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北海道大学大学院地球環境科25  Litterae Populi Vol.68学研究院の沖野龍文教授から北海道大学アンバサダーの提案を受けたとき、北海道大学に貢献できるチャンスだと思い興奮しました。また、私が母国と北大の架け橋となるためのプラットフォームにもなると思いました。私は、北大の研究者がアジア諸国、特にマレーシアの研究者と関わりを持とうとする努力や、取り組みにおいて「フロンティア精神」が示されていることに非常に感銘を受けています。現在、私たちは「グローバル・キャリア・デザイン」事業を計画しています。オンラインプラットフォームを介して北大とサバ大学の学生による共同イベントを開催することで、双方の学生が経験を共有し、学ぶことができます。これは、パンデミックという危機に直面している今日の世代にとって重要なアプローチです。教えることや学ぶことへのアプローチは、対面からバーチャルへと変化しています。そのため、バーチャルやオンラインプラットフォームを利用した新しいアイデアは重要であり、必要とされています。2021年11月18日には、北大、サバ大学、鹿児島大学の3者によるウェビナーを開催しました。3大学から計3名の研究者が研究成果を発表し、マレーシアと日本から多くの大学院生や研究者が参加しました。このウェビナーは、各大学の研究グループの進■状況をお互いに報告し合い、新たな研究の範囲を模索するために始めました。私が生活しているコタキナバルと札幌では、気候は全く異なります。札幌にははっきりとした四季がありますが、コタキナバルには雨期と乾季しかありません。また、最も特徴的なのは生物多様性です。私が北大と行っている共同研究のほとんどは、熱帯地域であるボルネオ島の生物多様性に関わる研究です。コタキナバルはコーラル・トライアングル地域にある1.ボルネオ島の海洋サンゴ礁生態系:生物多様性の源であり、生物医学的発見のための潜在的な宝2.標高4095mのキナバル山を擁するボルネオ島の熱帯林生態系3. ボルネオ島に生息するボルネオゾウ4. ボルネオ島に生息するテングザルため、海洋生態系は美しいサンゴ礁に恵まれており、多様な海洋生物が生息しています。陸上の生態系では、ユニークな動植物のホットスポットとして知られる熱帯雨林があります。ボルネオ島特有のテングザルやボルネオゾウのような動物もいます。私は北大での学生生活を楽しんできましたが、それ以上に北大の研究者との共同研究を楽しんできました。北大の研究者が掲げる志や研究の方向性は、とても新鮮で刺激的です。私たちは、興味深い研究プロジェクトを行い、北大とサバ大学の両方から多くの学生を教育することができました。読者の皆さんや学生の皆さんには、北大の教育・研究文化の中核となる価値観である「フロンティア精神」を理解していただきたいと思います。これは生きていく上で重要な価値観であり、自分の能力を最大限に発揮するきっかけになります。1234  チャールズ・サンタナラジュ・ヴァイラッパン氏(マレーシア、サバ大学熱帯生物保全研究所教授、2019年4月北海道大学アンバサダー就任)アンバサダー・パートナー通信

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