柳町名誉博士は、1928年北海道江別市に生まれ、札幌市で育った生粋の道産子である。北海道大学理学部生物科学科に入学した柳町名誉博士は、北大生時代をこう振り返る。「終戦直後で大変貧しかったですね。食糧難で、札幌市内は畑ばかりでした。国のために命を捧げるのが名誉だと考えられていた時代に、命があって本当に良かったと思い、研究に没頭しました。1年生の時に、忍路の臨海実験所で実習をうけました。ウニから精子と卵子を取り出して、混ぜて受精させてその発生を観察するというものでしたが、その様子が大変ダイナミックで心惹かれました。また、私たちの遺伝情報は精子や卵子などの生殖細胞から受け継ぐという現象に強く興味をもち、この分野に進みたいと考えました」理学部を卒業した後は研究生や大学院生として、ニシンやサケなどの魚類の受精研究や、フジツボの性についての研究を行った。そして、1960年に本学の理学博士号(動物発生学)を取得する。柳町名誉博士は北大に残り研究を継続したいと希望してい北海道大学理学部を卒業し、生殖生物学を専門とする柳町隆造名誉博士(ハワイ大学名誉教授)が、第38回(2023年)京都賞を受賞した。受賞業績は「受精メカニズムの解明と顕微授精技術確立への貢献」。その功績はどのようなものであったのだろうか。‒Science is not a job, it is a passion‒Litterae Populi Vol.71 12柳町隆造 北海道大学名誉博士(ハワイ大学名誉教授)。2022年7月本学理学部大講堂にて撮影。(提供:いいね!Hokudai)北大生時代の柳町名誉博士。前列左から3番目。(1952年撮影、提供:柳町隆造名誉博士)■■■■■■■柳町隆造名誉博士が「京都賞」を受賞
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