において不正行為が行われなかったと認定したときは、必要に応じ、被告発者の名誉を回復し、及び不利益が生じないようにするための措置を講ずるものとする。

(再発防止に係る措置)

第31条 統括管理責任者は、調査委員会において不正行為が行われたと認定したときは、必要に応じ、関係する部局等の長に対し、当該部局等における再発防止に係る措置を講ずることを指示するとともに、本学全体における再発防止に係る措置を講ずるものとする。

2 統括管理責任者は、前項の措置の内容を資金配分機関及び関係省庁に報告するものとする。

(処分)

第32条 最高管理責任者は、調査委員会において不正行為を行ったと認定した当該被告発者について、懲戒処分及び刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)第239条第1項の規定に基づく告発その他の必要な措置を講ずるものとする。

2 統括管理責任者は、前項の措置が行われたときは、当該措置の内容を告発のあった事案に係る研究に関する資金配分機関及び関係省庁に報告するものとする。

(雑則)

第33条 この規程に定めるもののほか、不正行為の防止及び不正行為が行われた場合の措置に関し必要な事項は、総長が別に定める。

この規程は、平成30年11月1日から施行する。

(平成31年4月1日海大達第66号)

この規程は、平成31年4月1日から施行する。

(令和3年8月1日海大達第113号)

この規程は、令和3年8月1日から施行する。

(令和3年9月1日海大達第119号)

この規程は、令和3年9月1日から施行する。

(令和4年4月1日海大達第19号)

この規程は、令和4年4月1日から施行する。

(令和4年7月1日海大達第122号)

この規程は、令和4年7月1日から施行する。

(令和4年10月1日海大達第140号)

この規程は、令和4年10月1日から施行する。

(令和5年4月1日海大達第22号)

この規程は、令和5年4月1日から施行する。

(令和5年10月1日海大達第150号)

この規程は、令和5年10月1日から施行する。

国立大学法人北海道大学における研究活動上の不正行為に関する規程

平成30年11月1日 海大達第153号

(令和5年10月1日施行)

体系情報
第5編 事/第3章
沿革情報
平成30年11月1日 海大達第153号
平成31年4月1日 海大達第66号
令和3年8月1日 海大達第113号
令和3年9月1日 海大達第119号
令和4年4月1日 海大達第19号
令和4年7月1日 海大達第122号
令和4年10月1日 海大達第140号
令和5年4月1日 海大達第22号
令和5年10月1日 海大達第150号