litterae_vol.70
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―木股によって多くの企業が打撃を被る事態に直面しました。撤退する企業が相次ぐなか、「クボタは逃げない」と公言し、千人近い社員も復旧作業に力を入れてくれ、当初結成された組合も霧散し、私が退任する時には拍手で送ってくれました。苦労したことと嬉しかったことを両方経験できました。現在の日本では、30年余りの停滞が続き悲観的な見方もあり、厳しさが増しています。こうした状況やグローバリゼーションに対して、クボタはこれからどのように向き合っていくのでしょうか。今までは、ニッチな分野で    の事業展開でよかったのかもしれません。これからどうするかというと、ハードだけではなかなか受け入れられなくなります。ポイントは、食料・水・環境です。と言いますのは、トラクターをつくっていて、本当に食料増産に貢献できるかというと必ずしもそうではありません。やはりソフトが重要ネットワークを構築する方に注力です。水関係の事業を効率的に進めようと思うと、流行ではないですがDXです。日本はまだまだ遅れているという感じがあります。機械のみならず、栽培方法でも作業の自動化やロボット化により生産性を上げつつ、全体の入口から出口までの面倒を見るというハード・プラス・ソフトの面で遅れているのではないかと思います。ですね。医療業界では、大きな装置を製造していた大手の会社が最近はバリューチェーンを形成し、今までとは異なるソフトウェアのしています。日本企業はものづくりでは一定程度、部分々々で成功しているのですが全体では・・。単純なものづくりだけでは限界があります。クボタさんのような大きな会社でも、ある種の壁があるという趣旨のご発言と受け止めました。ていくと、いくら良い農業機械をつくってもそれを使う人がいなくなります。その人たちが持っているノウハウをデータ化、共有化すバリューチェーンの考え方高齢化により農家が減少し食料・水・環境の分野を軸に、クボタならではの差別化された製品・ソリューションの提供を目指していきます。キーワードは「食料・水・環境」寳金木股寳金木股 総長が訊くLitterae Populi Vol.70  18KIMATA Masatoshi1951年、岐阜県出身。北海道大学工学部卒業。1977年に久保田鉄工株式会社(現:株式会社クボタ)に入社。1988年からアメリカに赴任、帰国後の2001年から筑波工場長に就任。2009年取締役常務執行役員、2010年タイ子会社 サイアムクボタコーポレーション社長などを歴任し、2014年から代表取締役社長に就任。2020年からは代表取締役会長。2023年1月から現職。2023年3月から特別顧問に就任予定。株式会社クボタ 取締役会長木股 昌俊

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