litterae_vol.70
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かったという。この観測サイトで本の苗木の植林を行い、森林伐採、植林、育林の過程を経て、CO2の吸収量がどのように変化するのかを長期的に観測している。伐採後7年間はCO2の放出量が吸収量を上回っていたが、8年目で吸収量が上回るようになった。伐採により大気に放出したCO2を全て回収するまでには、18年もかのインフラを活用して、河川流域の物質循環や、土壌からのCO2放出量調査、数値シミュレーションなど、同時に様々な研究が行われている。「関係者が集まって植林し、同時並行で様々な研究を続けながら、東京オリンピックの頃には伐採で放出したCO2を全て回収できるかなと予測していました」と高木教授。この他には、2007年から「土壌温暖化実験」として地温を3℃長期的に上昇させ、土壌中の炭素分解の促進効果を調査する野外実験も行われている。また、地上と航空機観測による天塩研究林全体の森林現存量の調査なども行っていて、森林生態や環境に関する長期観測データは、世界中の研究者が利用できるように蓄積・公開されている。07  Litterae Populi Vol.70特集 | 立ち向かう右:観測機器が設置されている高さ30mのタワー。上:観測タワーの下にあるプレハブ小屋。様々な観測データを解析するコンピュータールームになっている。下:高性能林業機械「フェラバンチャ・ザウルスロボ」による作業風景。この重機は、作業道をつくり、伐倒し、木をよせる作業を行う。

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