litterae_vol.68
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の軽減により将来的には少子化問題をも克服するのが目標だという。従来、健康情報の管理は病院等の医療機関が中心となり担っていた。これを家庭や行政が共有し、一人ひとりの健康状態にあわせた最適な食や運動の情報を提供することができれば、病気が予防でき治療負担も減る。地域の健康経営を支えるシステム作りはビジネスにもつながる。豊かな生活環境を提供する仕組みを社会に実装するため、健康・医療、食品・衛生、情報・通信など、多様な分野から研究者達が集う。「新しい現象を見て気付き、課題を設定し、そして新しい学術を創る。そんな研究者を集めたいと考えていました。人が変わり、社会も大学も変わる。大きな意味での人づくりです」と吉野客員教授。この『食と健康の達人』拠点には、市民や自治体、企業とを結ぶ要の役割が期待されている。「人や社会に働きかけていくことは自然科学が苦手とするところです。どのように研究を進めていくか、当初は戸惑ったスタッフも多かったと思いますが、今では皆自由に嬉々として取り組んでいます」。「大学の組織では研究者ができることを持ち寄って何かを成し遂げようとしがちです。しかしこの試みでは、住民ができずに困っていることを持ち寄るのです」。人々が求めるものを気軽に持ち寄れる場を設け、住民のニーズを産業や行政に反映させるのが吉野客員教ディアを共有する。また、出産後授の狙いだ。例えば岩見沢市の母子健康調査の取り組みでは、出産前後のお母さん達の実に1/3がボランティアとして食、腸内環境、母乳に関するデータや妊産婦のニーズの収集に協力してくれているという。出産準備のためのセミナーで悩みや困りごとを互いに話し、解決策を模索し知恵やアイできないことを持ち寄るLitterae Populi Vol.68  08『食と健康の達人』拠点のロゴマーク。「健やかに生きる」ことを「命」という漢字を使いシンボリックに表現している。岩見沢市との取り組み。(写真:上)は母子健康調査で4〜5ヶ月健診の様子。妊娠中の環境や生活習慣の把握からはじめ、生まれたお子さんの生活習慣や健康状態を学童期まで継続的に調べている。(写真:下)はお手軽健康チェック。岩見沢市をはじめ北海道内のツルハドラッグ5店舗に測定機器を設置しており、地域住民は無償で健康チェックができる。お手軽健康チェックにより得られたデータから、年齢、骨折経験、性別、カルシウム摂取量の順で骨密度の状態に影響を与えることなどがわかってきているという。create 1 −幸せな社会− 北海道大学COI『食と健康の達人』拠点

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