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【Academic Fantasista 2019】「健康情報の読み方」~小樽潮陵高校にて出張講義~(医学研究院 教授 玉腰暁子)

玉腰暁子 教授(医学研究院)が、令和元年11月13日に小樽潮陵高校で実施した出張講義のレポートをお届けします。最後に新型コロナウイルス感染拡大防止に関する玉腰教授からのメッセージも掲載しています。

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小樽潮陵高校で講義する玉腰教授

人々の疾病予防や健康維持を目指す「社会医学」

医学の分野は大きく「基礎医学」、「臨床医学」、「社会医学」の3領域に分かれます。玉腰教授の専門は、人々の疾病予防や健康維持を目指す「社会医学」です。数年〜数十年単位で対象者の生活習慣などを調査・観察し、生活・環境と健康との関係を解析しています。これまで「日本人の生活習慣とがんとの関連を明らかにする研究 (JACC Study)」や「高齢者(65歳以上)の健康障害予防に関する研究(NISSIN Project)」、「北海道民の食と運動に関する調査」など、大規模な調査研究に他大学や自治体、企業などと連携して取り組んできました。また、研究成果を健康情報として社会に発信し、人々の行動につなげる活動にも力を入れています。

出張講義「健康情報の読み方」を実施

新聞やテレビ、インターネットなどに溢れている健康情報。しかし、誤った情報や誤解を招く情報も数多く存在します。正しい情報を得るためには、どのように読み解く必要があるのでしょうか。講義では、グループワークによるディスカッションと玉腰教授による解説を繰り返しながら学びました。

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健康に関する新聞記事などを読み、議論する生徒たち

参加した生徒たちは、具体例として、「朝食と肥満」に関連する様々な新聞記事や実験結果のグラフなどを読み、「朝食を抜くと体重が減るといえるか」について、周りの人達と話し合いながら考えました。

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グループワークで出た意見を発表して、他のグループとも共有

そして、健康情報を読み解く際には、根拠があるかどうか、動物実験なのか人の研究なのか、人の研究の場合、対象者(人数、国や地域、性・年齢、健康状態など)は誰なのか、どのような手法で研究したのかなどに注意する必要があることを学びました。

玉腰教授は最後に、「情報を正しく読み解くためには、数字は大事ですが、その数字にもトリックが潜んでいることがあるので騙されないように注意してほしいです。また生活習慣など複合的に考える必要があります。さらに、自分がいま冷静かどうかを見極めることも重要です」と締めくくりました。

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グループワークのあとは玉腰教授が解説

講義には小樽市内のいくつかの学校から中学生、高校生が参加しました。はじめは他校の生徒との交流に緊張していた生徒たちも、グループワークを繰り返すうちに、徐々に議論が盛り上がり、自分たちの意見を積極的に発表することが出来るようになっていきました。

受講した生徒たちからは、「医療分野の勉強になっただけでなく、今後の人生に役立つ内容でした」、「健康情報を読み解くためには根拠や資料をフル活用することが大事だとわかった」、「グループで話し合うことで新たな視点に気づくことがあった」などの意見がありました。 これから情報を読み解く際に、今回の授業を思い出して、科学的なものの見方ができるようになると良いですね。

日 時:令和元年11月13日(水)15:45-17:30
会 場:北海道小樽潮陵高校
参加者:北海道小樽潮陵高校、北海道岩内高等学校、小樽双葉高等学校、小樽市立菁園中学校、小樽市立望洋台中学校 計33名

玉腰教授は、医学部の学生らが新型コロナウイルスに関する必要な情報を、若い世代に向け届けるプロジェクト「No More Corona(ノー・モア・コロナ)」の監修も務めています。玉腰教授からメッセージをいただきましたので、あわせて掲載します。

(総務企画部広報課 学術国際広報担当 川本真奈美)

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■新型コロナウイルス感染拡大防止に関するメッセージ

感染者の拡大を受け、全国で新型コロナウイルス感染拡大防止に向けた取り組みが求められています。北海道でも、手指衛生といった基本的なことから、外出自粛、在宅推奨、イベント自粛など、様々な対応が行われています。
このウイルスは人によって伝播されます。そのため、人との接触を極力減らし、感染力のある方たちを隔離することで、拡大を抑えこもうとしています。皆さんの行動で、医療機能の崩壊、救える命も救えなくなるような事態の発生を阻止してください。

なにも症状のない方については、外出そのものを控える必要はないと考えられます。家に閉じこもりがちの生活は、体力の低下や気力の消失につながります。暖かくなってきましたので、人との距離を保ちつつ、公園に出かけたり、散歩したりもお勧めです。WHOのテドロス事務局長は、この局面を乗り切るために重要なこととして、①健康的な食事をとること、②アルコール量を控え、甘味飲料を避けること、③タバコを吸わないこと、④運動すること、⑤周囲の方と話したり、周囲の方と助け合い、また音楽を聴いたり本を読んだりゲームをしたりして、自身の精神衛生に気をつけること、を呼び掛けています(3月20日)。

この取り組みは長期戦になるでしょう。効果を見つつ対策を緩和したり強化したりを繰り返すことになると考えられます。身体が弱らないよう、心が折れないよう、規則正しい生活を心がけ、毎日の生活にちょっとした喜び、楽しみを見つけていきたいと思います。デマに惑わされず、情報を正しく読み取って、リスクを避ける行動をとってください。

最後に、私たちの生活を支えるための食料や日用品の生産、運搬、販売に関わる方々、電気・ガス・水道といったライフラインの維持に関わる方々、生活の維持に必要な行政機関で働く方々、私たちの安全と暮らしを守る方々、医療機関で働く方々、保育や介護の現場を支える方々、その他多くの皆さまは、自身が感染リスクにさらされながら、日々の仕事に従事されています。その活動に心から感謝し、敬意を表したいと思います。

2020年4月22日
北海道大学大学院医学研究院公衆衛生学 玉腰暁子

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■関連リンク

玉腰教授が研究リーダーをつとめる「北海道大学COI『食と健康の達人』拠点」

医学研究院 Research Archives vol.05

No More Corona(ノー・モア・コロナ)プロジェクト